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活動報告

西村美奈子 修士論文をもとに論文を刊行

2023年4月18日

このたび、修士論文をもとに編集した論文を出版する運びとなりましたので、ご紹介します。

題名
「プロティアンシフト」
— 定年を迎える女性管理職のセカンドキャリア選択 —
著者
田中 研之輔(法政大学教授)と西村美奈子(DF1318)との共著
出版社
千倉書房
出版予定日
2023年5月12日(現在、Amazaonで先行予約受付中です)

※本書は西村の大学院修士論文をベースに指導教授である田中研之輔教授と共著のもので、昭和女子大理事長・総長の坂東眞理子先生から推薦のお言葉をいただいています。

1986年に「男女雇用機会均等法」から今年で37年がたち、均等法第一世代として働き続けてきた女性たちが、今、「定年」を迎えようとしています。働く女性の職域はかつての周辺的労働から基幹職へとここ数十年で大きく拡大し、働くことを人生において重視する女性たちも増えてきています。しかし、令和の時代になった今でもまだ、組織文化や働く人々の意識の根底に男女の差別が存在しているのが現実です。女性たち自身にもアンコンシャスバイアスが存在し、それが障壁となっています。ましてや均等法の施行当時、形ばかりの制度と周囲の無理解の中、彼女たちはさまざまな男女差別に向き合ってきました。彼女たちにとって働くことの人生における意味は小さくはなく、「女性管理職」は仕事を人生で重視する女性の象徴とも捉えられます。男性と同様に責任ある立場で仕事に向き合ってきた「女性管理職」という立場には、女性ならではの悩みもあり、そして今、定年後のキャリアを模索し、定年後のセカンドキャリアをどうやって築いていけばいいのか悩んでいます。男性と違い、周囲にロールモデルがほとんどいない女性の場合、「定年後」を相談できる相手を見つけるのは本当に大変です。

本書では、均等法第一世代の女性管理職としてキャリアを形成してきた女性たちの生の声にインタビューを通じて耳を傾け、女性管理職としてのキャリア形成における悩みや葛藤、仕事への想い、次のステージへキャリアシフトしていく姿を追いかけました。定年という人生の転機をいかに乗り越えていくのか、女性管理職のセカンドキャリア形成の実態をプロティアン・キャリアの知見から明らかにすることを試みた書籍です。

尚、本書は、西村の大学院(キャリアデザイン学)の修士論文をベースに、指導教官であり日本におけるプロティアン・キャリアの第一人者である田中研之輔教授と共著で書き上げたものです。キャリア・エスノグラフィーという手法を使い一般の方にも読みやすいように再構成していますが、先行研究の分析なども織り込み、一般書よりは少し学術書的な香りのするものになりました。

以 上(西村 美奈子)