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2013年11月19日 掲載)

DF監査役部会第9クール    第2回研修会

第2回研修会では、グローバル化が進展する中で、監査役においても〈国際税務に関する知識・理解が必要となるのではないか〉との見地から「国際税務」を取上げた。

  • 開催日時:平成25年11月12日(火)午後3時〜5時
  • 場  所:学士会館203号室
  • テーマ:「国際税務戦略について」
  • 講  師:渡辺裕泰氏(元国税庁長官、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

【要 旨】

  • 日米の法定税率は共に40%で差はないが、実効税率を見ると、米21%、日35%と差が大きい。これは、それぞれの海外子会社が負担している税率の差異(米△18%、日△1%)による。このことから見て、グローバル・タックス・プランニングの重要性が分かる。米国は国際税務戦略をしっかりやっている。
  • しかし、合法的なグローバル・タックス・プランニングであっても、行き過ぎると、国際的批判を受ける。スターバックス、アマゾン、アップル、グーグル等のグローバル企業が低税率国に利益、所得移転して、税負担を軽減し、批判を浴びている。
  • この問題に対応するためOECD租税委員会は、「税源浸食と利益移転」に関するプロジェクトを立ち上げ、「BEPS行動計画」を公表した。行動計画の各項目について、今後新たに国際的な税制の調和を図る方策を勧告する。
  • 無形資産に起因する利益の低税率国への移転、外国子会社からの受取配当益金不算入の導入などにより、海外の多国籍企業が優遇税制を利用し、恩恵を受けている状況が説明された。
  • 日本企業が海外進出する場合、税務の検討も十分行い、子会社設立か支店設置か、また海外子会社に資金を出す場合も貸付(受取利息)か出資(配当)かを考え、性質変更による税負担を少なくできることを知るべきである。
  • その他、国際税務戦略の一般常識、ハイブリッド事業体を活用したダブル・ディップ(二重控除)、移転価格課税について心得ておくべきことなど話題が拡がった。講演は盛沢山の内容で、興味の尽きないものであった。海外進出企業にとっては真剣に受止めるべき課題が盛り込まれていた。
  • なお、多くの出席者からは、なじみのない課題で難解と思っていたが、具体例を入れた分かり易い説明で「目からウロコの事ばかり」等の好評を頂きました。

以上