監査役部会第6クール研修会第2回研修会
監査役部会第6クール研修会の第2回が、次の通り開催されました。
- 開催日:11月11日(木)15:00〜17:00
- 場 所:学士会館203号室参加者:約70名
- テーマ:企業価値向上経営〜最近のM&AとMBOの動向
- 講 師:みずほキャピタルパートナーズ 代表取締役社長 大畑 康寿 氏
講演は、日本のM&Aの最近の動向として、リーマンショック以降の件数の減少と破談の増加が目立っていること、更には、中国企業による日本企業のM&Aが多くなっているという特徴の解説から始まった。
講演要旨は以下の通り。
- M&Aの破談は、事業再編型に多く、対等合併であるため、買い手側売り手側どちらにもイニシアチブがとれない。そのため、主導権争い、企業文化の相違、人事等制度の相違、M&Aの合理性の欠如といったことから破談に至るケースが多い。
- しかし、将来的には、M&Aは増える傾向にある。企業拡大策としては
- 企業の売上拡大策―シェア拡大からM&Aを積極化
- 日本マーケットから海外進出
が考えられるが、この戦略の中から当然M&Aに進むだろう。 どの分野が増えるのか。国内マーケットのみを相手にしている企業が限界を感じて、M&Aに頼るようになる。小売・外食・自動車部品・金融・食品・医療(ドラッグストア・医薬品)、学習塾など。
- MBOについては、当初経営者自らが銀行から買収資金を借入れていたが、90年代後半からは、ファンド資金を受入れて対応するのが一般的となっている。 企業価値の向上策を実施した後、出口としては、IPO、M&A、第二MBO(別のファンドに譲る)といった投資資金の回収策が実施される。10年スパンで考え、投資を回収しキャピタルゲインを得て、投資家に返すという仕組みである。
- M&Aは成功率30%程度。失敗の理由としては、次のようなことが挙げられる。
- 買収価格が高すぎる(欧米の常識では、2倍で売りに来る。誰も適正価格ははじけない。欲しいとなると、その気になる。EBITDAの5〜8倍が標準か)
- インテグレーションの失敗(統合がうまくいかない)
- ディールから手を引く仕組みの不在(ブレーキ役がいない) C組織文化と利害対立(勢力争い)
- ファンドが買収すると80〜90%成功している。経営者をきっちり固めること、過去のしがらみからの脱却、独立企業体としての経営に徹する、挑戦的な事業計画、業績対応の報酬といった合理的な経営の枠組みづくりが重要である。
- 最後に、M&Aを成功させるためのポイントは何か。
- 買収した会社に一線級の経営者を充てる(ふさわしい経営者が必要。企業は経営者次第)
- DDを徹底的に行う(専門家の活用)
- 冷静な対応(買収の狙い、明確な戦略の立案)
- 100日以内の改革実施(ポストM&A、買収された側は何かが起きると期待・予期している。早期に改革プランを出し、実行する)
このポイントは、とりもなおさず、監査役としてM&Aに直面した時に冷静に、確認すべきポイントである。買う気にはやる経営者に対して、自社と買収企業をよく見て進言することが、監査役の果たすべき役割となる。
以上