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隈取り

歌舞伎同好会

世話役 貝塚 正彦(2016年版)

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矢印

2017年2月4日 更新

目 次

通算回数 テーマ / イベント名 実施日
第30回 11月 国立劇場「歌舞伎鑑賞教室」観劇会 11月13日(日)
第29回 7月 国立劇場「歌舞伎鑑賞教室」観劇会 7月10日(日)
第28回 5月例会「文楽鑑賞教室」鑑賞 5月14日(土)
第27回 平成28年1月観劇会  1月19日(土)

2016年12月13日 掲載

11月例会「仮名手本忠臣蔵 第二部」観劇会

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11月13日に55名の参加を得て、国立劇場で「仮名手本忠臣蔵 第二部」の観劇会をもちました。今年は国立劇場開場50周年記念で意欲的な公演がありました。今回は、「忠臣蔵」11段に所作事(舞踊劇)2段を加えて、全13幕の通し上演を、10,11,12月の3回に分けて上演するという壮大な試みでした。HPでチェックすると、3回の幕間を除く、演技時間はトータル12時間30分になります。江戸歌舞伎は、日の出から日没まで上演したそうです。それにしても、このような長丁場をどのように上演したのでしょう。いろいろな上演形式と、観客にも多様な観劇方法があったのだろうと思います。現代の東京人の皆さまには、演技260分、幕間55分に御疲れだったことでしょう。江戸市民は、時間の流れを、我々より、もっと悠々と楽しんだのでしょう。

「仮名手本忠臣蔵 第二部」は、所作事「道行旅路の花婿」から、5,6,7段の「お軽・勘平」の物語の始終を観ていただきました。初めて「忠臣蔵」に接された方は、「ええ、これが忠臣蔵?」と思われたかもしれません。山崎の百姓の娘お軽が、都会にあこがれて、OLになり、イケメン同僚の勘平さんを射止めて、ルンルン気分でしでかした軽はずみが、塩谷野社長の刃傷事件引き金になってしまい、若いカップルは悲劇の途に追いやられます。「忠臣蔵」は実在の赤穂事件を基にしていますが、お軽・勘平は全くのフイクションです。もしも、庶民が赤穂事件に巻きこまれたら、こんなことになったでしょうという作者の意図を伺わせます。

国立劇場=日本芸術文化振興会は、この50年にわたり、素晴しい仕事をやってこられたと感謝します。歌舞伎、文楽、能狂言の公演だけでなく、技芸員の養成に力を注がれています。

歌舞伎、文楽、能狂言に多くの演技者、技芸員を送りだしてきました。日本の政治家は「美しい日本」などと口にはしますが、文化に関心がありません。行政法人日本芸術文化振興会への支援が削られないよう監視しなくてはなりません。

終演後、3階の食堂ひまわりに移って、40名の皆さんと懇親会を持ちました。

(神村 記)

歌舞伎同好会

邊見さんのご発声で乾杯した後、歌舞伎同好会顧問神村さんに、歌舞伎の仮名手本忠臣蔵と映画や小説のいわゆる赤穂浪士物との違いについて解説していただきました。

写真は懇親会時のものです。歌舞伎にご興味のある方の入会をお待ちしています。

(貝塚 記)

2016年7月28日 掲載

7月例会「文楽鑑賞教室」鑑賞

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今年3回目の観劇会は、7月10日、国立劇場「歌舞伎鑑賞教室」観劇で実施しました。

「歌舞伎鑑賞教室」は毎年6月7月に国立劇場で催される歌舞伎普及を目指した催しで、同好会は毎年この公演に参加してきました。歌舞伎役者による歌舞伎案内と要を得た演目の解説は毎回好評です。観劇料の安さも魅力です。

演目は、新悟による「歌舞伎のみかた」と「三十三間堂棟木由来」でした。新梧の若手らしいさわやかな解説は明快で、こうした若い世代の役者さん達が伝統芸能を受け継いでいってくれることを嬉しく思います。

「三十三間堂棟木の由来」は、いわゆる人間と動植物の精との「異類婚姻譚」です。熊野山中の柳の精「お柳」と、柳が危うく切り倒されるところを助けた浪人武士横曾根平太郎が結ばれ男の子緑丸に恵まれます。緑丸5歳の折、悲劇が起こります。白河法王に病気治癒のため、熊野の柳を切り倒し、棟木に使った三十三間堂を建立せよとの霊夢があったためです。柳を伐る斧の音とともに「お柳」は苦しみだし、平太郎と緑丸に別れを告げ姿を消します。切り倒された柳の木は木遣り音頭とともに街道を引かれますが、突然動かなくなります。そこに平太郎と緑丸が駆け付けます、平太郎の音頭と緑丸の綱引きで、不思議や柳は動き出します。かわいい子役の演じる緑丸の可愛さと健気さは、みなさんの涙を誘ったことでしょう。

多くの「異類婚姻譚」は民話の世界に伝えられていますが。お芝居の世界では「葛の葉の子別れ」、「夕鶴」がよく知られています。これらの物語はいつも悲劇で終わります。破局をもたらすのは、権力、人間の欲や義理です。こうした動物との交情物語が伝えられたのは、昔々の祖先が動物達の世界と近いところに暮らしていたことを忍ばせます。

