DF企業ガバナンス部会Aグループは10月27日、早稲田大学ファイナンス稲門会(金融・ファイナンス業務に興味を持ち財務・経理・為替などを専門とする早稲田大学卒業生の団体)で標題の講演会を実施しました。
早稲田大学ファイナンス稲門会 (finance-tomonkai.com)
おおむね、聴講者には良い評価を頂きましたが、改善点も指摘されました。制限の2時間、目いっぱい説明に終始し、質疑応答時間がなかったことが悔やまれるところです。
講演後の聴講者アンケート調査では、
良かった点として
- 資料が豊富で、経済金融を歴史的側面から確認し、将来への提言がなされており、とても勉強になる内容だった。
- 経済の歴史的観点など解説して頂けて非常に面白かったです。
- たいへん大きなテーマに、各メンバーがそれぞれの切り口で取り組んでいたこと、時間をかけて研究され、議論を重ねて発表されたことがわかる内容でした。
- 今回はこれまでに比べてそれぞれの方の話が非常に面白かった。
一方、改善点としては
- 思想・哲学等を下敷きにした考察に欠け、資料をまとめただけのように受け取れた。
- 詰め込み過ぎでメッセージがあまり明確でない。時間は最長でも1時間半くらいでしょうか。2回に分けてもよかったのでは。説明時間が長く、質疑応答の時間がなかったのはもったいなかった。
- 資料がオンライン向けではないように感じました。もう少し見やすく作られたほうがいいのではないでしょうか。
なお、講演内容は7月にDFのHPに公表しているものを少しリメークし次の通り。
- 第1章
- 資本主義の発展・現資本主義のジレンマと日本経済再生の処方箋 (越後屋)
- 第2章
- 失われた30年の原因と日本らしい資本主義 (田中)
- 第3章
- 「新しい資本主義」と「人への投資」 (斉藤)
- 第4章
- 福沢諭吉の経済思想からのヒント (宮崎)
- 第5章
- 日本企業再生の成功事例と新しい成熟社会モデル (牧野)
日本の経済は「失われた30年」といわれ長期間低迷し、その要因は少子高齢化、労働力不足、生産性の低迷(一人当たりGDP・時間当たり生産性の低迷)、財政のプライマリーバランス、生産の海外移転、産業の新陳代謝の後れ、内向きでリスクを取らない体質(イノベーションが起きにくい)、過当競争、中小企業の疲弊、規制問題などがあり、それらが複雑に絡み合っている。
しかし、逆にDX改革、リモートワーク、GXの高まり、ポストコロナ、超成熟社会など日本は変革の好機を迎え、今まさに反転攻勢をするときである。
DF有意の5名のメンバーが半年かけて議論しまとめたものである。アプローチ方法はそれぞれ異なるが日本再生を願い、実業人の観点から、低迷する日本経済の再生、その根幹にある日本固有の資本主義の在り様などについて分析、対策を試みたものである。これが岸田首相の言う「新しい資本主義」を進めるにあたって少しでも参考になるならば幸甚である。
(越後屋 秀博、田中 久司、斎藤 龍三、宮崎 泰雄、牧野 義司)