一般社団法人 ディレクトフォース

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DFの社会貢献活動

健康・医療研究会

健康・医療

トピックス(2022年版)

【 目 次 】

実施日 項 目 内 容
2022年12月20日 健康医療研究会Zoomセミナー 「優しさを伝える技術・ユマニチュード」
2022年11月30日 メディア 夕刊フジにDFの記事が5日間に亘り連載
2022年10月8日 健康医療研究会Zoomセミナー 「自律神経を知って不調を治す」
2022年9月29日 出版 健康医療研究会が『DF流健康長寿の知恵』を上梓
2022年7月15日 健康医療研究会Zoomセミナー 「薬食同源―食による予防医学で健康維持を担う」
2022年5月24日 健康医療研究会Zoomセミナー 「誤解だらけの腎臓病と透析治療」
2022年3月23日 健康医療研究会 「アルツハイマー病の診断、治療の最前線」
2022年2月17日 報告書 第3回会員健康状況調査結果報告
2022年12月20日

健康医療研究会Zoomセミナー
 「優しさを伝える技術・ユマニチュード」

2022年12月2日(金)15:00より、健康医療研究会主催によるZoomセミナーを開催(健康・医療研究会セミナーとしては第29回セミナー)、独立行政法人国立病院機構東京医療センター総合内科医長の本田美和子(ほんだ・みわこ)先生より「優しさを伝える技術・ユマニチュード」というテーマで、会員12名の参加のもと、オンライン形式でご講演いただきました。

本田美和子(ほんだ みわこ)先生

本田先生は1993年筑波大学医学専門学群卒業、国立東京第二病院(現・国立病院機構東京医療センター)内科、米トマス・ジェファソン大内科、米コーネル大老年医学科、国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター外来医長などを経て、2011年より現職。またジネスト・マレスコッティ研究所日本支部代表として、日本でのユマニチュードの実践・普及・教育・研究活動を行っておられます。

「ユマニチュード」という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、フランスの体育学の専門家であるジネストさんとマレスコッティさんが考案された介護・ケアの概念で、「優しさをうまく伝える技術」です。本田先生は長年この技法を研究され、日本において普及していこうと努めておられます。

健康・医療研究会では、これまでも我々の最大の関心事である「認知症」を過去数回にわたって取り上げ、その病態や治療の最新動向等について、最新の知見を専門家の先生方をお呼びして勉強して参りました。

その中で明らかになってきたことの一つとして、認知症だけでなく、介護を必要とする方に日頃接している方の知識・技法が、介護される側に大きな影響を与え、極めて重要であるということがあります。

そこで今回は、「優しさを伝える技術・ユマニチュード」と題して、この技法の考え方、実行法等について解説頂きました。

12月2日のご講演においては、まず高齢患者の入院時に「せん妄」という状態に40%もの人が陥ることに着目し、こうしたことを防止するには、薬剤等の従来型の治療だけではなく、「複数要素介入」が必要で、その重要な方法として「ユマニチュード」が有効であるところからお話を始められました。その上でユマニチュードの柱である介護する側と患者のコミュニケーションの重要性について、TBSの報道特集TBS報道特集ユマニチュードの映像を組み込みながらお話をされたので、より分かりやすいものになりました。

上記の番組では、介護する側の患者へのアプローチの仕方で患者側の態度がどのように変化するかがよく捉えられています。

そうしたことを踏まえながら、ユマニチュードのコアの考え方であるケアの4つの柱と5つのステップ(下図参照)について詳しくお話されました。

ケアの4つの柱
ケアの4つの柱
ケアの5つのステップ
ケアの5つのステップ

こうした考え方は、上記TBS報道特集だけでなく、NHKの「クローズアップ現代」や「きょうの健康」など他多くの番組でも取り上げられ、自治体等でも参考にするところも増えてきています。例えば救急隊員でもユマニチュードの訓練を受けて、成果をあげつつあるところも出てきているそうです。

さらに「認知症疾患ガイドライン」でもこの技法が推奨されていることや、認証制度もスタートしたこと、AIを使ってコミュニケーションがきちんと取れているかが定量化できるシステムも開発されている、等種々の方面でこの技法の浸透が図られつつあることがよく理解できました。

