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一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの社会貢献活動

2017年9月22日

見出し食と農業研究会

見出し トピックス(2017年版)

掲載日:2017年9月19日

第26回 食と農業研究会(2017/9/15 - 16)

2017 秋の視察と見学会

ーー「パナソニック福島 植物工場」「宮城県涌谷町 黒澤ライスサービス」 ーー

2017年秋季見学会は四方世話役のご尽力により、福島の「パナソニック植物工場」および宮城県桶谷町の「黒澤ライスサービス(以下、黒澤ライス)」の2ヶ所を訪れることになり、総勢13名が参加しました。

快晴の福島駅に降り立った

初日は、台風18号の九州上陸にも関わらず、目にも眩しい絶好の秋晴れで、視察旅行にはもってこいの日となり、定刻には東北新幹線「福島駅」に全員(現地)集合。駅前で昼食を済ませて「パナソニック福島 野菜工場」を見学後、宮城県の「くりこま高原駅」へ。ここで迎えのバスに乗り、伊豆沼、長沼を経由してビジネスホテル「タケカワ」へ。

楽しみにしていた宴会の前に、四方さんから今回の見学に至る経過のお話や、11月に予定されている「講演・交流会」への食と農業研究会メンバーの協力要請などがあり、全員納得。

2日目は、伝来農法を元に最新の技術を取り入れて、高品質の米を生産し供給している「黒澤ライス」を訪問。米作りに絶対的な自信をもつオーナーの一言ひと言には説得力が漲っており、この米作りの自信こそが、JAを頼らず、補助金もあてにしないパワーの源と理解できました(以上、三納記)。

詳細は以下の通り。

【9月15日】 

パナソニック コネクテッドソリューションズ社「植物工場」

  • 「新型LED、IT環境制御で葉物野菜の安定供給」
  • 「価格乱高下に悩む、大手量販、外食チェーンが垂涎」

最初に、アグリ事業推進室 安達敏雄室長のプレゼンテーションを受けた。事業の詳しい説明の後で同社福島植物工場の一角にある見学コーナーを見学。ポイントは「AI促進、人間省力」をめざした植物工場か!。

何故パナソニックが植物工場に進出しているのかについては‥‥

  1. パナソニックは防蛾灯や農産用換気扇などで農業分野に実績あり、本事業に進出する土壌があった。
  2. LEDの発光効率を上げることや、空調効率を上げる、物流費の削減、人件費の削減にはパナソニックの自動化技術や作物に合わせてオペレーション・コントロールを自動的に行うソリューション、システム開発ができる。
  3. クラウドや各システム間の有機的つながりが植物工場の開発には必須であり、顧客とのコラボが必要な為パナソニックのITソリューション技術が生かせる。

などが考えられる。

現在も尚、大手流通企業の要請に応えるため、常にコストダウンを図っており、LEDの発光効率向上によって、付随する空調コストや光熱費の削減を行なっている。そのほか物流費の削減も検討をしている。人件費の削減ではパナソニックのお家芸の自動化や作物に合わせてオペレーション・コントロールを自動的に行うシステム開発を行っている。

植物工場の様子と栽培している品種の1部(同社リーフレットより転載)

世界の人口は30年後に93億人になるとの予測があり、各国が食料を求めて食料戦争も有り得るので、植物工場の開発は日本国にとって必須として、パナソニックで取り上げた‥‥ とあったが、流石パナソニック。

背景に日本の農業従事者の減少と高齢化があり、植物工場によってこの課題を解決することができる。実際に、植物工場の製品も2017年で3,850トンと少しずつ増えている。

安定価格と、廃棄ロスの低減、低菌無農薬栽培、冷蔵で長期保存がきく、などの植物工場製品の特徴が、現在すでに顧客となっている、大手量販・外食チェーンなどで評価され始めた結果と思われる。

実際に試食して、水々しさ、美味しさには、機械装置で作られた人工の匂いはしなかった。

特に地球温暖化の影響で天候不順なこの頃、野菜の価格の乱高下に悩む大手流通や外食チェーンは、品質の安定、安全安心、価格の安定といった点で、植物工場に大いに期待している由。

歩留りが95%と高く、集中監視システムと自動化によって「栽培のノウハウを持たぬ素人でも栽培できる」と謳われていたが、葉物野菜14アイテムには適性があり、食品工場のような安全安心の工場設計で、異物混入リスクの排除、低菌の保存を可能にするため環境制御技術が駆使されていた。

農業施設というより、食品生産工場であった。世間で騒がれているO157を排除するために循環水の制御などにも意が用いられていた。

出来立ての野菜を試食(上)説明を受けた会場で 安達室長と共に記念撮影(下)

