- 講義タイトル
- 海洋プラスチック問題
- 講義日
- 2022年10月19日
- 講師
- 木村 峰雄 (会員番号563)
講義内容:
プラスチックは汎用から高機能用途まであらゆる産業に適合できる素材として爆発的成長を遂げ、世界最大の素材となった。1950年の世界人口は約25億人、GDPは約5.3兆$、プラスチック生産量は約200万トン。2020年の世界人口は約78億人、GDPは約85億兆$、プラスチック生産量は約4億トン。この70年間に人口は3倍強、経済規模は16倍強になったが、プラスチック生産量は約200倍になった。この結果、大量の廃プラスチックが排出され、その一部が海に流出した。プラスチックは海洋中に残存して種々の問題を起こし、海洋プラスチック汚染は地球温暖化問題とともに石油文明に起因する根本的な環境問題となっている。世界でこの問題が重大視される様になったのはごく最近で、その取り組みの方向は従来の廃棄物処理としての「埋め立て」から循環経済社会に則した「Recycle」へ大きく転換した。世界ではEUが最も積極的で、Circular Economy 基本政策の下にプラスチックをRecycle産業へと構造改革し、世界をリードしようとしている。
アジアは経済成長優先で、海洋プラスチック問題に対しては、各国共ようやく問題の重大さに気づき、取り組みの検討を開始した段階である。日本はプラスチックが急成長する中で、廃プラスチック処理としての Thermal Recycle(熱回収)中心からRecycleに軸足を置く「新規循環戦略」へと転換を企図しており、容器包装材の規制にも着手した。海洋プラスチック問題は全ての人が加害者で全ての人が被害者です。私たちはプラスチックにどのように向き合っていくか、身の回りのことから考えてみましょう。
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