山崎レポート「2023年第3四半期までの電動化の推移」

活躍する会員(2023)
2023年11月27日

2023年3Qまでの世界の電動車について、山崎雅史会員(804)調査レポートを動画で頂きました。いつもながらの見ごたえのある大作です。以下、山崎さんからのメッセージです。


2023年9月までの電動車についてのデータがほぼ出そろったので、中国、米国、欧州市場について2023年第3四半期までの電動化の推移を約20分の動画にまとめてみました。

現時点では中国ではBYDが独り勝ちの様相を呈していますが、BYDやテスラをはじめ、EVを柱として新たに自動車産業に参入してきたメーカーにはテストコースらしきものが見当たらないのがずっと気になっています。今まで内燃機関車を生産してきた自動車メーカーでは走り、曲がり、止まるというクルマとしての基本性能や音振を徹底してテストコースで検証し、それぞれのモデルに個性をつけて市場に送り出すことが開発の最終段階の一大イベントとしてきており、それはEVの開発でも引き継がれています。

テスラやBYDのビジネスモデルのなかには限られたリソースをEVの技術開発と生産設備に集中し、大規模なテストコースの建設と維持は膨大な費用と時間を必要とするので、デジタル化とシミュレーションで済ませ、走行テストは公道で済ませ、製品開発サイクルを短縮していると思われます。BYDのクルマで同乗者だけでなく、ドライバーまでもが車酔いをしたとの試乗記や低速でインバーターから聞こえてくる高周波音や高速での風切り音の苦情を知ると、「そこそこの状態」でまずは市場に出し、市場からの苦情やフィードバックを受けて改善を加えるアプローチを取っているように思えてなりません。ソフトウェアで採用しているスピード重視の得意の「アジャイル開発」のアプローチを走行性能にも適用しているのかと疑ってしまします。

鴻海精密工業がEV化に乗り出すときに「スマホにタイヤをつければ次世代自動車だ」と鴻海のトップが言い切った言葉を思い出します。クルマの持っている Fun to drive の要素はたとえ自動運転車であれ Fun to ride の形で残るべきです。BYDやテスラに対抗して、早く日本から「クルマ屋の創るEV」が世界に出ていってほしいものです。それを待ち望んでいる消費者は世界中にいると思います。

「データで見る電動車への推移 2023年秋」は以下のURLからご覧ください。

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以上(小林 慎一郎)