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一般社団法人 ディレクトフォース

2015/07/06

戦後レジームからの脱却と歴史教科書

篠原 寿一

筆者

今年は戦後70年の節目を迎える。村山談話からもう20年も経っているとは驚くばかりである。まさに光陰矢のごとし。

先の戦争は日本軍による大陸侵略だったという虚構が戦後占領軍(アメリカ軍)の洗脳工作によって今でも日本国民のなかに根強く残っている。最近は、それをむしろ補強するような事態も起きている。

米国に於いてはすでに2つの都市に従軍慰安婦像が設置され、日本軍は20万人の朝鮮人女性を性奴隷にしたと書かれているし、同じような像を今後全米各地20ヶ所に設置する活動が韓国系米国人によって進められている。また、最近の報道では日本軍と性奴隷の記述が米国の一流の出版社が発行する高校生向け教科書にも掲載されていると知ったが、先日その教科書を見る機会があって事実を確認した。

このようなことから、米国に住み、米国の学校に通う子供達は日本人であるがゆえにいじめを受け、仲間外れにされたり、弁当に唾を吐きかけられたりしているという事実が昨年米国を訪れた議員調査団によって明らかにされている。このような事態を招いてしまったのは、戦後日本が常に謝罪を続けてきた結果である。

日本人同士では謝罪はむしろ美徳である。たとえ自分は悪くなくとも謝りさえすれば相手はそれに気を良くして(?)その後の会話は円滑に進む。しかし、海外で少しでも生活したことのある人であればまず誰しも、そんなことは通用しないことは知っている。要するに謙遜すること、また、むやみに謝罪することは外国人には理解できない。

国内の従軍慰安婦問題は、それに火をつけて煽った朝日新聞が昨年8月5日及び6日の紙面で、捏造であることを誤報と称して告白したことで一つの区切りがついた。朝日新聞が、慰安婦狩りと称する従軍慰安婦の強制連行を吉田清治なる人物の著作物を基にして記事を書いたのが始まりだがその物語の裏付けを取ることも、吉田清治氏に事実確認もしないまま記事にしたことも明らかにした。

この間日本政府は事実を確認できないまま謝罪を重ね、官房長官談話を出し、挙句の果てには政府が「女性のためのアジア平和国民基金」なるものを設置して、「フィリッピン、台湾、韓国」の「慰安婦」に対して「償い金」まで支払っていたのである。また、外務省もこの問題についてはもっぱら謝罪に徹し、もう何度も謝罪していると言い訳するばかりで、真相の解明に動こうとはしなかった。謝罪するということは、相手の言い分を事実と認めることなのである。

これらを好意的に解釈すれば、謝れば相手は許してくれるとする日本固有の美徳が世界でも通用するという誤解から発したと言えるかもしれない。しかし、こと歴史問題にかかわってくると、このような推論は正しいとはいえない。

(正確な知識もなく)日本を悪く言うこと、日本を貶めることが良識のある日本人という歪んだ思い違いがかなりの日本人にまだ残っているようだ。今や日本の従軍慰安婦は性奴隷(セックス・スレーブ)と翻訳されるようになってしまったが、このような言葉を国連を通じて世界に広めたのも何と日本人である。このように従軍慰安婦問題に火をつけ、煽り、謝罪し、貶めたのはすべて他ならぬ日本人だったのだ。これはもはや日本人の美徳の域を超えている。

河野官房長官(当時)談話を切っ掛けにして、すべての中学校歴史教科書に従軍慰安婦が登場するに及んで、そのような嘘を中学生に教えてはならないと敢然として立ち上がったのが「新しい歴史教科書をつくる会」だった。この会の懸命な活動によって従軍慰安婦の記述こそ中学校の歴史教科書から消えたが、高校の教科書にはまだ載っている。しかし、朝日新聞が謝罪記事を書かざるを得ないところまで追いつめたのは、新しい歴史教科書をつくる会の活動の大きな成果である。

ところで、この度この新しい歴史教科書をつくる会の会員が画期的な資料を発掘した。戦後多くの日本人が反日自虐史観に落ち入ったのはアメリカの洗脳工作 WGIP(War Guilt Information Program)によるものだということは知る人ぞ知るところだった。その具体的工作が東京裁判であり、憲法改正の強制であり、その他言論統制、公職追放、財閥解体などであったが、WGIP と明記した文書はこれまで見つかっていなかった。ところが、占領軍が残した膨大な文書の中からその指令(群)が発見されたのである。

鶴田浩二新しい歴史教科書(自由社)市販本

江藤淳は「閉ざされた言語空間」を著して、如何に占領軍が巧妙に戦後日本の言論を検閲していたかを明らかにし、また、WGIP の存在も示唆していたがこの文書にたどり着いていたかどうかは明らかではない。

おりしも今年は4年に一度の中学校教科書採択の年である。4月6日に文科省から検定結果が発表されたが、歴史教科書は自由社の教科書を除き相変わらずの自虐史観が強い。教科書は全国の教育委員会によってどの教科書にするかが決まる(採択)が、教育委員がどの程度目覚めて採択をして呉れるか。特に歴史教科書の採択は重要である。

来年度から向う4年間使われる教科書は今月(7月)下旬から来月上旬にかけて全国都道府県市町村教育委員会で決められる。教育委員会でどのような議論を経て教科書(特に歴史教科書)が決まるのか、是非地元教育委員会を傍聴して観察して頂きたい。開催日については教育委員会に問い合せればすぐに分る。

「歴史を失った民族は滅びる」という名言がある。子供達が本当の日本の歴史を学び、自分の国に誇りと自信がもてるようになれるかどうかが我が国の将来を決める。今に生きる我々大人の役割は過去と将来をつなぐ架け橋であり、私の、まともな歴史教科書が採択されるようにしている活動は、ひとえに子々孫々のためにほかならない。 マーク

しのはら としいち ディレクトフォース会員(053)
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