
(2012年12月4日 掲載)
監査役部会第8クール第2回研修会が、次のとおり開催されました。

世界のどこかで事変が発生すると、その地域にとどまらずグローバル・ショックとなってクライシスの爆発が起る。日本においても例外なく社会・経済に影響をもたらし、企業においては、クライシス・マネジメントが重要になる。
グローバル・ショックを乗り越えて、企業経営を行うためには、リスク・マネジメント/ガバナンスの再構築が経営の重要課題となる。改めて、リスク・マネジメントの欠陥を見直し、リスク・マネジメントを再構築しなければならない。そのために、意識改革、構造改革、システム改革が求められる。
事例を挙げる。
これからも、金融、財政、資源、情報技術、国家間の軋轢などの局面において、経済危機・政治不安、環境問題、サイバー総力戦、兵器拡大競争などさまざまなグローバル・ショックが現実のものとなる。
グローバル・ショックから会社を守り、持続的成長を拡大するために、リスク・マネジメント/ガバナンスの再構築が経営の重要な課題となる。
金融危機調査委員会報告(2011.1)には、「金融危機は自由市場経済の金融サイクルの一環での欠陥ではなく、金融シテムの崩壊であった。天災ではなく、人災であった。回避できた危機であった」と記されている。リスク・マネジメントの欠陥は次のようなものである。
これらの機関は、金融市場の安定性を担保すべき規制も検討せず、監督機能も発揮しなかった。市場のルール作りをおこたった上に、市場で危機を告げるレッド・フラッグを無視した。また、金融市場の構造的欠陥として、金融工学が作り出した商品があまりにも複雑で分かりにくく、相対取引で透明性に欠けるものであった。
CEOはリスクが大き過ぎてマネジメントできない状況におかれ、リスクの正当化に走ってしまった。トップのリーダーシップの欠如と無責任な貪欲と倣慢によるモラルの欠陥を露呈してしまった。
リーマンの取締役10名は、いずれもお友達で責任感が欠如。リスク・マネジメントは執行部門の領域と考え、自らの責任認識がない。更に、監視監督を行う知識が不十分。短期の業績による報酬システムのため、CEOのギャンブルの原因にメスも入れず、リスクの正当化を糺す勇気もなかった。
全米取締役協会(NACD)は、2008年11月、22支部で分担討議を開始し、本部で「白書」をまとめ、2009年3月ホワイトハウス及び全米企業へ、ガバナンスの改善提案を行うと共に、ビジネス界での再構築活動を推進した。
改善提案の要点は次の通り。
要するに、取締役に求められるものは、CEOのダイナミックなリーダーシップであり、パワーガバナンスである。グローバル化による市場の変化、技術の変化等を理解し対応できる専門的識見、経験、情熱が求められる。
4つの事故調査・検証委員会(政府・議会・民間・東電)の報告では、「東電福島原発事故の原因は天災ではなく、人災である」とされている。そこには、政府と東電のリスク・マネジメント/ガバナンスの欠陥がある。
原子力ムラの形成と安全神話の中で収益を求め、何もしなかった。リーダーシップの欠如、アカウンタビリティの欠如もある。
リスク・マネジメント・プランの欠陥(例:全電源喪失状態でのトレーニング・プラン無し)と共に、政府-本社―現場の情報連絡の不備や誤判断と命令違反など運営の欠陥が露呈。
また、取締役会、監査役会はリスク・マネジメントのオーバーサイトで機能せず、社会、公共の意志を反映できる組織ではなかった(社外取締役1/17、社外監査役4名は大株主の代表)。
更に、CSRの認識の欠如(地域社会の自然環境の保全、生活環境の保全、健康被害防止の責任等)。これらは、電力供給の地域独占による奢りと、政府と癒着した「原子力ムラ」の企業文化によるものである。
東電は日本のガバナンスの欠陥の氷山の一角にすぎない。
NACDの改善提案をもとに、経営の構造、システム・プラクティスの再構築につき、次の提案が提示された。
更に、この基盤となる経営のプラットフォームの再構築が必要であり、次の5つの基本条件をベンチマークとする。
個々の取締役が自らの責任に「誠実」であること、誠実を守る「勇気」を持つこと、「独立性」を堅持すること。
グローバル・ショックを乗り越えて、会社を持続的成長軌道に乗せるには、
が求められる。
そして、グローバル経営のカギは人にあり、グローバルに活躍できる人材の育成が急務。その人材の条件は、自分の言葉で発信できるコミュニケーション力、海外から見る眼を持った洞察力、行動力、人間力である。
以上