一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの研鑽支援活動

定期例会(総会・講演・交流会)

DF関西勉強会・交流会(2023年)

掲載日付 イベント 実地日
11/13 第19回DF関西勉強会 有馬温泉ミニツアー 10月17日(火)
8/10 第18回DF関西勉強会開催 7月18日(火)
4/25 第17回DF関西勉強会開催 4月18日(火)
3/8 第16回DF関西勉強会開催 2月28日(火)
2023年11月13日 掲載

第19回DF関西勉強会 有馬温泉ミニツアー

10月17日(火)、午前11時に有馬温泉駅に集合し、中の坊瑞苑内の旬彩猪名野でランチを楽しんだ後、有馬温泉観光ガイドボランティアに案内を依頼しました。今回は、5コースあるなかから「歴史コース」を選びました。

午後1時に有馬温泉駅をスタートし歴史コースの各地点を案内してもらいました。参加者が4名と少なかったので、質問をしながらの見物ができました。2時間強のぶらり歩きとなりました。

有馬温泉の歴史は湯泉神社に祀られる2柱の神様がこの地を訪れ、3羽のカラスが傷を癒す姿を見て、温泉があるのを発見されたことから始まります。その後舒明天皇(593-641)、孝徳天皇(596-654)が何度か温泉を楽しまれ有名になりました。その後、衰退していましたが、聖武天皇の信任の厚い名僧行基により現在の有馬温泉の基礎が作られました。しかし、1097年、有馬に洪水があり、温泉は壊滅しました。約100年間放置された有馬温泉を吉野の高僧仁西が泉源をさらい有馬温泉を復活させました。さらに、温泉寺を改修し、12の宿坊を営みました。有馬に「坊」のつく宿が多いのはこの流れをくむものといわれています。その後、室町から戦国時代にかけても有馬温泉は繁栄しましたが、1596年の大地震でまたもや大きな被害を受けました。このとき、しばしば訪れていた太閤秀吉が有馬温泉の根本的な改修工事に着手しました。秀吉の工事以来、350年間一度も泉源の改修を行っていないということです。

このことから、有馬温泉では開祖行基、中興の祖仁西、再建の秀吉を3恩人と称しています。

この前置きの後、コースに沿って案内してもらいました。

温泉寺 三羽のカラス
温泉寺 三羽のカラス
温泉寺 行基上人像
湯けむり広場(豊太閤像)→ねね像
太閤像、ねね像は神戸を代表する彫刻家新谷英子氏の作、ねねの眼は太閤をみつめているそうです。
袂石
周囲:19m、高さ5m、重さ130トンの岩で、有馬温泉きってのパワースポット。半分以上が地中に埋まっているとのこと。
金の湯
有馬温泉は金泉、銀泉で有名ですが、泉質も豊富で日本の三古泉、三名泉に選ばれています。金泉は鉄分と塩分を含んだ赤茶色の温泉、銀泉は炭酸ガスを含んだ透明の温泉です。金の湯は金泉の外湯になりますが、昔はこの場所に元湯があったそうです。もともとは現在のように一般の宿には内湯はなく、元湯と言われた外湯で入湯しました。最初は12坊だった宿が江戸時代には20近くに増えており、10坊ごとに一の湯、二之湯と割り当てられ、お客の入湯の割り振りをを湯女といわれる人が世話をし、入湯の後は、踊りでもてなしたが、これが有馬芸者の始まりとのことです。
天神泉源→御所泉源
天神泉源は有馬の代表的な金泉の泉源で、地下深くから高温の温泉水が噴出しています。天神泉源は100度近くにもなるそうです。配管に塩が浮いており、有馬温泉がもともと海水であったということがよくわかります。近年の水質分析で、南海トラフへもぐりこんでいるフィリピン海プレートのマントル付近を源とする温泉であることがわかりました。その深さは40~80kmにもなるそうです。有馬温泉の湯は数百年前の太平洋の海水である可能性が高いとのことです。
天神泉源
天神泉源
天神泉源で説明を受ける
温泉寺
温泉寺には行基上人と仁西上人の銅像が安置されており、毎年1月2日には入初式が盛大に行われる。両上人の銅像をみこしでかつぎ、有馬小学校まで練り歩き、芸者が扮する湯女が湯もみをし、初湯をしていただき、そのあと、温泉寺に戻られます。両上人の初湯で有馬温泉の1年が始まるという江戸時代から続く伝統の行事です。
温泉寺
温泉寺
入初式(龍泉閣資料より)
極楽寺(太閤の湯殿殿)念仏寺
秀吉が有馬に来たときは、この極楽寺を拠点にしたようです。阪神大震災のあと、湯殿が見つかりました。いまでは、太閤の湯殿殿として再興されています。極楽寺は黄檗宗の禅寺で、普茶料理(精進料理)も提供しているそうです。
隣の念仏寺は、ねねの別荘であったとのことです。快慶作の阿弥陀如来がご本尊です。
極楽寺
極楽寺
念仏寺のみごとなキンモクセイ
銀の湯→炭酸泉源
銀の湯は銀泉の外湯です。近くに炭酸泉源があります。有馬といえば炭酸煎餅、煎餅を製造販売しているお店がすぐそばにありました。
有馬筆、有馬篭
有馬筆、有馬篭は、いずれも兵庫県の伝統工芸品に指定されています。筆先を下に向けるとかわいい人形が筆の上に顔を出すという有馬温泉名物です。また、筆軸には鮮やかな絹糸を巻き付けていくという大変な作業です。有馬篭は、千利休が有馬篭を目にとめ、茶道具として利用したそうです。筆、篭とも伝統を守り続けるお店は1軒しかないとのことです。いずれの作業も遠くからですが、みることができました。
有馬温泉マップ(歴史コースを回りました)
有馬温泉マップ(歴史コースを回りました)
以上(DF関西 岡本 正敏)
2023年8月10日 掲載

