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2012/03/01(No120)

「世界の将来と個人の責任」

大野 徹雄

筆者2012年に入ってすでに数ヶ月、北半球は政治・経済的に夢と希望に溢れている年に入ったとは言い難いようだ。そんな中、アフリカ大陸は、テロや自然災害発生への懸念にもかかわらず今のところ安定した成長が期待できる地域である。この大陸で、私は2010年9月まで国連広報センター(UNIC)所長として3年半余を過ごした。初めの2年半はナイジェリア・ラゴス、そして残りの14ヶ月はケニアのナイロビであった。

これ等の地において、国連機関は貧困の軽減、教育・医療補助、インフラや食糧生産システムの改善、人権保護、女性のエンパワーメント、環境対策など様々な分野で支援活動を展開している。国連広報センターは現地政府と協力し、国連組織がいかに地元の人々のために努力をしているかを知らせるべく、学校や大学でのブリーフィングなどを数多く開催した。電気の安定した供給のないような学校を訪問し、植民地時代の英国の伝統を受け継いだ制服を着た子供や学生たちに航空・海運、健康、教育、産業育成などのみならず、携帯電話のシステムや 宇宙開発まで広く関わっている国連機関の説明をすると、皆興味をもって聞き入ってくれた。同様の学校・大学訪問は、アフリカ大陸に赴任する以前5年ほどやはりUNIC所長として勤務したパキスタンでも頻繁に実施したが、児童や若者たちの関心はナイジェリア、ケニア同様に高かった。

ナイジェリア・ラゴスで植樹活動
ヴィクトリア湖畔にある
ケニア、キスム市の小学校での植樹式

これ等の国々でいつも説明したのは、国連は加盟国政府のみならず各国国民の理解と支持があって初めて十分な活動が出来るという点。また、私が現在コンサルタントをしているオックスファムのようなNGOの役割も大きい。それというのも、これらのNGOは国連への具体的な政策提言をし、国連の活動にも参加するからである。

それ故、国民各人は世界で何が起こっているかに注視し、調和した世界を築いていくためには如何にすべきかを常に考え、行動する必要がある。他人任せでは、世界は良くなりようもない。

おおのてつお ディレクトフォース会員 元欧州委員会代表部、国際連合広報局