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歌舞伎同好会 (2023年度版)

世話役 山口 隆
info_粋山会

目次

テーマ / イベント名 会場 実施日
歌舞伎同好会 観劇会報告 国立劇場 3月11日

掲載日 2023年3月31日

歌舞伎同好会 観劇会報告

3月11日、2020年1月以来3年振りに、歌舞伎観劇会をもちました。当日は、29名の会員、ご家族の参加を得ることができました。

出し物は、「初代国立劇場さよなら公演、鬼一法眼三略巻から、一条大蔵譚 五條橋の場」でした。現国立劇場は今年10月末を最後に建て替えのため閉場されます。壊さなくてもいいのにと、惜別の念を禁じ得ません。

“京の五條の橋の上、大の男の弁慶が……”の童謡と共に現れた片岡亀蔵の軽妙な解説「入門源氏の旗揚げ」から始まりました。五條大橋の牛若丸と弁慶のお話は、幼い頃、おばあちゃんに絵本を読んでもらいました。あの絵本のオリジナルが、歌舞伎 鬼一法眼の大団円であったことに合点でした。亀蔵の「五條の橋の歌詞を覚えていられる方手を挙げて」に上がった手は、わずかに見えました。

三人の子の命を守るため、清盛の執心に屈し、今は大蔵卿の妻となった常盤御前は、清盛の画像に向けて揚弓を射て、うっぷんをはらしています。夫の大蔵卿は狂言狂いの阿呆を装っていますが、真実は、源氏に心を寄せる常盤、牛若の心暖かい庇護者であったことが明らかになります。善き人が、方便として阿呆を擬装するのは是ですが、その逆はいただけません。江戸時代の人々からのメッセージは明快です。

歌舞伎の世界では牛若即ち義経は、悲劇のヒーローとして愛されてきました。江戸の町民は源氏再興の英雄にも拘わらず、兄頼朝の猜疑の為、悲劇の主になった義経に、心情を傾けました。是を「判官贔屓」と言います。「頼朝の野郎は、絶対舞台にのせない」とは江戸時代の町民の心意気でしょう。心意気嵩じて、義経死なず、ジンギスカンになったとの伝説を創り出しました。出演は、中村又五郎と歌昇、種之助兄弟の親子に亀蔵、魁春が脇を固めました。種之助・歌昇の牛若・弁慶は、文字通り絵に描いたようでした。

観劇終了後、場内レストラン十八番で17名のご参加で懇親会をもちました。余興として、神村から「一目でわかる日本演劇芸能史」とワンペーパー資料を準備しました。歌舞伎がどうして今日まで、古典演劇とし存在するのか。私たち現代人にとって、そのバリューは何か。を日本の演劇史を通覧することを通して、ご理解いただければと意図したのですが、意気込みだけで時間不足になり、説明の意を尽くせませんでした。反省しております。

次回は6月歌舞伎鑑賞教室、演目は「日本振袖始」。扇雀・虎之助の親子競演です。多数のご参加をお待ちしています。

引き続き、9月文楽、10月歌舞伎(いずれも国立劇場)、来年1月は歌舞伎で新国立劇場(初台)を計画しています。

歌舞伎同好会の新規会員を募集しています。入会ご希望の方は、下記までご連絡ください。

世話人:山口隆さん、yamaguchi_tyo@yahoo.co.jp

以 上(神村 安正 記)