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DFの社会貢献活動

2018年4月27日

見出し食と農業研究会

見出し トピックス(2018年版)

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掲載日:2017年4月18日

第27回 食と農業研究会見学会(2017/4/10)

見学先

  • 農業生産法人グリ-ンリ-フ株式会社
    所在地 群馬県利根郡昭和村赤城原844-12

  • 株式会社野菜クラブ
    所在地:群馬県利根郡昭和村赤城原844-15

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DF食と農業
ハ高崎駅送迎バス前で参加者全員で(9)
高崎駅送迎バス前で参加者全員で(9名)

参加者9名は、新幹線高崎駅に集合、駅ビル内の「おぎのや」で釜飯定食ランチをとった後、マイクロバスに乗り関越自動車道藤岡ICより一路目的地に向かう。高速道路に入って間もなく、右前方に百名山赤城山(1827m)、左に榛名山(1449m)が、くっきり見える。約30分後左前方に、冠雪の2000m級の谷川連峰や武尊山(ほたかやま)が雄大な姿を現した。そこでバスは最寄の昭和IC出口に到達、約5分後見学先である両社に到着。

両社の活動拠点のある昭和村は、元々戦後開拓地である。群馬県の北部、新潟県境の利根郡にあり、標高は260m〜1,461m。北端から西端に向けて片品川及び利根川が流れ、大規模な河岸段丘を形成する恵まれた自然環境のなかで、こんにゃく生産量日本一を誇るなど、多くの野菜が栽培され、日本屈指の農村風景を保っており、「日本で最も美しい村」連合に加盟している。

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桜満開の本社集出荷場(後方は谷川連峰)
DF食と農業
ほうれん草、小松菜を栽培するハウス 100棟あるという(右後方に日本百名山の武尊山が見える)
桜満開の本社集出荷場(後方は谷川連峰) ほうれん草、小松菜を栽培するハウス

[事業の沿革・概要]

農業生産法人 株式会社グリ-ンリ-フ

創  立:平成6年、資本金:9550万円、社長:澤浦彰治氏

事業内容:有機農産物の生産・加工・販売

  • 昭和37年(1962年)、両社の社長をつとめる 澤浦彰治 ( さわうらしょうじ ) (昭和39年生)氏の父親、澤浦廣治氏が農地を購入し、おかぼ栽培を開始したのが創業。
  • 昭和59年、澤浦社長が就農し、独自製法で蒟蒻芋の有機栽培、製品加工をはじめたのを皮切りに、ニラ、大根の有機栽培に取り組み、平成6年事業を法人化し前身のグリ-ンリ-フ有限会社を設立。
  • その後栽培面積の増強(現在50ha)、レタス生産開始、河岸段丘の標高差と斜面向きの変化を利用した夏期の有機栽培、日本農林規格(JAS)による蒟蒻芋栽培と加工、漬物加工への取り組み、有限会社野菜クラブの設立などにより業容を拡大、平成14年に株式会社化。

株式会社 野菜くらぶ

設  立:平成8年、資本金:5420万円、社長:澤浦彰治氏

事業内容:有機農産物の販売、産地・農産技術開発、栽培管理システムの開発管理、独立支援プログラムの推進など

出資者(株主):57名(内生産者42名)

生産者人数:78名(内農業生産法人21社)

圃場登録:約900ha、3000枚

  • 平成4年、澤浦社長が野菜生産者3名と有機野菜生産グル-プ「昭和野菜くらぶ」を立ち上げたのが創業。平成8年、1法人(グリ-ンリ-フ)と16名の農家で有限会社野菜くらぶを設立。
  • その後、予冷庫・集荷施設完成、野菜流通管理ソフトの導入と運用開始、平成14年株式会社化し再発足。
  • 適地適作方針に基づき、平成19年静岡県菊川市、青森県黒石市に集出荷施設を建設、平成24年岡山県蒜山高原でレタス試験生産を開始。

グル-プは、上記2社に加え、有機ほうれん草、小松菜を栽培する「四季菜」、トマト生産会社「サングレイス」、メガソ-ラ-事業を手がける「ビ-エナジ-株式会社」などから形成され、グル-プの年間売上は36億円内外、グル-プ人員は常時200名以上となっている。