次に質疑に移り、限られた時間ではありましたが、次のような応答がありました。

ユマニチュードが適用される重症度の程度は? どの程度でも適用により効果がある。
程度に応じて対応を変える。
医学部、看護学校等でカリキュラムに組み込めないか? 学校側にまだそういった意識が十分でない。
看護師の手が足らず、手のかかる患者に夜睡眠薬を投与するようなケースもあると聞く。 HIVやがんも今や、患者本人に丁寧に説明する時代である。「選ばれる病院」になるため、病院側の努力が必要。
我々として何か一緒にやれることはないか。 ユマニチュードについて知ってもらう為に、ユマニチュードキャラバンを実施し、研修会を実施している。一般の人を集めて頂ければ有難く、更には医療施設のプロ対象(有料)の研修会も行っているのでご紹介願いたい。
厚労省を動かして、保険制度に組み込めないか。 介護保険と健康保険の施設基準等に組み入れてもらう等の提案をしており、今後もコンタクトを継続していく。

最後に講師への謝意を各人盛大な拍手で表して、セミナーを終了しました。

アンケート結果

終了後にメールで依頼したアンケートには7名の方からご回答を頂きました。
結果は以下の通りです。(12月10日9時までにご回答を頂いた分)

  • 概括的な感想としては、7名全員が「大変参考になった」との評価でした。
  • 特に参考になった点、感想、コメントにつき代表的なものを以下に記します。
ユマニチュードはコミュニケーションの基本術として、どんなシーンでも有用
「あなたは大切な存在と伝える」「相手の目を見る」ことの重要性
AIを駆使して客観的なエビデンスも得られていること
フランスや日本(特に自分の居住地)における公的認定の状況や客観的評価が知りたい
介護される方の「思い出」をツールとして利用する
医療専門職への教育にこれを織り込む。また人としての基本的心構えを教育することの必要性

これからも、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。 引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。 また、テーマのご希望についても、
事務局 dfkenkohiryo@directforce.org までお知らせいただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

以上(江村 泰一)
2022年11月30日

夕刊フジにDFの記事が5日間にわたり連載

このたび、夕刊フジの健活手帳の欄に
  「健康常識を疑え ー シニアによるシニアのための健康術」
と題する記事が11月14日(月)から18日(金)までの5日間にわたり連載されました。

DF健康医療研究会が今年7月に「DF流健康長寿の知恵」を発刊したことが注目された折から、得丸英司会員(DF広報担当)の夕刊フジへの推薦もあり、そのエッセンスが記載されたもので、DFに関しては囲み記事の中で次のように紹介されています。

一般社団法人ディレクトフォース(DF、東京都港区、段谷芳彦代表理事)は「社会の役にたち、生きがいを感じる」ことを目的として設立。産学官出身のOB・OG約600人が、「社会貢献と研鑽」「企業支援」「交流交友」の3つの活動を柱に幅広い分野で活動中。

今年9月創立20周年を迎え、「DF流健康長寿の知恵~あなたの健康常識ここが違っていませんか」(クエーサー出版)を刊行した。

以下に、5回の記事全文を紹介します。

夕刊フジ 2022年11月14日~18日(期間限定掲載許可済み、クリックして拡大できます)
2022年10月31日

健康医療研究会セミナー開催
 「自律神経を知って不調を治す」

北里大学客員教授の伊藤剛

10月8日(土)健康医療研究会主催による第28回健康・医療研究会セミナーをZoomで開催。北里大学客員教授の伊藤剛(いとう ごう)先生より「自律神経を知って不調を治す」のテーマで、会員約30名の参加のもと、オンライン形式でご講演いただきました。

伊藤先生は1982年浜松医科大学卒業、静岡労災病院、浜松医科大学第1内科のご勤務を経て、1996年北里研究所東洋医学総合研究所、2008年より北里大学東洋医学総合研究所所長補佐・臨床准教授・漢方鍼灸治療センター副センター長・鍼灸診療部部長、2010年同漢方診療部部長を経て、2018年現職ご就任。この間一貫して東洋医学・漢方診療・鍼灸診療等の第一線で活躍されると同時に、医療関係者や一般の方向けの啓発活動にも尽力され、TV番組も100回近く出演しておられます。

