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DF監査役部会第7クール - 第2回研修会

講師監査役部会第7クールの第2回研修会が、次のとおり開催されました。

  • 開催日時:平成23年11月17日(木)15時〜17時
  • 開催場所:学士会館203号室
  • 参 加 者:約50名
  • テ ー マ:会計監査と内部監査
       三様監査間の有効利用を目指して   
  • 講 師:燦ホールディングス鰹勤監査役 三神 明 氏

【講演の概要】

監査業務に係わる「4つの素朴な疑問」に対する回答を考える過程を通じて、会社法・金融商品取引法施行後の三様監査間相互の連携の今後のあり方について解説した。

【講演要旨】

1.監査役はスーパーバイザー(管理監督者)かオーディター(監査人)か

独国の監査役会はSupervisory Boardであり、メンバーはオーディターではなくスーパーバイザーである。一方、日本の監査役会は独任制のオーディターで構成されている。会計監査人・内部監査人と異なり、監査役は一般的に監査のプロではないが、スーパーバイザーとしての役割のみならず、本来のオーディターとしての役割を果たすことによりガバナンスの強化に繋がる。

2.監査役監査は外部監査か内部監査か

欧米では外部監査(=法定監査)と言えば、会計監査人監査しかないが、本邦の監査役監査は株主の立場に立って行う外部監査としての側面と、内部機関による監査という意味で広義の内部監査としての側面を兼ね備えている。欧州委員会グリーンペーパーにおける「金融危機の教訓を踏まえてガバナンスや組織体制の整備について、欧米の制度上唯一の外部監査人である会計監査人としてどこまで踏み込むべきか」という欧米の会計監査人の悩みについても、監査役が外部監査人としての本来の役割を果たすことにより、解決できる課題であろうと考えられる。そのためには、監査要点の設定、リスクアプローチの考え方など、監査役が会計監査および内部監査の本質および実務を理解し、三様監査の実効を上げることが極めて重要である。

3.会社法金融商品取引法を順守すれば内部統制を整備したことになるか

会社法の内部統制は、取締役会のガバナンスを通じて内部統制のオーナーである経営者に間接的に内部統制の整備を促す仕組みであり、内部統制の枠組みおよび実務については具体的な記載がない。一方、金商法の内部統制は財務報告目的の内部統制に限定して経営者に直接内部統制の整備と運用を求める仕組みであり、細かい実務が法律で規定されているが、内部統制全般をカバーしているわけではない。従って、両法を遵守するだけでは有効な内部統制は整備されない。英国のCombined Codeのように、会社法の中でガバナンス・内部統制のベストプラクティスを示し、企業の説明責任を求める形が望ましい。

4.財務報告の虚偽記載のリスクは企業を取り巻く様々なリスクの中でどの程度重要なものか

企業は財務報告への虚偽記載のリスク以外に、テロ、サプライチェーン、災害など様々なリスクに晒されている。また、財務報告への虚偽記載のリスクの顕在化は飽く迄結果であり、原因はコンプライアンス違反や業務の有効性・効率性の不備など別のところにある。従って、金商法の内部統制の整備・評価に多大の労力とコストがかかる現在の制度には欠陥があり、会社法の内部統制を前提とした監査役監査・内部監査のあり方を再検討すべきである。

追記:講師は冒頭でご自身が所属される燦ホールディングス鰍フ業務内容について丁寧なご説明をいただきましたが、紙面の都合上割愛させていただくことをお詫び致します。

以上