「授業支援の会」月間レポート 2023年12月
掲載日: 2024年1月26日
2023年師走。学期末試験との重なりもあり授業は少ない。一方、来年度実施する授業についての学校との打合せで会員が学校を訪問する機会が増加。都立高校では外部講師による授業要請の都への申請が年内締め切りの為、過去に実績のある高校との打合せ頻度が増加している。
特徴的なのは探究学習の一環として、都立高校や公立高校では連続講義を要請されるケースが増える一方、私立高校においては、進学校を中心に2時限の時間を使用して講義とその関連テーマでの課題討議の要請される傾向があること。
当会では急激な時代変化、学校側からの講義内容変化に対応する為、2月にミニ合宿を実施する。生徒たちの視点に立って「学びのスタイル変化へ適応できる体制整備」を考えたい。
12月に入り下記の学校での授業が実施されました。
日時 |
講義場所 |
派遣講師人数 |
生徒数 |
11月29日 |
川﨑市立橘高校 |
1名 |
38名 |
12月4日 |
逗子開成高校 |
8名 |
200名 |
12月7日 |
川﨑市立橘高校(オンライン) |
1名 |
4名 |
12月12日 |
沼津高校 |
2名 |
200名 |
12月13日 |
東大和南高校 |
9名 |
213名 |
12月14日 |
桐生第一高等学校 |
2名 |
40名 |
12月20日 |
都立産業高専品川キャンパス |
1名 |
80名 |
12月21日 |
沼津高校 |
2名 |
14名 |
|
合計 789名 |
以 上(遠藤 恭一)
「授業支援の会」月間レポート 2023年11月
(特記)沖縄選抜高校生進学エンカレッジ授業報告
掲載日: 2023年12月8日
2023年11月に入り、授業要請の学校数も下記の通り増加して講師陣の遣り繰りに苦労するほどの状況です。
例年10月・11月は学校側からの授業要請が最も多く入るのですが、連続3回といった講義も増えています。最近の特徴としては、従来型のグローバル化への対応といった講義においても2時限目はテーマに沿った内容での生徒同志の討議が入ることが多くなっています。生徒の講義に対する「振り返りシートの感想」も討議の中で他生徒の考えている視点に自分は気が付いていなかったとか、通常は座学中心授業で、議論をする授業がなかったので大変新鮮に感じたといった意見が出て来ています。
生徒たちも座学講義から生徒同志の対話による気付きが重要ではと認識し始めている様です。
11月に入り下記の学校での授業が実施されました。
日時 |
講義場所 |
派遣講師人数 |
生徒数 |
11月3日 |
大森学園 |
8名 |
200名 |
11月6日 |
千葉県立国分高校 |
8名 |
320名 |
11月8日 |
沖縄選抜高校1年生向け* |
24名 |
120名 |
11月10日 |
昭和第一學園 |
11名 |
300名 |
11月13日 |
早稲田実業中学生全員向けオンライン講義 1年生
(デンマーク駐在の本多氏の講演を依頼して開催)
|
|
670名 |
11月15日 |
都立東大和南高校 |
9名 |
60名 |
11月16日 |
都立立川国際中等学校 |
8名 |
300名 |
11月16日 |
都立産業高専荒川キャンパス |
1名 |
80名 |
11月25日 |
田園調布学園 |
1名 |
40名 |
11月25日 |
白梅学園高校/パネルデスカッション |
4名 |
320名 |
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合計 2,410名 |
次に個別案件を紹介します。
沖縄選抜高校生向け進学エンカレッジ
沖縄県の高校生の進学意欲を高めるために「沖縄進学エンカレッジ」が長年実施されている。離島を含む沖縄県各地から選抜された高校生が県外の各地へ2泊3日の生徒の派遣が行われた。生徒は大学のオープンキャンパスや模擬授業への参加、企業訪問などが計画されている中、社会人とのキャリア講演会の部分をディレクトフォースが担当し、本年は関東地区には10月11日に高校2年生60名にDF講師12名、11月8日に生徒約120名にDF講師24名で担当した。