10月8日のご講演においては、自律神経とは何か、から始まり、高齢者の健康に与える自律神経の影響、自律神経が関連する凝りや冷えなどへの対応法、日常生活で自律神経を鍛える方法、鍼の自律神経に対する影響等、幅広い方面に及び極めて充実した内容となりました。特に後半部分での凝りのほぐし方、呼吸法、ウオーキング法等はすべて伊藤先生がご自身で実践され、効果を実体験されているとのことで、大いに参考になったのではないかと思います。

最後に講師への謝意を各人盛大な拍手で表して、セミナーを終了しました

なお、終了後にメールで依頼したアンケートには12名の方からご回答を頂きました。概括的な感想としては、12名中4名が「大変参考になった」、7名が「参考になった」と高評価でした。

講演概要とアンケート結果こちら

これからも、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。 引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。

また、テーマのご希望についても、健康医療研究会軸局事務局までお知らせいただければ幸いです。

dfkenkohiryo@directforce.org

以上(江村 泰一)
2022年10月31日

健康医療研究会が『DF流健康長寿の知恵』を上梓

健康医療研究会においてこの度『DF流健康長寿の知恵』―あなたの健康常識ここが違っていませんかーという新しい健康ガイドを上梓しました。

この本は当研究会におきまして、2016年の設立以来積み重ねてきました20数回のセミナーや3年連続での会員の健康実態調査(毎回100名以上が参加)、その他の諸活動の成果をとりまとめ、健康長寿を目指すDF会員諸氏の少しでも参考として頂こうと、上梓したものです。

高齢者が自らの体験を活かして健康長寿を目指すため、DF会員のさまざまな経験やDFにおける自分たちのさまざまな活動、意見交換を通じて得た健康長寿のためのこれからの生活の在り方をつうじて得た考え方を紹介しています。これまでの高齢者ではない医師やジャーナリスト等がまとめた健康本とは一味違う健康本になっていると自負しています。

<われわれがこの本で訴えたいこと>

  • 健康長寿=サクセスフルエイジングのためには、意志を持ってエビデンスに則った正しい知識をもとに、行動を起こすことが必要
  • 人生の Next Stage を決めるのは自分自身の行動次第

<内容の特徴>

  • 高齢者が自らの知識・経験に基づいて編集した健康ガイド
    (医師やジャーナリストの目線ではなく、高齢者自らの体験・知識に基づく)
  • 高齢者は何が知りたいのか、何に感心があるのか、を7回にわたる対話会から集約した自分の問題としての視点を重視
  • 従来の常識と異なる新しい健康常識が満載
    (エビデンスは東京都健康長寿医療センターが行った疫学調査を援用、同研究所元副所長の高橋先生が全体を監修)
  • DF会員の上記健康実態調査の分析結果を各章に織り込み
  • DF会員10名の実践事例・経験談を収録
  • DFの社会貢献活動が健康長寿につながっている具体的事例を提示
    (理科実験グループ、授業支援の会、環境部会、100歳社会総研)
  • 上記高橋先生の特別寄稿「老いの成熟へ」収載

<本書を纏めるに至った経緯>

  • 2020年10月前東京都健康長寿医療センター副所長の新開先生セミナー「新健康長寿ガイドライン」の趣旨に賛同。
    このDF版を作ろうとの思いを健康医療研究会メンバーで一致
  • 2021年4~10月までDF会員全体を対象に7回意見交換会を実施
    各回30名程度が参加
  • 並行してDFの部会から情報と会員の実践事例10例を収集
  • 2022年2月 編集委員会を発足、原稿起草、チェック、引用記事、図表等の転載
    了解取得
  • 2022年6月 制作会社(Quasar株式会社)に出稿
  • 2022年9月 上梓

<ご興味のある方へ内容の詳細と購入方法>

下記リンクよりアマゾンのサイトをご覧ください。目次や内容の一部を見ることができます。
DF流 健康長寿の知恵 ~あなたの健康常識ここが違っていませんか~ | 一般社団法人ディレクトフォース(DF)健康医療研究会 |本 | 通販 | Amazon

以上(江村 泰一)
2022年8月25日

第27回健康医療研究会Zoomセミナー
 「薬食同源―食による予防医学で健康維持を担う」

7月15日(金) 健康・医療研究会主催による第27回健康・医療研究会セミナーが開催されました。料理家・調理師・国際中医薬膳師・国際中医師である井澤由美子先生より「薬食同源―食による予防医学で健康維持を担う」というテーマで、会員約30名の参加のもと、オンライン形式でご講演いただきました。