売上構成は、野菜60%、同加工30%、その他10%。販売先は生協、量販、外食向けなど。主な野菜品目は、上位よりレタス、トマト、キャベツ、小松菜、ほうれん草、グリ-ンカ-ル、ブロッコリ-、サニ-レタス、ミニトマト、大根など40品目。内有機農産物は、小松菜、ほうれん草、ジャガイモなど。

到着後、澤浦社長より、集出荷場(約600坪)、予冷庫(約100坪)、農場、パイプハウス(100棟、ほうれん草、小松菜)、有機蒟蒻製品工場(日産5t、2000パック)、野菜加工工場(トンネルフリ-ザ-による野菜の急速冷凍、漬物)の順でご案内いただく。またこれら施設の移動中、研修生用宿舎と託児所(社員用無料の事業所内保育施設)も紹介いただいた。

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桜満開の本社集出荷場(後方は谷川連峰)
DF食と農業
職場内にある託児所 子育てしながら安心して働ける(無料) 殺菌、抗菌、癒し効果のあるアオヒバが資材を使用
蒟蒻工場内モニタールーム
リアルタイムで全工程が監視できる
職場内にある託児所
子育てしながら安心して働ける(無料)

集出荷場には、静岡から入庫していたキャベツがあったが、これは適地適作方針により切れ目のない安定供給を果たすため、自社の静岡集出荷場より入庫したものとのこと。また予冷庫では、大の小松菜好きの前代表幹事酒井さんより、ス-パ-で購入する小松菜の鮮度が、Pプラスというフィルム包材で保たれている理由を澤浦社長に聞いたところ、中身の青果物の種類、重量、流通環境等に応じて最適なミクロ穴加工をフィルムに施すことによって、酸素透過量の調整を行って、青果物の“冬眠状態”を作り出しているとの説明を受け、納得されていました。また各工場で使用する水は、300mの地下からくみ上げる赤城山系伏流水、毎分600Lとのこと。また集出荷施設と工場の屋根には太陽光パネルが設置されていた。

諸施設見学後、澤浦社長よりいろいろとお話しを伺った。(後述まとめ)

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DF食と農業
会社サングレイスのトマトハウス内部 モスフーズ向け栽培
DF食と農業
開拓農家に育ち 農作業実践と多様な交流で体感した多用な経営ノウハウで熱っぽく語る澤浦社長
子会社サングレイスのトマトハウス
モスフーズ向けに栽培
多用な経営ノウハウを体得し
熱っぽく語る澤浦社長

次に、ガイド役は、澤浦社長の奥様にバトンタッチされ、メガソ-ラ-発電(7.5メガワット、売電目的)の現場とトマト生産子会社「サングレイス」をご案内いただいた。メガソ-ラ-現場から見下ろす広大な農地の中で、毎年開催される「河岸段丘ハ-フマラソン」も今年5月29日(日)で5回目を迎えるとのこと。サングレイスでは、澤浦社長のご長男から、事業概要を説明いただいたが、レタス納品で関係の深まったモスフ-ドサ-ビス向け生産も手がけているとのことであった。代表幹事の四方さんは、PALシステムを通じて野菜クラブのトマトを購入されているとのことで、熱心に質問をされていました。

[まとめ-澤浦社長の農業経営の軌跡]

