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2014年2月27日 掲載)

DF監査役部会第9クール    第5回研修会

講師これまで本会では4回にわたって「最新の監査役の実務課題」と題して、その時々の世界の経済情勢、我が国の経済・社会情勢の動きなどを踏まえた企業監査環境の動向について講演をいただいている三優監査法人統括代表社員の杉田純氏に、今回も最新の情報をもとにした講演をお願いした。

今回のテーマは「コーポレートガバナンスから国際会計基準まで」と題して、合計61ページにわたる本編と附属資料をもとに、ときにユーモアを交えた語り口調で、ともすると堅苦しくなるテーマについて、和やかなうちにも極めてわかりやすい講義をいただいた。

  • 開催日時:2014年2月20日(木)午後3時〜5時
  • 場 所:学士会館203号室
  • テーマ:「最新の監査役の実務課題(その5)
    ーー コーポレートガバナンスから国際会計基準まで ーー
  • 講 師:杉田純氏
    (三優監査法人統括代表社員、青山学院大学大学院客員教授、
    一般社団法人会計教育研修機構理事ほか)

【要 旨】

激変する世界経済と試練の日本経済

  • 監査環境を考察する上で、激変する世界経済とそれが及ぼす日本経済の現状と将来を展望。
  • 世界経済では、中国の信用不安、米国の金融緩和の引き締めなどが懸念材料。
  • 日本では急速に進行する少子高齢化は極めて大きい懸念材料。すなわち2020年以降、マーケットは急速に縮小。
    子どもは社会の宝(フランスの例)
  • 今年の懸念材料は消費税増税であるが、秋口にはプラスマイナスゼロと予想。
  • クールジャパンの一層の展開を期待したい。
  • 今後の日本企業の方向性としては、70兆円の手元流動性の積極的な活用に監査役も関与を。

コーポレート・ガバナンスに係わる新たな動き

  • オリンパスや大王製紙問題、その後の連続する食品関連の不祥事、ブラック企業、研究費不正、犯罪収益移転防止、内部通報制度、特定秘密保護法、経営者の高額報酬問題など、企業を取り巻く難しい諸課題への対応から、コーポレート・ガバナンス強化への動きを解説。
  • すなわち、会社法の改正、東証による「独立役員制度の強化」、日本版スチュワードシップ・コードの導入など。
  • これらに対して日本監査役協会は、「国別海外監査ガイドブック」の作成。
  • 委員会等設置会社は使用実績が少なかったが、監査機能に一定の柔軟性を与えた監査等委員会設置会社につ いては有効活用が期待される。
  • スチュワードシップ・コードの導入は、監査業務が単なる規制的役割のみならず、企業が保有する70兆円に 及ぶ手元流動性の積極的活用による成長を目指すもの。
  • 不正リスク対応基準を迎えての日本監査役協会と日本会計士協会との取り組みについては、(たとえば)不正リスクが感じられ、あるいは発覚したら、通常監査とは別に無通告、抜き打ちでやれという気概をもって職務にあたるということである。まさに腹をくくってやれということだ。
  • 企業の国際化と新しい規制については、紛争鉱物、人権問題と ISO26000 などがある。
  • また、監査報告書としては「統合報告書」の概念が導入された。これからは、株主のみを対象としたものか ら、ステークホルダーを対象としたものになることを意識しなければならない(例:環境報告など)。
  • 国際カルテルについては、非常に厳しい状況になっている。
  • 海外腐敗行為については、米国司法省は和解をしなくなってきているし、英国は世界一厳しい対応である。
  • 国際会計基準については、大きく環境が変わって来ている点に留意する必要がある。日本は世界で一番厳しい基準となっている。

アンケートから

  • 豊富な資料と噛み砕いた解説に多くの出席者から好評をいただきました。

以上