講師 井澤 由美子(いざわ ゆみこ)

東京都出身。
料理家・調理師・国際中医薬膳師・国際中医師
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理を提案。発酵食や薬膳にも造詣が深く、体を健やかに保つレシピに定評がある。
保存食作りがライフワークで、レモン塩ブームや乳酸キャベツの火付け役としても知られ、手作りの良さを伝えている。
NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」などの料理番組のほか、企業CM、商品開発、雑誌、カタログ、イベント、レストラン等のプロデュースを手掛ける。著書多数。

まず、予防医学としての中医学の概要として、一年を下図のように五季(春、夏、長夏(雨季)、秋、冬)に分け、それぞれの季で弱る臓とそれを補う食材の説明がありました。

注:日本では、春と夏の間に長夏(雨季)が位置づけられます。
また、年代別に弱る臓の説明がありました。

50代は肝機能 ----------- 
肝・目機能低下
60代は心機能 ----------- 
心臓機能低下・不整脈・高血圧
70代は脾の機能 ----------- 
脾・胃機能低下・消化機能・筋肉・皮膚
従って消化の良いもの・よく噛む習慣をつけることが必要
80代は肺機能 ----------- 
肺・鼻機能低下
従って呼吸器系に注意し、うがい・手洗い・複式呼吸が必要
90代は腎機能 ----------- 
腎・耳・歩行力・泌尿器トラブル
従って足腰ストレッチ・ウオーキング・血流をよくすることが必要

そして、長夏、夏のおすすめ献立のご説明をいただきました。

その後のQA時間には、事前に寄せられた質問にご丁寧にご回答いただき、また参加者からの直接の質問にもご回答いただき、盛況にセミナーは終了いたしました。
事後のアンケートでも回答者全員が大変良かった、ないし良かったとの評価でした。また、全員が本日の内容に関し『家族・知人に是非伝えたいものがあった』との回答をいただいております。

最後に本講演の資料と関連する講師の最近の著書をご紹介します。

講演資料はクリックしてご覧ください
以 上(江村 泰一 森川 紀一)
2022年6月10日

健康・医療研究会主催

健康医療研究会Zoomセミナー
 「誤解だらけの腎臓病と透析治療」

2022年5月24日(火)15:00より、健康医療研究会主催によるZoomセミナーを開催(健康・医療研究会セミナーとしては第26回セミナー)、聖路加国際大学聖路加国際病院腎センター長・腎臓内科部長 中山昌明(なかやま まさあき)先生より「誤解だらけの腎臓病と透析治療」というテーマで、会員25名の参加のもと、オンライン形式でご講演いただきました。

中山先生は1984年東京慈恵会医科大学卒業、国立大学病院医療センター、慈恵医大第2内科でのご勤務を経て英国王立医学大学院腎臓高血圧科留学後、2005年東北大学准教授、2010年福島県立医科大学教授、2016年東北大学特任教授などを経て、2018年現職の聖路加国際大学聖路加国際病院腎センター長・腎臓内科部長に就任されました。この間一貫して腎臓病の研究・治療の第1線で活躍されると同時に、医療関係者への教育活動と一般の方向けの啓蒙活動にも尽力されておられます

慢性腎臓病は現在日本には約1,300万人の患者がいると言われていて、日本透析医学会によると2020 年の患者調査票において、336,759 人の透析患者さんが確認されているとの事です。
このように今や国民病となっている慢性腎臓病ですが、中山先生によれば、その病態や治療について、症状が出ないままに進行していくこともあり、正しい知識が行き渡っておらず、誤解も多いとのことです。また近年では70歳代になって透析に入る患者さんも急増していて、高血圧、糖尿病、高尿酸血症といった生活習慣病を放置しておくと透析に入ってしまうそうです。

今般そうした腎臓病について、先端的治療の第1線でご活躍されている聖路加国際大学聖路加国際病院腎センター長・腎内科部長の中山昌明先生をお招きし、お話を伺うことができました。

今回のご講演の主要内容・ポイントは以下の通りですが、最新の腎臓病に関する知見や、先生のお考えをわかりやすいスライドと平易な言葉でご説明頂き、参加者一同大いに「誤解」がとけ、本疾患に対する理解が進んだことと思われます。