基調講演の後、生徒5名が講師を囲んで懇談を行ったものであり、社会に出るための大きなピクチャーと同時に少人数で個別も親身になって対応する形式になっている。
講師側で印象に残っていることは
- DF担当の時間は到着当日の夕食後にもかかわらず、寝る生徒は一人もなく意欲、意識が高く、積極的に発言でき一般高校生より一段レベルが高い
- しかし意欲に反して県外に出ること、希望校に入れるか、金銭的な面への不安は高い。
DFの役割はこのように意欲の高い生徒を良い方向に導くと共に彼らが日本を引っ張って行ける、社会システムの構築にも寄与しなければならないと感じた。
生徒の感想 2年生記入順の上から2名
-
まず、ジョブ型雇用や文理融合、失われた30年などまだまだ自分は日本の現状をそれほど知らないなと実感し、もし社会問題に取り組みたいなら身近な問題へ目を向けるべきだと強く感じた。その後、物作りから情報を使ったビジネスが普及し戦う土俵の変化について行けずに経済が停滞する日本を目の前にマズいと分かっていても動かない若年層についても深く考える機会が出来たと思う。
-
ディレクトフォースのメンバーである、社会に出て、大きな影響与えてきた偉大な先輩方から、生き方、また、生きる上でのマインドの持ち方など、大切なことをたくさん学ばせていただいたことが素晴らしい経験になったと思うからです。(藤村峯一)
以 上(遠藤 恭一)
掲載日: 2023年7月18日
八王子実践高校での授業支援の経験
「学ぶことは人生を豊かにする。自分はどのように生きたいのかを真剣に考える」
最近の授業支援は、教師、講師の一方的な講義ではなく、生徒が深く考え、グループで議論しながら検討していくことで自らの気づきと、自律性、積極的な行動力や探求する力を身につけられるよう指導(支援)することが期待されている。5月31日に実施された八王子実践高校の授業支援では、以下の主旨に基づき、1、2年生混成クラスに対し、DF授業支援の会から9名の講師で担当。二時限分(110分間)の授業として、講師各々のテーマで実施。
講座名:
「学ぶことは人生を豊かにする。自分はどのように生きたいのかを真剣に考える」
講座目標:
高校1年生(4クラス。128名)および2年生(5クラス131名)を対象とし、特進コースの生徒にゴールが大学入学ではないこと、自ら学ぶことが重要と知らしめること。進路は自分で切り拓くもので、一人ひとりが違うし、一人ひとりの道があること。人との出合いや運をどう掴むか話をして欲しい。後半の授業は関連する課題を与えて生徒のグループ内で討議して発表してもらう形式。
講師テーマ:
講座目標に合致したテーマを各講師に一任するも後半の討議課題を事前に提示。
筆者が担当したグループ(1年、2年、そしてクラスも異なる生徒29名の混成グループ)を対象に設定したテーマは次。
「未来と今日は繋がっている ~今から何に挑戦し、何を体験すべきか~」
グローバル化社会で活躍するには:
- 早くから異文化に接し英語力とコミュニケーション力をつけよう
- どうしたら議論に強い日本人になれるかを検討しよう
八王子実践 授業風景
とし、前半は講師の学生時代の経験から将来を決める要因は、一つだけではなく、探求心、感動、夢や希望、問題意識や使命感などで、自らの体験として、映画(ミュージカル)に感動したのがきっかけで、海外(アイルランド)研修に参加、英語の重要性を痛感するとともに、ヨーロッパでの自由旅行を通して、多くの博物館、美術館、建築物、自然景観を目の当たりにし、芸術、文化、歴史、宗教を含めた異文化に接し、自分の視野が大きく開けたこと。それを可能にしたのは旺盛な好奇心、挑戦する行動力であったことと、早いうち(学生時代)から新たなことに挑戦することが、将来の可能性を広げる役に立つことを強調。その後学生時代の経験を活かし、グローバル企業(IBM)にSEとして入社、米国を中心とした海外での活動の中で重要だと感じたコミュニケーション力や、今や世界で多くのリーダーが活躍しているインド人に比して、日本人が不得手と言われている議論に強くなるには、どうしたら良いかというテーマでディスカッション。
なぜ日本人は議論に消極的なのか?
またどのようにしたら議論に強くなれるのか?
