2010年2月10日

トルコでの講演

向坂 勝之

ブルー・モスクにて

イスタンブールの
旧「オリエント急行」始発ホーム

聴講学生の一部と昼食後

「日本・トルコ・中央アジア友好協会」は、中央アジアからトルコに留学している学生を支援しています。彼ら学生に「自身の実務経験を通して戦後日本の産業化につき話をせよ」と言われ、アンカラとイスタンブールに行ってまいりました。
 中央アジアは、地下資源はあっても鉄鋼業も育っていない国もあり、カスピ海に面しても外の世界には外海で繋がっていない。日本の例が具体的な参考になるとは限らず、果たしてどれだけの関心を持ってもらえるのか、不安でした。しかし学生はそれぞれの国の将来を担う獅子たちで、真剣なまなざしで聞いてくれました。質問も会場で手を挙げる人より、終わった後で寄ってきて口々に声をかけてくるほうが多い。この辺が欧米の学生と違って、シャイというか、自己顕示欲に欠けるというか、しかし同じアジア人として気持ちはよく分かります。
 ソ連解体後の中央アジアは、過去の歴史や民族・宗教によって周囲との提携と対立が絡み合い、世界の注目度は低くても、中東に次ぐ複雑な地域のようです。ロシア、中国、インドという大国に隣接し、南にイラン(ペルシャ)が控えている。こういう地政学的に難しい国々で産業化を遂げ、真の近代化を実現するのは、明治維新や戦後の日本以上に困難なことかも知れない。しかし日本に対しては良い印象を持ち、好意的で、この地域に対する支援は我々の将来のためにも必要なことと、強く感じてきました。
 今冬のトルコは黒海に大きな寒気が居座り、十年に一度の寒さ。雪と曇天が続き、体感温度は零下に下がることもありました。しかしこれまでビザンチン文化と、オスマン朝にしか関心が無かったトルコの現在を垣間見ることができたのも、大変に有意義なことでした。関係の皆さんのご支援に厚くお礼を申し上げます。

以上
(写真=クリック拡大)


筆者の経歴
1941年生まれ
1965年東京大学経済学部卒業
2008年法政大学大学院修士
ディレクトフォース会員・元新日本製鉄・日本オセ取締役社長
元日鉄鉱コンサルタント取締役社長