  • 腎臓の機能。
  • 人類の進化と腎臓病。
  • 慢性腎臓病と全身疾患の関係。
  • 透析患者の多さで日本は突出している。
  • 腎機能が低下すると認知症のリスクが高まる。
  • 加齢に伴い腎機能は低下するが、高齢者の場合は腎機能が低下しても、必ずしも病気と言えないケースもある。(腎機能を示すGFRの正常値は成壮年層を対象としている)
  • 腎臓機能のためには脱水にならないことが重要であるがスポーツドリンクは薦めない。
    朝食をきちんと取ることが重要である。
  • 透析には、主に医療施設で実施する血液透析と在宅で行う腹膜透析があり、日本では前者が圧倒的に多いが、欧米では後者の比率が高い国もある。
  • 腹膜透析は医療施設で横になって行う必要がないので、日常・社会生活への負担が少なく、日本に於いても更に増えることが望ましい。
  • 腹膜透析が進めば、透析患者の就業率もあがり、治療満足度も向上する可能性がある。
  • 透析導入の際に行われる、患者と意思決定を共有する仕組みSDM(Shared Decision Making)があってしかるべきで、腎臓分野ではそうしたことが進んでいる。
  • 最後に先生からのメッセージとして、
    幸せとされる人生の最高の祝辞は「天寿を全うする」病的な老化から免れ、心の健康寿命が長いこと、との締めの言葉を頂き終了しました。

ご講演後のQ&Aセッションでは参加者より事前に提出された質問及び当日の質問について、以下のとおり丁寧なご回答を頂きました。

質問 中山先生のお答え
腎臓病の予兆を知るには何に注意すればよいか? 尿蛋白が出ているかどうかをチェックするのが最大のポイント。
尿酸値と腎臓病は関連するか? 関連あり。尿酸値が高いと腎機能に悪影響を与える
飲酒、喫煙の腎臓に与える影響は? 喫煙は絶対ダメ。腎臓に大きく悪影響。
飲酒はほどほどならOK。
塩分制限は? 日本人は塩分過剰民族で、減塩は重要である。慣れると味覚が鋭敏になり、むしろ美味しく感じられる。
腎臓病は完治することはないというのは本当か? 現時点ではそうであるが、腎機能を回復する薬剤の臨床治験が実施されている。
腎移植を受けることによってほぼ完治できるが、日本では様々な課題によってなかなか進まない。
嚢胞があると言われているが大丈夫か? 特殊なケースもあるが、医師の判断で問題ないと判断されていれば大丈夫である。
頻尿と腎機能の関連は? 頻尿は回数が増えるだけで、尿の総量には影響しない。従って腎機能の悪化とは関連しない泌尿器科疾患である。

最後に講師への謝意を各人拍手やジェスチャーで表して、セミナーを終了しました。

尚、終了後にメールで依頼したアンケートには14名の方からご回答を頂きました。
結果は以下の通りです。(5月30日9時までにご回答を頂いた分)

<アンケート結果>

  • 概括的な感想としては、14名中12名が「大変参考になった」、2名が「参考になった」と高評価でした。
  • 特に参考になった点、感想、コメントにつき代表的なものを以下に記します。
    腎臓の本質を知悉した先生の肝を得た説明だった。
    生理的老化と病的老化の違い。腎臓病と他の疾病との関係。
    塩分コントロールの重要性(理屈がわかったので行動変容する気持ちになる)
    減塩効果、蛋白質摂取、飲酒についてのコメント
    透析患者でも、働いている人~即ち社会との接点が大きいほど、長生きするという事実。
    後期高齢者にとっては健康寿命と幸福度のバランスが鍵になること。
    80歳なら、GFR値が40でも病気だとは言えないとの見解が示されたこと。
    腎臓が多くの病気との関係があるということ。
    DFメンバーは高齢者が多く、さまざまな基礎疾患を抱えており、今回のような形で、脳梗塞、高血圧などのリスクにどう対応すべきかなどテーマが多く、引き続き専門家の講義をお願いしたいです。

これからも「ウイズコロナ」の中、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。 引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。
また、テーマのご希望についても、事務局 dfkenkohiryo@directforce.org までお知らせいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。

