DF監査役部会第7クール - 第1回研修会
監査役部会第7クールの第1回研修会が、次のとおり開催されました。
- 開催日時:平成23年10月13日(木)午後3時〜5時
- 場 所:学士会館203号室
- テーマ:「監査役に求められる会社法等の基礎知識」
- 講 師:日比谷パーク法律事務所 弁護士 松山 遙 氏(写真右)
- 参加人員:約60名
【講演の概要】
初回の研修会でもあり、最近の判例の動向及び企業法務の最前線情報をもとに、監査業務にかかる常識の再確認・深堀に加え、監査役にとって今日的に不可欠となってきている新知識を「監査役に求められる基礎知識」として解説いただいた。
【講演要旨】
第1.監査役をめぐる社会情勢
会計・決算に関る不祥事の頻発、内部統制システム構築・運用義務違反に係る争の増加、名ばかり監査役の任務懈怠責任を認める判例の傾向など、監査役が厳しく責任を追及される事例が増えている。
第2.監査役をめぐる会社法改正の流れ
会社法以前の商法の改正は、監査役権限・地位の強化の歴史であった。このように権限が強化されたことに伴い、権限不行使の責任を問われる場面も増えている(適正な権限の行使が不可欠であることを再確認されたい)。会社法施行により、内部統制システムの相当性が監査対象に加わり、監査役の活動状況の開示が求められるなど(特に不祥事に対する監査役の対応)、監査役の役割はより重視されている。
第3.監査役の職務と責任
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熱心に聴講されるみなさん |
法令上の職務・責任規定の理解に加え、監査役として今日的に留意しておくべきことの例示。
- 会計監査人の監督の局面で、「会計基準」の理解がキー。(長銀事件より)
- 会社法では親子関係の規律に関する規定が「薄い」。親会社株主は子会社の不祥事等の責任を追及する手段がないため、親会社役員の子会社管理責任を追及する可能性があり、子会社調査権が規定されている監査役の責任も厳しく追及されるおそれがある。(子会社不祥事多発より)
- 金商法上、有価証券報告書等に虚偽記載等があると、監査役も責任を問われる。立証責任が転換されていることに留意。また、この損害賠償請求は「集団訴訟に発展」する懸念もあることに留意。(最近のインターネットによる集団化の動きより)
第4.監査報告
監査報告書の記載事項、監査役会の開催、株主総会における説明等、法規定の理解に加え、以下に留意。
- 内部統制システムについて会社法施行規則では「取締役会決議の内容が相当でないと認めるとき」に意見を記載することとなっているが、適切な運用がなされているかどうかについても監査しておく必要あり(任務懈怠責任を問われる場面では、内部統制システムの構築だけでなく運用も争点となる)。
第5.非常時対応
今日的課題である「株主からの提訴請求」、「敵対的株主からの株主提案」があった場合の対応についての留意事項。
- 不提訴理由を通知する場合、十分な検討をしてから通知しないと、後々厄介な事態に陥るので、「真剣」に取り組む必要がある(監査役自体が任務懈怠責任を問われる)。
- 株主提案は、現経営陣と当該株主が相対立する局面であり、経営陣に不正や行き過ぎが生じ易い。プロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展した場合は、特に注意。
【 参加者多数の感想 】(アンケートより)
昨今の判例・諸事件は、断片的に耳にしているが、それらを帰納して「監査役の基礎知識」として体系的に解説してもらい、頭の整理に大いに役立った。
以上