第18回DF関西勉強会開催

第18回DF関西勉強会開催

7月18日(火)、大阪中央電気倶楽部で第18回DF関西勉強会を行いました。前回同様、Zoomで東京の会員にも案内しました。関西会場には8名、Zoomでは34名の参加をいただきました。また、NPOクラブ関西グループから今回もご参加いただきました。

小林宜英氏

今回は、過去2回講師をお願いしている小林宜英氏に、「日本人のルーツ」というテーマで講演をお願いしました。前回は昨年8月日本書紀の紀念論をテーマに話をしていただきBC660年と言われる神武天皇の即位が実はAD300年頃という結論を出されました。日本書紀には古く由緒ある国と見せかける、書紀成立時の女系天皇の皇位継承を合理化するため神功皇后の存在にスポットをあてる、中国への朝貢を隠す、など国家的立場からの書き換えも多く見られ、年代も大いに遡らせているが、それ以外の事績の記載は史実を述べている、とされました。

継体天皇の妃

とはいうものの、この960年という空白期間を作った結果、日本書紀には記述できない歴史の根幹にかかわる重要な歴史があったはずです。氏には『正史そして埋もれた歴史』という著作もありますが、そのなかで多くのこの歴史の事例を述べています。 

天武天皇の定めた八色の姓

そのひとつが国際関係の中での日本と東アジアの関係で、大陸からの渡来が弥生時代以来何波にも渡ってあり、その結果、大陸から見れば内海の位置に見える日本海沿岸の場所に、渡来豪族やその墓制である弥生時代の墳墓が形成された足跡が多く残っている、現在「裏」日本と呼ばれ、人口分布も「表」日本に比重が大きく偏っている現状であるが、それは後の列島内の人口移動によるものであって、古代においては起点は裏日本側にあり、そこからの歴史は「埋もれた歴史」ではあるものの地形、河川の流れ、神社の分布など多くの証拠や論点を含んでいる、と言われています。

特に今回の講演では中国の人口推移が取り上げられて日本に比べてその急激変動の実態が指摘されました。そしてそれは漢民族の変動だけでなく、古墳時代には遺伝子的に異なる異民族を巻き込んでの変動だった、と指摘されました。

古代中国の人口変遷

最後に遺伝子解析技術の急激な進展と弥生時代以来の「2重構造説」を発展させて古墳時代からの「3重構造説」の出現について指摘があり今後の着目分野とされましたが、謎の多いこの時代に「日本人論」の起源に重大影響を与えた事象が生起したという見解は『正史そして埋もれた歴史』を書かれた氏ならではの視点であったと思います。

ネットワークのたびたびの中断でご迷惑をかけ、その結果、説明の足りないところが多かったと思い、講師と相談の上、主旨をまとめましたので、ご一読の上、資料、ビデオを見ていただければと思います。

以 上(岡本 正敏)
2023年4月25日 掲載

第17回DF関西勉強会開催

瀬川滋会員(1262)

4月18日(火)、大阪中央電気倶楽部で第17回DF関西勉強会を行いました。前回同様、Zoomで東京の会員にも案内させていただきました。関西会場には8名、Zoomでは25名の参加をいただきました。また、交流を始めているNPOクラブ関西グループからも会場に2名、Zoomで1名の参加いただきました。

今回は、関西会員でおなじみの瀬川滋会員(1262)に講師をお願いし、「神戸でよみがえる命のビザ」というテーマで講演をしていただきました。

杉原千畝氏は、第2次世界大戦中、リトアニアのカウナスという都市に日本領事館領事代理として赴任していました。その時に、ナチスドイツによって迫害されていた多くのユダヤ人にビザを発給し彼らの亡命を手助けしたことで良く知られています。

氏の発給したビザで、約5000人がシベリア鉄道、ウラジオストク経由で来日し、日本で唯一ユダヤ人コミュニティのある神戸に押し寄せました。しかし彼ら所有のビザは日本での滞在期間が2週間しかない通過ビザでした。それでは最終目的地までのビザ取得はとても不可能です。そこで立ち上がったのが神戸ユダヤ協会の25家族と神戸の市民でした。真珠湾攻撃1年前という困難な時期にも拘わらず、全員の宿所の確保、滞在期間の延長、最終目的地へのビザ取得、生活物質金の支給等々汎ゆる支援を献身的に行って全員を送り出し、彼らの希望をかなえました。

