DF監査役部会第9クール 基礎編(第3回)
監査役部会研修会第9クールからの新しい試みとしてスタートした基礎編(第3回)を以下のとおり行いました。
- 日 時:2013年12月26日(木)午後3時―午後5時
- 会 場:パソナテック研修室丸の内パークビルディング19階
- テーマ:企業不祥事防止の視点から見た監査役監査のポイント
- 講 師:本田 安弘 氏 DF監査役部会 世話役(写真右下)
【要 旨】
企業の不祥事防止のためには、マジックはなく、誠実に日常の監査業務を果たすことこそが重要であることを、現役監査役の実務経験を交えて説得力ある説明でした。
(監査役としての姿勢)
- 法定の権限、責任やあり方を前提として、会社の事業活動において関係者(ステークホルダー)に「ウソをついていなか」「ズルイことをしていないか」「汗をかかずに浮利を追っていないか」などの世間の常識や倫理観をバロメーターとして、執行役員をモニタリングしてきた。
(不祥事を完全にゼロにはできない)
- 企業不祥事は、経済全体にとって不経済なものである。一企業の存続のみならず、経済全体を萎縮させることになる。
- 企業不祥事の事例からその原因、背景、善後策を学び、システムとして日々改善の努力することが有用である。
- 第三者委員会が設置される場合には、監査役は委員に就任するのが望ましい。
(他社の企業不祥事例から学ぶ)
- 監査役として監視・検証すべき点として、「企業風土に問題はないか」「聖域事業〈社運を賭けた事業や社長の肝いり」の存在は」「非中核部門の疎外感は」「グループ会社〈処遇の不満、売上至上主義、業績悪化〉の悲哀感は」があると思う。
(企業不祥事発生時の対応について)
- 監査役として確認すべきポイントは多々あるが、「言行不一致」になっていないか確認。
(企業不祥事の未然防止への監査役の役割)
- ①情報収集の積極的収集と情報が上がってくる仕組みづくり ②内部通報制度の実効性の確認(通報者の保護、適正な運用)③グループ会社のリスク把握 ④内部監査部門との連携・情報共有、などが挙げられる。
(監査役の権限と責任)
- 監査役は、不祥事を認識しながら、漫然と放置した場合は、責任が問われる。
《権限》会社法上監査役の権限が定められており、この権限行使を怠ると,任務懈怠による責任が問われる。
《責任》善管注意義務違反の責任などが問われる場合があります。
基本は、全力を尽くしてやることです。そして、その証左を残すことが大事です。

現職の監査役として、企業の健全かつ持続的な発展のために、果たす監査役の役割と責任の重さを再認識したなどの多くの好評な感想を頂きました。(写真右:熱心に聴講する会員のみなさん)
以上