ウェラブルカメラやリアルタイム遠隔診断などの自動化技術も既に開発されており、人工光型での工業化された野菜生産システムの基本技術の開発は、相当進んでいるように見受けられた。

工業化のための「コスト対効果」の観点からLEDの発光効率を上げる、自動化機器のコストダウンを行う等、今なお努力されているのは、全面的な普及に欠かせないものと考えられてのことと思う。

栽培システムや制御マネジメントに欠かせない、AIやIT技術のトップ企業であるパナソニックが手掛けている植物工場なので、必ずや全面普及型を実現し、来るべき食料戦争に勝てる技術になる事を大いに期待したい。

今後の市場としては、気候が植物工場に適した中東・ロシヤ市場や、広大な中国の部分的に適した地域などに商機があると思われる。

【9月16日】 

黒澤ライスサービス

  • 稼ぐプロ農家の秘訣「寒堀り、除草、籾殻糠の施肥、光合成の増大」など、「伝来農法の徹底、地域農家の水田提供による大規模化」そして「JA含む中間抜きの消費者直販」にあり

ビジネスホテル・タケカワ併設の料亭「たけ」で、黒澤ライスサービスが「週刊ダイヤモンド2017年2月18日号に掲載されている、大企業をしのぐ驚異の収益性の2016年2位、2017年3位の好成績の企業」であるを一同確認する。

「たけ」では、米、料理全てが黒澤ライス製で、お酒も黒澤米を使った「金の井酒造 綿屋」の清酒が出された。

綿屋の純米酒で大いに盛り上がった(上)恥ずかしがり屋の女将を囲んで記念撮影(下)

「金の井酒造 綿屋」ブランドには沢山の種類があるが、今回は「綿屋 純米大吟醸 黒澤米山田錦」と「綿屋 純米吟醸山田錦」の一升瓶2本。2種類を飲み比べて質の高さに驚くと同時に、料理もジャガ芋の冷製スープ(これは絶品と高い評価)が出るなど、店構えや、経営者夫婦の素人っぽさに反した専門的な美味なものであった。

美酒を愛でて全員が相当出来上がった頃、黒澤ライス・ジュニアの黒澤伸嘉さんが同じ綿屋の清酒をもって現れ、さらに座が盛り上がった。

その時の模様と翌日出発のバスに乗る前の情景について、前代表の酒井さんは「ジャガイモの汁物、爺さま(黒澤茂雄さん=黒澤ライスのオーナーで前代表)の好物とか。宿の亭主も、輪の中の人でしたね」との感想を口にした。

余談だが、黒澤ライス到着後、爺さまに「宿の女将と一緒に写真を撮った」と話したら、爺さま曰く「恥ずかしがり屋なのにめずらしい」とのこと。

それやこれやで、米作りは、自然・地縁・家族・地域の人々が織りなす綾模様、映像、文章では知りえない実態を肌で感じた。ということで、朝食もたっぷりいただいた後で、宿の夫妻に見送られ「黒澤ライスサービス」へ。

バスが到着すると、黒澤家のみなさんに出迎えられ、大広間に通された。大広間での、先代の黒澤茂雄さん(爺さま)、当主の黒澤伸嘉さん、爺さまの奥さま姉妹や若衆の言葉・所作などは、大地主や庄屋の一幕物をみるよう、ピシッと決まっていました。

黒澤ライス(黒澤茂雄氏解説)の特徴について

独立法人農研機構東北農業研究センター長谷川浩氏による分析と併せ、どのようにして米単一農家で大企業並みの収益率が得られるか、また150haにおよぶ有機栽培がどうして可能になったかをお聞きした。

自作地+借地(100Ha)1枚が平均5反歩と大きく農機具も大型のものが導入でき、少人数で稲作を可能としている(刈り入れ時は35名のパート)。さらに、寒堀り、除草、籾殻糠の施肥、光合成の増大など伝来農法の徹底を行いつつ、3代にわたる黒澤家の有機水稲栽培ノウハウに加え、当主(黒澤伸嘉さん)が機械化を推進している成果であろう。

(上段左から)奥さんの妹さん 爺さまの奥さん 爺さま(下段左から)爺さま 見込まれて働いている若者 当主

販売に関しては、爺さま時代から開発した販路を、農協に頼らず確立している。その基本は、黒澤米を使用してくれている顧客に対するその先の顧客紹介など Win-Win の関係構築にあるとお聞きした。それは、地元大手売り先や、東京の卸、生協に対して、有機水稲栽培による極早品種黒澤米(おもてなしブランド)等のお米を、必要量供給できる生産力と品質信用力がこの業績を可能にしたものと思われる。