以 上(文責 江村泰一)
2022年4月28日
健康医療研究会
代表世話人 江村泰一

DF会員の皆様

第3回会員健康調査の御礼と結果ご報告

日頃、健康医療研究会の諸活動につきましては格段のご支援とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、当研究会では本年1月に第3回の会員健康実態調査を実施しましたところ、多数の会員の皆様にご協力いただき、あわせて御礼申し上げます。
大変遅くなりましたが、今般調査結果につきまして取りまとめることができましたので『2022年度会員健康調査報告書』としてご報告させて頂きます。 同報告書は、会員専用ページに格納されています。

この資料は会員限定です。
PWのわからない方はこちら

われわれは、昨年に引き続き実施させて頂いた今回の結果も含め、諸活動の成果を織り込んで、「DF流健康長寿の知恵」(仮称)を外部向けも含めて出版するべく、作業を進めております。今回の結果の解説もその中に織り込んでいく予定でありますので、完成の暁には、あわせてご参照頂ければ幸いです。

尚、今回の調査にあたりましては、皆様の健康情報という極めて個人的な情報をご提供いただく、との観点から、頂いたご回答の発信者はわれわれ事務局においても把握できない仕組みとなっております。
併せて、上記出版に当たり、頂いた情報は集計値として使用し、個人レベルの情報を開示することは致しませんので、その旨ご承知おき下さい。
今後も引き続きわれわれの活動にご支援・ご協力賜りますようお願いすると同時に、こうした活動に自分も参画しようというお考えをお持ちの方は、下記までご連絡下さい。 大歓迎いたします。

連絡先 代表世話人 江村 泰一 emra-roki1988113@outlook.jp

2022年3月23日

健康医療研究会主催

「アルツハイマー病の診断、治療の最前線」

岩田 淳先生の略歴
岩田先生は平成5年東京大学医学部医学科卒業、平成14年3月東京大学博士号取得、平成16年5月スタンフォード大学ポスドク、平成22年10月科学技術振興機構「さきがけ」研究員、平成31年4月東京大学平成31年 4月東京大学大学院医学系研究科神経内科学准教授、令和2年4月東京都健康長寿医療センター 脳神経内科 部長に就任されました。この間一貫して認知症やうつ病の治療の第1線で活躍されています。

2022年3月4日(金)15:00より、健康医療研究会主催によるZoomセミナーを開催(健康・医療研究会セミナーとしては第25回セミナー)、東京都健康長寿医療センター脳神経内科部長の岩田 淳(いわた あつし)先生より「アルツハイマー病の診断、治療の最前線」というテーマで、会員30名の参加のもと、オンライン形式でご講演いただきました。

岩田先生は平成5年東京大学医学部医学科卒業、平成14年3月東京大学博士号取得、平成16年5月スタンフォード大学ポスドク、平成22年10月科学技術振興機構「さきがけ」研究員、平成31年4月 東京大学大学院医学系研究科神経内科学准教授、令和2年4月東京都健康長寿医療センター脳神経内科部長に就任されました。この間一貫して認知症やうつ病の治療の第1線で活躍されています。

認知症(その中でも最も多数をしめるアルツハイマー病)については、多くの会員の関心度が高い分野であろうかと考え、健康医療研究会においても、過去に2回認知症の専門家をお招きして、お話を伺っております。
最近特にアルツハイマー病について、その病態・原因について研究が進んでおり、アメリカにおいては、日本の製薬メーカーが開発したこれまでにない作用機序をもった新薬が承認されその有用性について、世界的に議論が行われている状況にありますが、更なる新薬も開発が進んでいるようです。

このようにアルツハイマー病の研究・治療が日進月歩で進む状況の中、今回はそうした研究、治療の最前線に立って、指導的立場でご活躍されている岩田先生をお招きして、最新の状況についてのお話を伺うことができました。
今回のご講演の主要内容・ポイントは以下の通りですが、最新の非常に高度な科学的知見をわかりやすいスライドと平易な言葉でご説明頂き、参加者一同本疾患に対する理解が大いに進んだことと思われます。

