(10/12/22 )


監査役部会第6クール研修会第3回研修会

監査役部会第6クール研修会の第3回が、次の通り開催されました。

  • 講師の写真開催日:12月14日(火)15:00〜17:00
  • 場 所:学士会館203号室参加者65名
  • テーマ:今後10年を見据えた中での、日本企業の方向性
  • 講 師:中西 正 氏(写真)
    アクセンチュア潟eクノロジー・コンサルティング本部 財務・経営管理グループ統括パートナー

講演は、「激動する世界経済における、IFRSを活用した経営高度化」とはどういうものかという視点から、以下につき体系的に解説いただいた。

  • 多様化する世界
  • グローバル・オペレーティング・モデルと経営管理の高度化
  • IFRS導入のアプローチ
  • グローバル対応に向けた解決への糸口――事例紹介

講演要旨

  • ビジネス環境は、第三極(米国・西欧・日本)から新興国を含めた多極化段階を迎えている。企業にとっては多極化という環境変化にいかに対応するかが重要課題。新興国の発展とともに市場経済は広く開放され、ヒト・モノ・カネの流れが先進国集中からグローバルに分散される。このような多極化の世界においては、事業戦略・プロセス・ITといった事業基盤全般でグローバル・オペレーティング・モデルへの転換が求められる。
  • グローバルに展開する企業は、業務や組織を国別・事業別から国境やグループを越えて集約化・標準化を進めている。加えてグローバル企業ではソフト・ハードの両面でガバナンスの強化が進められている。グローバル経営力発揮の鍵は、市場創造力・M&A力・グローバルオペレーション力・経営管理力・ものづくり力にある。なお、グローバルオペレーション力のポイントは、オペレーションを組織や国境を越えた大括り化できているか、業務標準化が進みIT化できているかということ。また経営管理力では、本社主導で一体感のある経営が実現されているかどうかがポイント。グローバル化した世界で求められる経営管理業務は、企業価値向上という目的を事業側と共有し、その意思決定に資する経営管理情報を活用する業務が中心となる。IFRSの導入による業務効率化は、そのための極めて有効な手段である。
  • IFRSは、約7割の上場企業が2015年までの対応を検討中、また約4割の企業で は影響の分析等具体的な対応を開始している。IFRS対応の経営課題としては、グループ経営管理の強化・情報の見せる化と意思決定支援・人材育成と管理業務の強化等を考える企業が多い。システム課題ではERPアップグレード・IFRS決算システム対応等に関心が強い。また連結会計上の課題では、多くの企業でIFRSに対応する機能の実装・決算早期化等に対する問題意識が強い。
  • IFRS対応に伴う企業の諸課題解決の糸口としては、クラウドベースのインフラ構築によるTCOの削減・業務プロセス標準化のためのベストプラクティスの展開・徹底した効率化によるインスタンス統合等があげられる。ITコスト削減を図るため、システム関連業務をアウトソーシングし、「システム使用」からの脱却を進める企業の取り組み事例も紹介された。
  • 最後に、IFRSを取り巻くこれらの動きの中で、「企業監査」という立場からは業務プロセス等の変更過程で発生する各種のリスク管理に留意すべきとの示唆をいただいた。

以上