寿司米は地元有名すし店に、酒米は山田錦を金の井酒造 綿屋に販売するなど、良いコメを使った良い寿司・良い酒つくりの間で Win-Win の関係を構築するなど、マーケティングにも(昔ながらの日本型営業の結果といっておられたが)理にかなったものをもっていた。

所謂、経営理念も、「その元を養わざれば末は栄ざる」でよいお米を作れば、その先の寿司や酒も良いものが出来て黒澤のお客も繁盛する。「農、納まって国納まる」とシンプルなもの。昔の庄屋さんや豪農とはこんなものであったかという見本のような経営形態であった。

国の農政に対して「補助金漬けで自由競争のない農協頼りの農業はもう保たないのではないか。国は土地改良や農地の集約にお金を使っているが、これからの農業に対しては、コストや品質面で、グローバルな競争力をつけるように奨励するべきではないか」といった意見は〈卓見〉と思う(黒澤ライス訪問を予定していたが、時間切れで来場できなかった小泉進次郎氏にも聞いてもらいたかった)。

黒澤家の米作りの姿勢は、長い間農協に出荷しない事での風当たりは強かったが、日本の農業が農業従事者の減少と高齢化や、TPPといった外圧に晒される今になって、間違いなかったとニコニコしながらいわれたが、本当は相当なご苦労があったのではないかと推察し敬服する。

日本の農業の競争力回復には「出来る限り広く平らな農地」が必要で、それにより大型農機具の活用と直播き等による工程の省略が可能といわれるが、その基本は土作りであり、伝統的な栽培技術が具えられた上で初めて成功が約束される。

また、古くからある地域の共存共栄の仕組み作りには、強いリーダーシップを持った人物の存在が不可欠であり、それが黒澤さん親子だったのではと気が付いた。

このようなビジネスモデルは他地域でも可能と思われるが、第2、第3の黒澤氏を探すことは中々難しい。

黒澤米の稲刈り前の農地を見学、かなり広い農地が見渡せ、大型農機具の使用が可能な敷地になっていた。

黒澤家の広くとられた玄関先で(上)収穫寸前のたわわに実った稲田の前で(下)記念撮影

◇ ◇ ◇

以上で予定していた見学が終わり、帰りの新幹線の「古川駅」に行く途中、勧められて爺さまの姪御さんが学芸員を務める近隣の「天平ロマン館」に立ち寄った。このあたりが天平の昔は金の産出地で(今でもわずかながら砂金が取れる)、東大寺の大仏建造に際し不足の金箔を補うため、900両の砂金をここから献上して完成したたとの事。この歴史的事実を大伴家持が万葉集に残している由。

天平の昔の黄金が今、黄金の稲穂となって日本の農業を支えようとしている不思議な因縁に、感慨を覚えながら帰途に就いた。

≪参加者13名(敬称略 日本語の読み順)≫

酒井 四方 鈴木 千原 谷口 富沢 中尾 中村 長谷川 藤田 三納 守屋 吉崎

当日の写真はこちらから

(記 中尾誠男 写真 三納吉二)

【後日譚 】

黒澤ライス見学後、お土産にいただいた「黒澤米」を帰宅後早速賞味いたしました。一口、口に入れただけで他を圧する味の良さに仰天。一粒ひと粒がふっくらとツヤツヤしておりまことに美味。これだからこそ倍ほどの値段でも売れるということを実感。何をしなくても口コミで売れて行くという、爺さまはじめ当主の自信満々の様子が身をもって理解できました(三納)。

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掲載日:2017年5月14日

第25回 食と農業研究会(2017/4/26)

「ハウス食品株式会社 静岡工場」

“リンゴと蜂蜜、とろ〜りとろけて、ハウス・バーモントカレーだよ♪”
高度成長時期に爽やかに流れたコマーシャルソングは、イケイケどんどんの当時、私達にとって一陣の清風、懐かしい青春の香りであった。

[工場素描]

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DF食と農業
ハウス食品 静岡工場の一角
新幹線と在来東海道本線に挟まれた12万平方メートの敷地に各工場棟が整然と配置されていた
四周の自然を背景にメタセコイアの植生と花壇が各所にあしらわれたランドスケープが美しかった
ハウス食品 静岡工場の一角

参加者16名、JR袋井駅に集合し手配いただいたタクシーで現地へ。新幹線と在来東海道本線に挟まれた12万平方メートの敷地に各工場棟が整然と配置される。懸念される東海地震に備えて敷地内ライフラインを確保させるよう、エネルギー棟から各棟を繋いで赤いパイプラインが空中を走る。四周の自然を背景にメタセコイアの植生と花壇が各所にあしらわれたランドスケープが美しい。排ガス、無騒音の搬送電気自動車が粛々と構内を走る。

[ハウス食品(株)]