  • 本事業は、戦後の農地改革で耕作地を失った澤浦社長の父親が、戦後開拓地である昭和村で裸一貫ではじめたもの。
  • 昭和39年、長男として生まれた澤浦社長は、地元農業高校卒業後1年間の畜産試験場での研修生活を経て、20歳の時、家業に就農した。
  • 平成元年、25歳の時に起きた野菜相場と蒟蒻相場の暴落に遭遇し将来が全く見えない状態におかれたが、このような状態の中で気づきがあった。
    見えない規制やしがらみ、農業はこいうあるべきとという見えない枠にはめられた自分の農業経営が経営危機のお陰で崩れていき、「農業経営を自由に農業経営を行う」という決意に変わった。同時に「自分自身のアイデアで自由に農業をして、それで駄目だったら自分で責任をとって本望である」と決意を新たに家族一丸となり、経営全体の見直しに取り組んだ。
  • 農家は野菜をつくるためだけでは駄目、相場から決裂して、どうしたら自分で生産したものに、自分で値段がつけて売れるかを真剣に実践した。具体的には目前にあった蒟蒻芋を利用して、手作り蒟蒻の製品加工を行った。沢山の仲間の協力も得て、この試みは成功し、この結果、農産物のままだと価格は市場での相場になるが、加工することで食品となり、価格は製造業者が決められることをはじめて体験できた。
  • その後、蒟蒻の有機栽培に成功、これが有機野菜栽培と販売に繋がった。野菜くらぶの誕生である。ここではまず農家からの直接仕入と直接販売を仲間3名と挑戦した。何れもそれまで農業で行き詰まり、将来を切り開く必要があった者たちである。野菜の直接販売は需要者との直接対話につながり、モスフ-ドの遠隔地への配送要請は、真空冷却機の自社開発と鮮度保持に繋がり、野菜の広域流通を可能にした。
  • 野菜くらぶへの加盟農家は増加し、生産量も増えたが、温暖化の影響もあり栽培しやすい季節も変ってきていて、安定供給という課題に直面した。「適地適作」という基本と「足りない野菜を仲間以外から調達する」という命題を解決してくれたのが、独立支援制度の導入である。農業に志を抱くものに、直接・間接に支援を行うものである。現在、昭和村を中心に、青森、静岡、岡山に拠点ができたのもこの制度のお陰である。
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    DF食と農業
    見学を終わりメガソーラーとトマトハウスをご案内いただいた澤浦社長奥様 幹部女性とともに記念撮影 後方の看板の「赤城高原農場」はグループ生産品のプラント
    見学を終わり記念撮影

  • 安全食品生産の確立と維持は品質管理・保証と信頼の生命線であり、これまで徹底してやってきた。
    JAS(日本農林規格)有機認証(平成12年)、蒟蒻芋栽培と加工野菜工場JAS有機認証(平成15年)、ISO22000:2005(平成21年、食品安全マネジメント)、FSSC22000(平成27年、註)を夫々取得し運用。
    (註)ISO 22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。腐敗しやすい食品などが対象。
  • 農業の成功スタイルは、本業でとして農業を行い、結婚して家と家庭を持ち、家族が幸せに暮らせ、子供に十分な教育ができて、その子供も農業につくことと考えている。そのためには、農業でしっかり稼ぐことが大事である。
  • 昔、篤農家は、自分の子供に仕事を継がせたかった。世襲制であるが、単に仕事を次ぐということでなく、その家の文化や仕事を行う上でお世話になっている人を大切にするいう考え方、すわなち家業の理念を継ぐということが根底にある。お客様や取引先を世代を超えて長く大切にすることが、最大のマ-ケッティングにつながる。
  • 仕入れしやすい、生産しやすい、販売しやすい、人があつまり働きやすい環境づくりに心がけている。
  • グル-プの経営理念は、「感動農業・ひとづくり・土づくり」。感動とは、感じて動く。作物や気候の変化、お客様や人の変化を感じる感性をもってすばやくアクションを起こす。お客様に感動していただき自分たちも感動する。高い夢、目標をもちその達成のため、日夜努力しお客様に、美味しくて身体によい食べ物を育て送り届けつづけるため、それに関わる人とを育て、豊にしていいく。

以上、澤浦社長より、事業のおいたち、農業に対する熱い想いなどについてお話しを伺った。

◇ ◇ ◇

「食と農業研究会」は、これまでに農業生産に携わる2農業生産法人と1個人農業家を訪問してきた。

その都度、少子高齢化の時代を迎え、またTPP発効を間近に、農政や流通のあり方など、現在の日本が抱える農業に対する課題が多い中、農業者達が人々と協議・協力しながら、敢然と挑んでいる姿を目の当たりにし、厳しい局面であるけれども新たな時代を迎えて欲しいと感じていたが、澤浦社長率いるグル-プも、ご自身の理念具現化に愚直に取り組んでいるように思われた。

農これ国の基本なり」といって真剣に農政を担当した大臣、また「農納まって、国納まる」との強い信念をもって米作りに励んでいた訪問先トップの言葉があらためて心に沁みわたった。

帰途、高崎駅周辺の「さんず」で、群馬県産食材を使用した創作料理に舌鼓を打って流れ解散。

以上

≪参加者9名(敬称略 五十音順)≫

金子 祥三、兒玉 則浩、酒井 尚平、四方 満、富沢 進、中尾 誠男、福本 昌弘、峯脇 達也、渡邊 明。

(記 富沢)

 

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