  • 認知症の種類(アルツハイマー病は認知症の原因の一つ)
  • 認知症の診断はどのように行うか
  • アルツハイマー病(以下AD)とは何か(物忘れとどう違うか)
  • ADの診断にはMRI画像だけでは十分ではない。また海馬の萎縮だけではADとは診断できない。脳内にアミロイドβとタウの蓄積があることが重要
  • そこで新しい診断技術として、これらを測定する PETやバイオマーカーが登場したが、現段階では種々難点がある。今後血液バイオマーカーが普及すれば大きく状況が変わる可能性がある
  • 2021年に、世界初のアミロイドβに作用する薬剤が米国で承認された。
  • この承認は以下の理由で奇異に感じている。
    • アミロイドβの脳内蓄積だけがADの根本的原因であるとは断言できない
      (アミロイドを除去しても症状が改善されなかった例もある)
    • アミロイドを除去したことで承認に至っているが、認知機能が改善されたかどうかは不明確
  • 上記のような状況で承認された背景として、世界的にも強い影響力をもつADの患者団体に配慮したものではないか。
  • 昨年承認されたものには以上のような背景があるが、更に後続の製品の開発も進んでいる
  • そこで、早め(症状が出ていないがアミロイドの蓄積があるような状態)に調べる試みとして、オンラインによる全国規模の研究が始まっている(J-TRC)。50歳以上なら誰でも参加できる。
  • アミロイドの蓄積に影響を与える生活習慣は見つかっていないが、有酸素運動等良好な生活習慣で認知機能の低下、脳委縮は予防できるかもしれない。
    (アミロイドがたまっても、認知機能の低下は起こらない)
  • ある研究では、1日8900歩以上歩くかどうかで認知機能に差が見られた。
  • WHOも健康な生活習慣が認知症の予防につながる、として行動変容の重要性を提言している。

【 ご講演後のQ&Aセッション 】

質問 岩田先生のお答え
脳の力を鍛える(新しいことへのチャレンジ)、同時に複数の作業をするなどは認知機能低下対策として有効か 難しい(頭を使う)ことに挑戦するのは有効である。新しいことへの挑戦は、自分が好きなら大いに有効であるが、周りに強要されてやらされるのはよくない。今まで行ってきたことを続けることが大事で今までやってきたことをやりたくなくなってきたら、機能低下のサイン
ダウン症とアルツハイマーの機序は異なるか 遺伝性の場合、ダウン症でアミロイドβが多く産生される。家族性でない場合の関係はわかっていない
アロマで進行が抑えられると聞いたが。 進行した人に効果あり、との報告がある。周囲への暴力等が軽減される、とのこと
血液で診断できるのはいつ頃になるか 確定診断の手段としては時間がかかるが、補助的手段としては既に当局に申請している。現段階では補助的なので、更に詳細検査が必要
高齢化すれば、必ずアミロイド、タウが蓄積するのか 高齢化するほどたまる。日頃から産生されているアミロイドに対し通常はそれを破壊するシステムが働くが、それが破綻するとたまりだす。
東北大、東大でショック療法のようなもので、アミロイドをこわす療法を行っていると聞いたが。 自分は関与していないが、超音波でやっている例はある。

最後に講師への謝意を各人拍手やジェスチャーで表して、セミナーを終了しました。今回はご講演の特に冒頭の部分で、雑音が入り、講師の先生および参加者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

尚、終了後にメールで依頼したアンケートには19名の方からご回答を頂きました。結果は以下の通りです。(3月12日9時現在で回答を頂いた分)

【 アンケート結果 】

  • 概括的な感想としては、19名中14名が「大変参考になった」、5名が「参考になった」と高評価でした。
  • 内容について、以下の事項等が特に印象的だったとのことです。
    (代表的なものを抜粋)
    • 体系的かつ総合的にロジカルに説明頂き、納得しました。
    • 物忘れと認知症の関係、アミロイドβとタウの正体
    • 体と頭脳を働かせることと認知症の関係
    • 軽度認知機能障害の段階で症状を安定化させるためには、他の病気でも行う運動や頭を使う生活習慣が大事であることを周りの人にも伝えたい

これからも「ウイズコロナ」の中、健康長寿のための諸知識習得の観点から、定期的にセミナーを実施していきたいと思います。 引続き会員の皆様の参加をお待ちしております。 また、テーマのご希望についても、事務局 dfkenkohiryo@directforce.org まで お知らせいただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

以 上(文責 江村泰一)