一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの社会貢献活動

環境部会

講義タイトル
カーボンニュートラルに向けて エネルギー政策の動向
講義日
2021年12月22日
講師
内山 正人 (会員番号1341)

講義内容:

「2050年カーボンニュートラル (CN)」の実現には、再エネ発電の大幅増強が必要である。太陽光発電は現在の導入量の5倍以上、風力発電は10倍以上に増やす必要がある。同時に、変動する再エネ発電を調整する火力発電も必要であり、それにはCCS (Carbon Capture & Storage)が必要である。CCSはコスト高だが、カーボン・プライシング(CP)次第では経済性が出る。CPの一種である炭素税は国内の産業界の強い反対で先送りになっている。しかし、排出削減に向けた自主的な取り組みである排出量取引は近々スタートする予定であり、カーボンクレジット市場の創設も計画されている。産業界もCNに向けて大きく変わろうとしている。製鉄業ではコークスを使用しない水素還元製鉄技術、セメント業では製造工程で発生するCO2と廃コンクリートからセメントを生成する「カーボン・リサイクル・セメント」技術、紙・パルプ業では脱水・乾燥工程にバイオマス燃料を使用することを目指している。

これまでは電力需要の拡大に応じて、停電しないように万全の電力供給体制をとるサプライサイドの政策をとってきた。しかし、再エネや水素を活かすには、エネルギーの供給情報、消費情報がインターネットにより結合され、供給と需要の双方を管理するエネルギーシステムへの転換が必要である。エネルギーを巡っては、片方を取るともう片方が成り立たないという「トレードオフ」が成立する。石炭は安くて大量にあるが、CO2がたくさん出る。太陽光はクリーンでいいけれど、広大な土地を必要とする。原子力は少ない資源で大きなエネルギーが得られるが、事故の際の影響が大きい。皆さんがエネルギー問題を考える上で、「トレードオフ」を良く理解することが重要です。

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