2023年10月10日(掲載日)
酒蔵巡り報告(No. 2:22/11/11~12)
- 日時
- 2022年11月11~12日
- 参加者
- 平尾、 市古、 角谷 (計3名)
- 酒蔵
- 福禄寿酒造、 小玉醸造
1)福禄寿酒造
-
同社概要
-
秋田市の北東、電車で約30分の八郎潟駅よりタクシーで10分の場所に蔵がある。
1688年元禄元年創業、昨年創業333年。現社長は16代目。ブランドは福禄寿(主に普通酒)と一白水成(特定名称酒)。地元農家9名と酒米研究会を結成し研究、研鑽を積むなど米の栽培にも注力。渡辺社長は「日本酒は水」と水が最も重要と言う。大正10年の大火による消失を免れた18世紀末~19世紀初めに建てられた蔵の一部(原酒貯蔵場所)は登録有形文化財指定されている。 -
杜氏は山内杜氏組合に属するが近場の人。蔵人8名のうち半数は冬場のみ(出稼ぎ)。
山内は昔の山内村、今の横手市。冬場の農閑期に蔵に出稼ぎに出ていた蔵人の中から選ばれる杜氏が山内杜氏。
-
秋田市の北東、電車で約30分の八郎潟駅よりタクシーで10分の場所に蔵がある。
-
製造工程の説明
-
原料処理
精米(自動精米機)米は契約米。飯米使用していない。洗米・浸漬(自動)蒸米通酒用には自動蒸米機を使用、高級酒用は蒸し樽。→→ 酒母
→ 麹米 -
醸造
製麹(麹造り)麹室で3日間掛け、4日目朝出麹酒母(酛)造り醪約1カ月間上槽(搾り)薮田式濾過圧搾機使用。パネルを数枚横型に重ねたアコーディオン型搾り機にかけると約10時間で酒と酒粕に分離。粕はパネルに付着。
-
原料処理
-
原料米
全て契約栽培農家より購入。秋田酒こまち、美山錦、美里錦等 -
水
秋田県の水は可成り硬度が低い軟水が一般的ながら、同社は中硬水を使用。 -
試飲
2)小玉醸造
-
同社概要
- 秋田駅より北に電車で30分の羽後飯塚駅下車、徒歩10分の地に12000坪の広大な工場敷地を擁し、1879年明治12年味噌醤油醸造業を創業。大正2年酒醸造をスタート。「酒は天下の大平山」。社長は5代目、社長夫妻と長男で家族経営。
- コロナ前は酒50%、味噌40%の比率が現在は逆転、味噌50%。残る10%は醤油。酒の輸出にも力を入れ、オーナー小玉氏の奥様が輸出を担っている。今年の輸出は前年に比し3割アップしている模様。主に米国である。日本酒のおおよそ7割は速醸酛、3割が生酛。小玉健吉氏が開発した秋田流生酛を進化させている。
-
製造工程の説明
-
原料処理
精米(自動精米機)米は契約米。飯米使用していない。麹洗米・浸漬(自動)一般酒は機械で、吟醸酒は手桶で洗米。蒸米普通酒用には自動蒸米機を使用、高級酒用は蒸し樽。→→ 酒母
→ 麹米 -
醸造
製麹(製麹=麹造り)麹室で2日間掛け、枯らし室で1日、計3日で完成
麹はもやしとも言い、もやし屋から購入。酒母(酛)造り全体の7割が速醸、3割が生酛醪酒母の4日目から数え20日で完成上槽(搾り)薮田式。最初はあらばしり ⇒ 中取り ⇒ せめ(攻め)
-
原料処理
-
原料米
全て契約栽培農家より購入 -
水
60km離れた大平山の麓からローリーで運ぶ。水は硬度20~30度と“超軟水” -
輸出
米国中心に拡販努力中 -
試飲
市内和食店徳にて数種 -
所感
広大な工場敷地の周辺には小玉家の本家、分家の用地が多い。最寄り駅の駅舎寄贈。地元の音楽家と秋田を世界に売り込むために今年から始まった「秋田・渕上国際音楽祭」を支援。200人強収容できる蔵をコンサート、写真展等イベント用に提供するなどメセナに積極的で、地域との共存・協調を図っている姿勢が伺える。
以上 (角谷 充弘)