観光立国研究会トピックス

見学報告:「福島水素エネルギー研究フィールド」
「東日本大震災・原子力災害伝承館」および「震災遺構浪江町立請戸小学校」

2023年8月23日

地元横浜の団体NPOブルーアースの活動として、東日本大震災の被災地で "おもしろ理科教室" を行うため、2013年よりほぼ毎年相馬地区の小学校を訪問している(コロナ禍では、Zoom教室も行った)。

今年も6月26~28日の日程で3つの小学校を訪問したが、今回は少し時間に余裕ができたので、「福島水素エネルギー研究フィールド」「東日本大震災・原子力災害伝承館」および「震災遺構浪江町立請戸小学校」を見学してきた。

(1)「福島水素エネルギー研究フィールド」(2020年より実証運用)

NEDOが主導するプロジェクトで、“大規模水素エネルギーシステムの開発・実用化” を目指している。東京からNEDOの担当者が来てくれ、通常では見られない “大型水素製造装置” を見学することができた。

水素を “つくる” “ためる” “はこぶ” ”つかう” ためのインフラ・サプライチェーンも含めた総合的な研究を関連各社と共に行なっている。

東京ドーム五個分の巨大な敷地と全ての電力を賄うための太陽光パネルも印象的だった。

(1)の参考動画

(2)「東日本大震災・原子力災害伝承館」(2020年開館)

この伝承館は、“福島が復興に向き合ってきた「証」を、アーカイブ(資料)として収集、保存、展示する” 場所として開館した。多くの展示物・写真・資料に加えて語り部のコーナーもある。今回は時間が短かったが、じっくり見る価値のある内容だ。

(3)「震災遺構浪江町立請戸小学校」(2021年より一般公開)

大きな衝撃を受けた。震災遺構の小学校として石巻の門脇小、大川小も訪れたが、それらに比べ、請戸は平地が広く、一番近くの山(丘)まで2kmほどある。43人の生徒と先生が、早い決断をして駆け上った30分が勝負だった。そして全員助かった。多くの犠牲者を出した大川小との違いを思い知らされた。

(2、3)の参考動画

今の小学校高学年は、大震災の後に生まれてきた子供たちだが、親族の中に被害者がいて時が経ってもその生活にいろいろな影響を受けている。震災前、請戸の町は祭りで賑わう港町だった。港町に住んでいた子供たちはなんとか助かったが、街の全てが消えてなくなり、今なお福島第一原発から6kmの請戸漁港には活気が戻っていない。

以 上(三竿 郁夫)