監査役部会第6クール研修会第8回目研修会

- 開催日時:平成23年5月16日(月)15時〜17時
- 場 所:学士会館202号室参加者約60名
- テーマ:「高まる監査役への期待とERM」−最近のコーポレートガバナンスの動きを踏まえてー
- 講 師:プロティビティLLC最高経営責任者兼社長
公認会計士 神林比洋雄 氏
【講演の概要】
今次、リスクシナリオは世界的に大きく変化しており、それに対応するガバナンスの新しい動きがある。
海外でも様々な法改正や規制強化、開示情報の品質向上が検討されており日本もその影響を受けている
日本の企業はこのような世界の潮流や規制を理解して経営のかじ取りを進めることが重要である。
【講演要旨】
1.アメリカの最近の動き(主なもの)
- ドッドフランク法の影響―内部通報者に高額報奨金を提供する制度
- FCPA−海外公務員に対する贈収賄禁止
- E−Discovery−米国民事訴訟法上当事者が秘匿対象以外の全ての証拠を開示しあってから訴訟を行う。証拠を提出できる社内体制を整備しておくことや秘匿すべき証拠を提出しないことも重要。
以上がアメリカにおける主な法規制の動きである。アメリカに限らず、日本の企業でも海外では理解不足や脇の甘いところを突かれて想定外の損失を出している事例がある。英国の贈賄防止法も含め、十分な研究と対策が必要である。
2.日本における最近の動き
- 取締役―内部統制については整備から「構築・運用」評価、対応までの執行責任を求められる
- 監査役―ベストプラクティスとして、内部統制評価の実施と監査報告での開示
― 有利発行の適法性第三者割当の必要性,及び相当性意見に対する意見表明
- JSOXの導入により組織内でリスクとコントロールの認識の共有が芽生えている
- IFRSの導入決算の品質と情報開示の品質を確保することのテェックが必要
- 会社法の改正(法制審議会で検討中社外取締役の設置義務化・要件の見直し監査・監査委員会の設置監査役監査の実効性を確保する仕組み会計監査人の選任・報酬決定など)
- 定時株主総会前に内部統制報告書を含む有報の提出が可能独立役員1名以上を確保監査役監査基準等の改正
3.今後の情報開示と監査役
- 財務情報と非財務情報をいかに適切に統合して開示品質を高めていくかかが重要、ステークホルダーがどのような非財務情報を求めているかなど十分な検討が必要である。
4.監査役と不正対応
- 会社として不正防止に取り組む体制が出来ているか否かが重要である。監査役は内部監査人の協力を得ながら経営者の不正管理体制を評価していく必要がある。
講師の高い知見と広い識見によって、本日の議題を総括していただきました。参加者からは活発な質問がありまたその後の懇親会でも有効な意見交換が行われました。
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研修会終了の後の懇親会で講師の神林比洋雄氏と歓談 |
以上