一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの社会貢献活動

環境部会

講義タイトル
脱炭素と風力発電
講義日
2022年10月26日
講師
中西 聡(会員番号900)

講義内容:

「2050年カーボンニュートラル」の達成には、再エネ発電の大幅拡大が必要である。日本の太陽光発電導入量は世界3位だが、風力発電の導入は世界に大きく遅れ、洋上風力の導入は現在ゼロである。一方、ドイツ、デンマーク、英国などは20年前から洋上風力発電を開始した。初期の発電コストは高かったが、導入が進むにつれ洋上風力発電所建設コストが低下し、今や、発電コストは天然ガス火力発電と同等にまで低下している。日本の洋上風力発電は漁業協同組合の反対などで遅れていたが、2019年、洋上風力発電事業のルールを定めた再エネ海域利用法が施行され、洋上風力促進区域に指定された秋田県と千葉県の3区域で事業者の競争入札が実施された。3区域合わせた発電規模は約170万kWで、100万kWの原発1.7基分に相当する、(風が弱い時発電量は低下するので、年間の実発電量は安定して発電できる原発の0.7基分程度)この入札には外国の発電事業者も含め多数の事業者が参加した。

日本では未経験の洋上風力発電事業であり落札価格は20円/kWh台と想定されていたが、3区域全部を三菱商事グループが落札し、発電規模が82万kWと一番大きい区域での落札価格は12円/kWhであった。この価格は他の入札者にとっては想定外の低価格で「価格破壊」と非難されたが、日本でも洋上風力発電が価格競争力のある電源として発展するエポック・メイキングとなった。海に囲まれた日本は洋上風力発電の大規模導入によって、エネルギー自給率を高めることができる。その実現への道は平坦ではないが、皆さんが洋上風力発電に関心を持ち後押しをすることが大事です。

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