第7回 食と農業「大田、品川食肉市場」見学記
3月の「市場」見学計画が震災で延期されたあと、仕切り直しとして行われた今回の見学会は、6月30日(木)我が国の最大の卸売り市場である「大田市場」と、食肉流通の代表的担い手である「品川食肉市場」を見学しました。
ユッケによるO157食中毒で多数の死傷者が出たニュースも耳新しく、安全・安心はどのように確保されているかもあわせ、見学を通じて更に知見を深めることが出来ました。
参加者は酒井尚平(世話役)、福本昌弘、吉崎蓮一、木村峰男、長谷礼三、藤田公一.四方満、植木五郎、鈴木治樹、馬来勝彦、大久保弘明、福元守、中尾誠男の総勢13名でした。
1.大田市場見学
大森駅に8時45分集合、バスで大田市場へ。東京ドーム6個分に相当する大田市場の一番歩きの少ない入口で降りました。
大田市場は、平成元年(青果・水産)平成2年(花卉)それぞれ操業開始されました。青果水産市場は、東京の神田市場、荏原市場の統合、花卉市場は東京九花市場の統合という形をとり、日本最大の市場として全国の建値市場としての役割を果たしています(以上、ビデオによる説明)。
説明役の村野さんは昭和19年生れ、我々とほぼ同年代ですがお元気な方で、公的役割の市場でも中高年の活躍する場があることを示されています。スーパーの台頭で相対取引が主流になって歴史ある競りが減ってきたと時代の変化を感慨深くご説明いただきました。
生鮮品は天候や自然現象に左右され易いため相場の変動が激しく、安定供給、安定価格、品質の規格化などが市場の果たすべき役割とされてきました。
これまでは生産者や個人商店保護の役割が主でありましたが、最近ではスーパーの台頭で市場の役割も変化を余儀無くされて相対取引が主流になり、個人や生産者の保護という建前も変わってきました。スーパーは市場の集荷能力(現金による決済が魅力)を活用する方向で、市場もスーパーの参加にあわせて相対取引を認めることで双方成り立つようになりました。
朝早い競りは、見学時間中には終わっていて見られませんでしたが、花卉市場で採用されている機械競りのシステムは和蘭のチューリップ市場で使われている競り機械と同様なシステムです。
青果は日本独自の機械競りと併用で、水産はマグロや活魚などで、昔ながらの競りが行われ、何れも建値市場の役割を果たしています。
食事や必要な資材雑貨などが売られている関連棟という場所で、少し早い昼食を取りました。値段はそう安いとはいえませんが、ネタは良いものが使われていて、刺身定食1,575円は割安です。競りで売れ残るものは輸送費をかけて戻すより幾らでも良いから売りたいという商品が必ずでる、そのような商品は驚くほど安いそうです。1箱100円のマンゴーがありました。
2.品川市場見学
次の見学地「品川の食肉市場」は、JR品川駅港南口から徒歩数分の一等地ともいえるところに立地しています。
見学の前に、植木さんから枝肉の部位の名称と特徴などのご説明を頂きました。ばら肉の由来はあばら肉であること、舌(たん)を日本人は好んで食べるが外国人は食べる習慣が無いこと、逆に尾(テイル)は韓国人も日本人も珍重すること。Tボーンステーキの肉はアメリカンカットで骨も一緒にカットすること、日本では骨を外すのでそのような肉は無い事など、皆様日頃の疑問が解消されました。
競り風景の見学では丁度小動物(豚)の競りをやっていました。機械競りで、ビラの説明にもありましたが、昔行われていた袖の中の競りというような不透明な競りは不可能になり、解消されていると思いました。
3人が競りに入る場合や単独の場合など、成立のランプがともって高く競りが成立した姿や、まとめて10頭競られているケースなど、かなり詳しく見ることが出来ました。
ビデオでは屠殺から解体、仕分けまで解説あり、狂牛病(BSE)対策として、全数検査と脳や脊髄から危険部位の除去を行っていること、安全安心対策をかなり密にやっていることなどを説明しておりました。
O157対策についてビラが貼ってありましたが、口蹄疫への対策説明はありませんでした。集荷から屠畜、枝肉での競りと、全体を俯瞰したビデオでした。尚屠殺は公設が一般的でしたが、民間では、日本ハムさんが、肉の安全安心には一貫した食肉加工が必要として、衛生的な食肉工場を経営されているとのこと。植木さんからご説明ありよく内容を理解することが出来ました。
見学後の懇親会は、藤田さんの紹介により秋彩館で開きました。秋田の地ビール、冷酒高清水で大いに語り楽しみました。次回は10月17日の予定で、テーマを募集中です。
(中尾誠男記) |