ホームへボタン DFロゴ

 

ロゴ

美術同好会 
世話役:安永 敬明 

目次に戻る

国立西洋美術館常設展及び企画展
 「ゴヤ光と影」鑑賞会(2012.1.18)

ポスター

彩遊会(DF美術同好会)では、1月18日(水)午後に国立西洋美術館の常設展示をボランティア説明員の解説付きで見学する催しが行われました。今回の企画は、彩遊会の牧野会員のご友人が説明員をしておられるご縁で、通常は土日に開催されるギャラリートークを特別に平日に開催していただくことが実現したものです。

出席した16名は2つの班に別れ、それぞれの班の説明員の引率で見学が始まりました。私が属した班では、先ず屋外で美術館の建物を見ながら近代建築の父といわれるル・コルビュジエが設計した建物の特徴の説明を聞きました。ル・コルビュジエの弟子だった前川國男が設計した向かいに立つ東京文化会館の窓枠の線は、美術館の前庭の石畳の線の延長上にあるという興味深い話も伺いました。

それから美術館に入り、国立西洋美術館の収蔵品の中心を占める松方コレクションの由来を聞きました。叶崎造船所の社長だった松方幸次郎は、自ら日本に美術館をつくり、若い画家たちに本物の西洋美術を見せたいという志で蒐集を始めたが、第2次大戦中にフランスに没収され、戦後、返還の条件として美術館が設立されたという経緯の説明がありました。

次に向かったのは、ボッティチェッリと同時代のフィレンツェの画家、ヤコポ・デル・セライオが描いた「奉納祭壇画:聖三位一体、聖母マリア、聖ヨハネと寄進者」でした。この絵では同じ画面に描かれている聖書の神や人と現世の人々の見分け方、聖母マリアの衣服の色の特徴、聖霊を示す白い鳩など宗教絵画の図像解釈を学びました。

17世紀絵画では、オランダの画家エドワールト・コリールの作品「ヴァニタス−書物と髑髏のある静物」の前で、描かれている髑髏、燭台、時計などモチーフが、限りある命と現世のはかなさを意味しており、虚栄に対する戒めとして当時はこのような絵が多く描かれたという説明を聞きました。

クロード・モネの作品を集めた部屋では、2メートル四方の巨大な睡蓮の絵の前に集まり、大きく塗り分けられた鮮やかな色彩の塊が、キャンバスから離れると睡蓮の花に見えるモネの技法の妙を鑑賞しました。また、松方幸次郎がモネに最高級のブランデーをプレゼントして親しくなり、この絵を含む多数の作品の購入を実現したという逸話が披露されました。

最後にオーギュスト・ロダンの彫刻「接吻」を取り囲み、この作品の背景にあるダンテの『神曲』地獄篇の物語を聞きました。ポレンタの娘フランチェスカはマラテスタ家のジョヴァンニと政略結婚をさせられるが、美男の義弟パオロと恋に落ちる。パオロとフランチェスカが口付けするところを見咎めたジョヴァンニは、2人を切り殺してしまうという悲恋がその物語です。

常設展示の見学を終え企画展「ゴヤ光と影」を見た後は、不忍池の方面に上野の山を降りました。どんな行事もお酒抜きには終わらないのが彩遊会で、合田会員ご推奨の「九州料理やどんげ」に集い、懇親会をしました。常設展を解説してくれた説明員の女性2人も参加して一段と華やかに、時のたつのを忘れるほど美術談義が盛り上がりました。

 

「国立西洋美術館」前にて
「国立西洋美術館」前にて
懇親会
美術談義で盛り上がった懇親会

(詫摩記)

目次に戻る