(11/04/04 )


監査役部会第6クール研修会第6回研修会

 

松山遙氏監査役部会第6クール研修会の第6回目が、次の通り開催されました。

  • 開催日時:平成23年3月30日(水)15時〜17時
    (3月17日に開催予定を、東北関東大震災のため当日に順延)
  • 場 所:学士会館203号室 参加者30名強
  • テーマ:「株主代表訴訟と監査役の役割」
  • 講 師:波江野弘氏(トヨタ自動車法務部、日本大学法科大学院講師、名古屋大学法科大学院客員教授)

【講演の概要】

  1. 代表訴訟の法的性格、代表訴訟の歴史
    代表訴訟の法的な仕組み、企業を取巻く環境の変化の中で代表訴訟提起が容易になり日常的なものになってきた経緯など、具体的事例、典型的事例をあげて解説があった(感想:あらためて、代表訴訟に関する知識の整理に役立った)。
  2. 平成の代表訴訟の争点
    濫訴防止の為の担保提供制度、会社の被告取締役への補助参加、和解による終結、企業再編による原告適格、更には訴訟の内容(いわゆる経営判断の原則、内部統制構築責任など)、役員の損害賠償責任の限定など、代表訴訟が頻発したことにより顕在化してきた諸問題について解説があった。(感想:現在は立法的に解決されたり、最高裁判決で有権解釈がなされている諸問題の背景の知識は、代表訴訟を実務的に理解するのに大いに役立つ)。
  3. 最近の訴訟事例、会社としての留意事項
    最近の代表訴訟事例から、取締役が善管義務違反を問われる可能性がある五つの意思決定のパターンが示された。
    @ 馴れ合い型(取締役の違法行為等を放置)
    A 社内不祥事放置型(リスク管理体制不備)
    B 不知・誤解型(誤まった「会社のために」)
    C 読み違え型(時代背景の変化に鈍感)
    D 会社方針・経営判断非難型(会社補助参加もありうる)
    (感想:これらは、とかく曖昧な「取締役の善管義務」について、有権的に解釈されたものを具体的にしめしており、監査役監査の実務のメルクマールとして活用できる)。
  4. 代表訴訟を防ぐための監査役の日常スタンス(監査役へのアドバイス)
    取締役が経営判断原則(監査役監査基準19条)に基づく判断をしているかどうかの検証、並びに監査役に必要情報が提供される体制の維持が肝要である。

以上