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DF食と農業
カレーのランチセットをいただく
用意いただいた新商品「きわだちカレー」のランチセットを美味しくいただいた
DF食と農業
工場の概要を説明される西川工場長(中央)
西川朝廣工場長から操業100年の社史・社風、工場内の概要を説明いただいた
カレーのランチセットをいただく 工場の概要を説明される西川工場長(中央)

用意いただいた新商品「きわだちカレー」のランチセットを美味しくいただいた後、西川朝廣工場長から操業100年の社史・社風、工場内の概要が説明された。以下要点である。

  • 創業以来100余年、カレー食文化の担い手であってきたこと
  • モットーは社員が自主性のもと“後継者をつくろう”である
  • 社員数270名、1日3交代制で操業
  • 静岡工場は主力工場として最新の設備・技術を誇る。国際認証資格 FSSC22000(食品安全管理システム:一連の ISO+HHCP)を取得している
  • 静岡工場では4食品
    「咖喱屋カレー」「バーモントカレー」「北海道シチュー」「とんがりコーン」を製造する
    (クリック⇒拡大)
    DF食と農業
    ハウス食品の商品の一部
    このうち静岡工場では 「咖喱屋カレー」「バーモントカレー」「北海道シチュー」「とんがりコーン」を製造している
    ハウス食品の商品の一部
  • 年間生産265億円
  • 海外事業にも注力
    海外の国柄に合わせて、中国であればパウダーに“八角”が混入され、イスラムであればハラル食
  • 今後のマーケットへの触手は高齢化社会へ向けて医療食、介護食であるか

[工場見学]

(クリック⇒拡大) (クリック⇒動画開始・拡大可)
DF食と農業
レトルト製造とルー製造の2工場を見学
レトルト製造とルー製造の2工場を見学
4食品工場棟の内 「咖喱屋カレー」レトルト製造と「バーモントカレー」ルー製造の2工場に案内いただいた
案内の方の説明は大変丁寧で 理解しやすかった

排ガス 無騒音の搬送無人電気自動車
工場の概要を説明される西川工場長(中央)
西川朝廣工場長から操業100年の社史・社風、工場内の概要を説明いただいた

4食品工場棟の内、2食品「咖喱屋カレー」レトルト製造工場と「バーモントカレー」ルー製造工場に案内いただいた。それぞれ見学者ルートから生産ラインが一望に俯瞰される。案内の方の説明も大変理解しやすい。

  • レトルト工場では29種のカレーパウダーをベースにしたソースづくり、肉・野菜の具材の組み合わせと量が一食分ずつ正確であるための自動計量器(個々0.6グラム誤差)の仕組み、レトルトパウチにソースと具材が充填されて殺菌加工に至る製造ラインがほぼ無人で操業されることに驚く。
  • ルー製造工場でも一貫したラインは徹底されたものであるが、ここで驚いたのは熱処理された液状のルーへ固形化されるが複雑な食材組成にもかかわらず融点42度に設定されているとのこと。
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工場のエントランス脇で記念撮影
工場のエントランス脇で記念撮影

[さいごに]

鉄とコンクリートを相手に、且つ労働集約型の建設界で育った筆者には「食と農の研究会」の対象は対極にあり、毎回異次元での学習が楽しみである。今回の工場見学を企画いただいた峯脇様、渡辺様に心よりお礼を申し上げます。

見学会後、場所を新横浜へ移して懇親会に大いに盛り上がった。席上、今回25回を節目にして代表幹事が酒井様から四方様へバトンを渡される報告があった。酒井代表幹事からのご挨拶と四方様から新代表としての抱負が披露された。発足以来ご尽力をいただいた酒井様への感謝と、四方様へのこれからの期待を込めて、皆様から盛大な拍手があったことは言うまでもない。

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DF食と農業
見学会後 場所を新横浜へ移しての懇親会
懇親会に先立ち 新旧代表幹事の挨拶と抱負があり その後の懇親会はいつもの通り大いに盛り上がった
DF食と農業
見学会後 場所を新横浜へ移しての懇親会
懇親会に先立ち 新旧代表幹事の挨拶と抱負があり その後の懇親会はいつもの通り大いに盛り上がった
見学会後 場所を新横浜へ移しての懇親会

≪参加者16名(敬称略)≫

酒井 四方 守屋 藤田 峯脇 渡辺福本 吉崎 三納 谷口 鈴木 中尾 長谷川 千原 中村 七字(文責)

当日の写真はこちらから

(七字 祐介)

【後日譚 】

この見学会の10日後、たまたま所用で名古屋に出かけた帰り道、東海道新幹線の窓越しに工場の建物を再見しました。その様子をビデオに収めましたのでご紹介します(三納).。

こちらからご覧ください

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