今回は28名のご参加を得ました。観劇後の恒例の懇親会を劇場内食堂で持ち、楽しい時間を過ごしていただきました。

次回は国立劇場50周年記念興行「仮名手本忠臣蔵」の10月、11月、12月の完全通し公演の11月第二部の観劇をいたします。忠臣蔵は「赤穂事件」を下敷きに、太平記の時代に仮託した時代物ですが、第二部は「お軽と勘平」の世話の世界の一部始終の完全上演が期待できます。作家の橋本治が、忠臣蔵の中心は「お軽と勘平のオフイスラブの悲劇」と解説しています。果たして、皆さまの「ガッテン」がいただけるかどうか。この機会をお見逃しのないよう多数のご参加をお願い致します。

(文責:神村記)

2016年5月21日 掲載

5月例会「文楽鑑賞教室」鑑賞

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歌舞伎同好会は5月14日(土)に恒例となった文楽(人形浄瑠璃)観賞会を国立劇場小劇場にてご家族含め32名が参加し開催しました。

今回は本年開場50周年を迎える国立劇場が中学生、高校生からお年寄りまで幅広い層に文楽に親しんでもらう為に昭和44年から長きに亘り開催され、今年で48回目の「文楽鑑賞教室」を鑑賞しました。

初めに「文楽の魅力」と称し文楽の解説を豊竹希大夫(太夫)豊澤龍爾(三味線)吉田 誉(人形)三方から非常に解り易い解説がありました。

文楽は「太夫は人物の台詞・心境や物語の状況をマイクを使わず響き渡る圧倒的な声量で語り」「三味線は単なる伴奏ではなく人物の感情や情景を表現」そして「人形をまるで生きているかのように操る」三業で成り立つ芸能です。

また人形の操りは一体の人形を3人で操る「三人遣い」が特徴で<主遣い>が人形のかしらと右手を、<左使い>が人形の左手と小道具の出し入れ、<足遣い>が人形の両足を担当して人間以上の人間らしさを表現しています。

さて、文楽の基本の解説を受けた後、いよいよ本命の文楽上演を鑑賞いたしました。
今回の演目は世話物というジャンルが生まれるきっかけとなった、男女の悲しい恋愛を描いた「曽根崎心中」です。

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曽根崎心中は<近松門左衛門>作で元禄16年(1703年)5月大阪の竹本座で初演されましたが、この物語は上演1か月前の4月に実際に起きた男女の心中を元に作られたものです。
この頃の公演は歴史上の出来事を扱う作品が多かったのですが、これを機に町人ものの「世話物」が数多く生まれたようです。

只、この作品の影響で心中が大流行し幕府からの取り締まりも有り250年余り上演が途切れてしまい、やっと日の目を見たのは昭和30年の文楽三味線方<野澤松之輔>の脚色・作曲での復活上演でした。

以後文楽を代表する作品として「曽根崎心中」は蘇りました。

人形のきめ細かい動きや表情、色々な表現を奏でる三味線、そして会場全体に響き渡る太夫の一人多役の声が調和し飽きることなく見入った「曽根崎心中」でした。

今回は終演後の懇親会はなく皆さん三々五々帰路につきました。

次回の歌舞伎同好会は7月10日(日)歌舞伎鑑賞教室です。

(文責:稲垣吉雄)

2016年1月21日 掲載

平成28年1月観劇会

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1月9日(土)浅草公会堂にて、今年最初の歌舞伎観劇会を催しました。ご家族を交えて40名の方にご参加いただきました。

開幕に先立ち、この日は尾上松也から「お年玉〈年始挨拶〉」があり、歌舞伎は敷居が高いと思われがちだが、面白い時には笑ってもいいし、自然体でご覧いただきたいとの話から、拍手のポイント、大見得を切った時の掛け声のタイミングまで実演を交えての解説がありました。

演目は、前回神村さんからご報告がありましたように、歌舞伎十八番の内「毛抜」と「義経千本桜」川連法眼館の場の二幕でした。「歌舞伎十八番」とは、市川宗家が家の秘蔵芸として十八演目定めたもので、一般的に十八番というと「得意なもの」をさすようになりました。

「毛抜」は寛保2年(1742)に大阪の佐渡嶋長五郎座で初演された『雷神不動北山櫻』の三幕目にあたります。七世市川団十郎によって歌舞伎十八番に選定された後、暫く上演が途絶えておりましたが、明治42年(1909)に岡鬼太郎の脚色によって二世市川左団次が復活上演し、今では人気演目の一つです。物語は小野家のお家騒動を背景に、文屋家の使者の粂寺弾正が、姫の奇病の原因を解明し、次々と悪事を暴いていく一幕。

「義経千本桜」は、延享4年(1747)に大阪竹本座で人形浄瑠璃として初演され、翌年、歌舞伎として上演されました。『菅原伝授手習鑑』『仮名手本忠臣蔵』と並ぶ三大名作のひとつです。全5段の内、今回上演されている「川連法眼館の場」は、四段目の切にあたることから、通称「四の切」と呼ばれています。源義経の忠臣佐藤忠信に化けた源九郎狐を主人公にして狐の親子の情愛と、狐と人間との慈しみが壮大に描かれた物語です。

新春浅草歌舞伎は、若手歌舞伎俳優の登竜門として知られ、今回も巳之助、米吉、松也等20代の若手が舞台を務めています。今後の成長を期待しながら熱演を楽しみました。

今年も昨年同様4回の例会を予定しております。次回は5月の「文楽」観賞、その後は7月、11月になると思いますが、各劇場ともこれからスケジュールが発表になるとのことですので、決まり次第ご案内いたします。多数の皆様のご参加をお願い申し上げます。

末筆になりましたが、2年間世話役をされました織本さんの後を、代役をしておりました私 貝塚が、引き継ぐことになりました。皆様のご協力を得ながら努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

(貝塚記)