監査役部会 第6クール研修会 第7回目研修会
監査役部会第6クール研修会の第7回目が、次の通り開催されました。
講師のご講演はとてもわかりやすく、論旨も明解でかつ監査役実務のポイントがよく理解出来て大変良かつたと極めて好評でした。
- 開催日時:平成23年4月12日(火)15時〜17時
- 場 所:学士会館203号室参加者 約70名
- テーマ:最新の監査役の実務課題(その2)
〜コーポレートガバナンスから国際会計基準まで〜
- 講 師:三優監査法人 統括代表社員 杉田 純 氏
【講演の概要】
最近の急速な社会経済環境の変化、相変わらずの企業の不祥事の多発を受けて、企業のコーポレートガバナンスをめぐって、東証の規則改正、経産省の提言、日弁連からの第三者委員会のガイドラインの改訂、金融庁の内部統制制度の見直し、日本監査役協会の「監査役監査基準」の改訂まで幅広く、監査役にとって理解しておくべき課題についてのお話を頂いた。
先生の見解では、コーポレートガバナンスについて集大成が図られつつあるのではないかとのことでした。
【講演要旨】
- 東日本大震災と日本経済の復興
元のままでの復興は難しい。他国の企業は日本に同情しつつもビジネスチャンスとみている。我が国としては、新しいコーポレートガバナンスの確立と、生産・販売体制の見直し、省エネ社会の再構築、リスク管理体制の見直しをはかって危機を発展への糧にしていければと思う。
- コーポレートガバナンスに係る新たな動き
全体として規律の強化の動きがあり、ある意味ではコーポレートガバナンス体制が集大成が図られつつあると言える。
この1年間の動きとしても次のような動きがあった。
会社法の再改正の動きの中で法制審議会会社法制部会の中で監査役の権限の強化、監査の実効性を確保するための仕組み、社外監査役の要件の見直しなどが検討されている。
しかし会の論議の動向は、グローバルスタンダードの観点からの更なる検討の要がありそうである。
また、経産省も「今後の企業法制のあり方」を昨年6月に発表したが、世界の中でのコーポレートガバナンスの視点を同様に取り入れるべきであろう。
東証は、第三者割当に関する規則改正とこれに伴う監査役の意見入手義務付け、独立役員制度の導入と義務付け、多発する虚偽記載等に対応した上場廃止審査強化等が図られてきた。
日本弁護士連合会においても、企業の不祥事に対応した「第三者委員会ガイドライン」を改定し、より独立性・中立性を保てるような指針を出した。
一方で金融庁は、我国における内部統制報告制度の運用・整備が厳しすぎるのではないかとの意見を反映して、特に上場企業に対する内部統制報告制度の運用の簡素化・明確化を内容とした見直しを行い、3月30日に改訂基準を公表した。
日本監査役協会は、独立役員に関する規定、監査役監査の実効性確保、企業集団における監査役監査の基本規定、不祥事発生に関しての監査役対応の基本的考え方、第三者割当における監査役監査、内部統制システムに係る監査等に対応した「監査役監査基準」「内部統制監査実施基準」等の改定を3月に行なった。
- コーポレートガバナンスの改革
特に帝人のコーポレートガバナンスを例にあげて、グローバルエクセレンス獲得への挑戦として、過去の不祥事からの脱却を超えた経営の透明性、公平性、迅速性、経営と監視の独立性の確保などコーポレートガバナンスへの取り組みとその歩みの紹介があった。
- 監査役とIFRS
IFRSについては、来年の研修会で詳しく解説するが、この1年での話題としてIASBのサテライト・オフィスが東京に設置されることになった。
世界各国でIFRSの導入が加速している。
日本では2015年頃から、強制適用(段階的以降も視野)開始と予想している。
以上