では、これらを具体的にどう実現したのでしょう。すべての人が行き先を見つけ、出国するのに約1年かかりました。神戸ユダヤ協会の会員の家族はわずか25家族です。この少ないメンバーが神戸市民の支援を得て5000人の宿所を確保し、彼らの生活費の殆どは米国ユダヤコミュニティが面倒みてくれたものの、その毎週の支給は彼らが行いました。また通過ビザの滞在期間の延長、最終目的地へのビザ取得をどのように実現していったのか、日独同盟直前の当時の政府とどう対応したのか等々について可能な限り説明されましたが、資料も少なく、追跡しきれないところもありました。しかし、この難題を神戸の人はユダヤ協会の人たちに協力して間違いなく解決しました。

開港地神戸にはユダヤ人を許容する寛容さがあったことが背景にあったとは思いますが、大戦中という厳しい環境の中で、信じられないパワーを発揮した神戸の人たちを誇らしく思えました。

(会員限定)
以 上(DF関西 岡本 正敏)
2023年3月8日 掲載

第16回DF関西勉強会開催

2月28日、大阪中央電気倶楽部で第16回DF関西勉強会を行いました。同時にZoomで東京の会員にも参加の依頼をしました。関西から8名、東京からは25名、また、友好関係にある経営支援NPOクラブ関西会員に特別参加をお願いしましたが、2名の参加をいただきました。

中村洋明氏

今回は関西の会員の中村洋明氏に「民間超音速機、スペースプレーン、そして再使用型ロケットについて」というテーマで講演していただきました。昨年6月に「ドローンと空飛ぶクルマ」というテーマで講演してもらいましたが、まだ大分先の話だなという雰囲気もありました。しかし、最近では、頻繁に空飛ぶクルマがニュースになっています。今回のテーマである民間による超音速機の開発、スペースプレーン、再使用型のロケットについても、今は夢の世界のようですが、現状は以下の通り、すでに大きく動き出しています。

(1) 民間超音速機の世界の開発状況と日本の取り組み

コンコルドの退役以来となる民間超音速機による旅行がいよいよ2020年代には復活する。

アメリカの3社がすでに機種と計画を発表、Boom社の Overture には、日米の航空会社がすでに、発注、仮発注、優先受注の権利の確保に動いている。

日本でも、JAXAを中心に MHI(三菱重工業)、KHI(川崎重工業)、IHI、SUBARU 等の主要企業も参画した共同開発体制を構築、2030年頃を想定し、国際共同開発への参画を目指している。

(2) スペースプレーン

すでに実績のあるものは、有名なスペースシャトルをはじめ5例。米ソを中心とした国家プロジェクトであったが、最近は民間に移りつつある。

また、スペースX社のビジネスモデルにみるように打ち上げサービス、インターネット接続サービス (B2G、B2B)、に加え、民間人の宇宙旅行 (B2C) もすでに始まっており、各国のスタートアップ企業によるスペースプレーン開発プログラムの競争も始まっている。

日本でも、PDエアロスペース社、SPACE WALKER 社による開発プログラムが発表されている。

(3) 再使用型ロケットの開発

ロケットは民間主導でさらなるコストダウンが要求されている。

日本では H-ⅡA から H3ロケットで打ち上げコストを100億円から50億円目標に下げました。

しかし、いずれも、使い捨て型で再使用型ではありません。世界的には再使用型のロケット開発に進んでおり、日本も次世代では、再使用型で打ち上げコストを25億円を当面の目標にしています。

JAXAは海外企業、日本企業等とのタイアップで再使用を前提の開発プロジェクトをすでに開始しています。

民間超音速機、民間人用スペースプレーン、そして再使用型ロケットについて
資料はこちら 会員限定

私は、2016年に「ホンダジェットとMRJ」というテーマで、中村氏の講演を初めて聞かせてもらいました。日本には航空機に関する技術基盤もあり、また、部品を含めれば非常にすそ野の広い製造業です。MRJの撤退、H3ロケット打ち上げの度重なる延期等、はがゆいニュースが多い中で、今回の講演には、今後の方向性についての多くのヒントがちりばめられているような気がしました。また、起業家と高齢者に焦点を当ててまとめられているので、DFの NEXT 10 Years に向けた弾みともなりました。

勉強会に参加された方も、できなかった方も、非常にわかりやすく、また詳しく述べられていますので、ぜひ 今回の講演ビデオをご覧下さい。

また、付録で最後に大阪万博で飛行予定の「空飛ぶクルマ」の具体例も詳しく説明していただきました。これも講演ビデオでご覧いただけます。

勉強会終了後、特別参加いただいた経営支援NPOクラブ関西の田畑グループ長から、関西グループの活動状況について簡単に説明していただきました。勉強会、懇親ゴルフで交流を深め、引き続き情報交換を行うことになりました。

(会員限定)
以 上(DF関西 岡本 正敏)