を6つのグループに分かれ、グループ討議、チーム発表と質疑応答を行った。
討議が始まる前には、約8割がシャイで周りに気を遣うと言っていた生徒さんたちも、それぞれ自分の意見をポストイットに書き、グループ内で議論。チームが1、2年の混成であったためか、発表者もスムーズに決まり3グループが発表に手を挙げたが、時間の制約から発表は2チームのみとなった。模造紙にまとめ、発表チーム全員が前に出て要領よく発表が行われた。徐々に質問も増え、積極的に議論に参加すること、お互いの意見交換のなかで学ぶこと、最後には議論にはもっと時間が必要とか、もっと討論がしてみたい等の意見も出て、活発な議論を終えた。最後のまとめでは、行動を起こすこと、異文化交流、英語を含むコミュニケーション力の向上や議論につよくなることの重要性をあらためて確認。日本人としての自覚、教養も必要なことを強調した。
授業後の振り返りシートには、以下のようなポジティブなコメントが多く出され、講座の主旨にも沿った形で、生徒さんたちにとって有意義な授業であったように思われる。
従来の講義方式とは異なり、講師にとっても大変良い経験となり、今後も同様のテーマで授業支援できる機会を増やしていきたいと思う。
さらに授業後、先生方と講師の懇親会を実施。授業の在り方を含め幅広い話題で、今後の活動にも大いに役立つ意見交換ができた。
生徒の振り返りシート・コメント:
*わかりやすかったところ
- 海外への渡航経験についてきっかけから、行った場所まで細かく説明していて想像しやすかった。具体例が多く、考えるきっかけが多かった
- 日本と海外(インド)について比較されていて、日本の課題についてよく理解を深めることができたから 他
*気づきや、印象に残った言葉、役に立ったこと
- 行動することの大切さ、とにかくやるということ
- もっと自分に自信を持って行動すること
- まずは、好奇心が大事。→何がいつ自分の将来に繋がるか分からないため常に色々なことに好奇心を持つ生徒同士の話し合いを通して理解を深めてくれた
- 今日考えた日本人はひかえめというのはまさに自分のことでそれをぬげだしたいと思っていたのでとても良い機会だった
- 自分は人前で話すことが得意ではないので逃げずに積極的に発言するようにすることが大切だとわかった
- 目標をもつことやしっかりと議論に参加することが大事ということなど
- 班で討論して発表をしたり聞いたりするのが新しい発見があって面白かった
- これからの授業や日常で自分の意見をしっかり伝えていくこと 他
*もっと知りたい、やってみたいこと
- やろうと思ったことをあきらめないでやること
- 前から感じてはいたが英語の大切さをあらためて感じた
- 今までは日本が安全で外国へは行きたくないと思っていたが、話を聞いて色々な場所、物、人と出会い、ふれて感性を深めたいと思った
- 日本はなぜ自分の意見を言わないのか、について他の班の意見をもとにもう一度考え直してみたい(歴史を調べたりして)
- 国際社会で最も重要視されるべきコミュニケーションスキル
- これからはグローバル化で海外の人とも話す機会があると思うのでその時に話が進めるように経験を積むことが重要だと思った
- もっと日本人(自分)のことをあらゆる面から見て、知ることが大切
- 議論が苦手なので今回学んだことを活かしていきたいです 他
また、
“勉強の意義について?”
“議論に強くなるために日常的に意識するべきことは?”
“日本のいいところは何?”
“人はチャットGPTに負けてしまうのか?”
などの質問があり、それに対しては、別途メールにて回答を送付。
以 上(木村 正治)
掲載日: 2023年7月10日
昭和第一学園高等学校で社会人講話実施
- 日時
-
2023年2月4日(土) 13:30~14:30 および
2023年2月18日(土)13:30~14:30
- 対象
- 普通科1年生 文理・進学クラス・探求クラス
- 形式
- 講演
昭和第一学園高校では、生徒が世の中の仕事を知り自身の将来を深く考える機会とするため、年間を通して「社会人講話」の授業を開催しており、昨年よりディレクトフォースからも講師を派遣しています。
2022年10月には、6人の講師が医療、製造、科学、IT、国際、秘書の各担当分野について、仕事の概要・代表的な一日のスケジュールなどを紹介しました(各講師30分×2回)。
そして今回、さらに理解を深めてもらうために、以下3分野について60分の授業を提供しました。生徒はそれぞれ希望分野を選択し、参加しました。
2月4日(土)
- 分野
- サイエンス(エネルギー)
- 講師
- 内山 正人 会員
- テーマ
- 「エネルギーと環境のことを考えてみよう」
2月18日(土)
- 分野
- 国際コミュニケーション(商社)
- 講師
- 遠藤 恭一 会員
- テーマ
- 「皆さんの知らない世界への誘い ~社会に出てから必要なこととは~」
- 分野
- ビジネス(食品)
- 講師
- 守屋 雅夫 会員
- テーマ
- 「新製品開発者からみたヒット商品が生まれるまで」
2月4日 講義風景
講師は、「どのような仕事か」生徒がイメージできるように、また、仕事のやりがいや面白さをわかってもらえるように、自身の業務経験を元にやさしい言葉で紹介しました。さらに、ワークショップやクイズなど、60分の授業を無理なく集中できるよう工夫しました。
生徒からは、講義後に以下のコメントをいただいています(抜粋)。
(サイエンス)
-
話すことが苦手なので、コミュニケーション力を上げるには、という話に興味を持ちました。確かに話を聞いていなければ答えることもできず会話も成り立たないからとても納得しました。
-
人の役に立つ仕事に就きたいと思った。
(国際コミュニケーション)
-
自分が普段習っていることだけが全てではなくて自分でしっかり行動して「経験」することが大切と思った。
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どういう仕事をしたいかまだハッキリとは決まっていないので、色んなことに挑戦していこうと思った。
(ビジネス)
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社会を動かすには、人を動かすためには、企画力がいかに必要なのかっていう事が印象的だった。
-
自分の仕事となると実感が湧きませんが、達成感のある仕事をしたいと思いました。
以 上(見目 久美子)