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2022/12/16 (No. 379)

140回を迎えた『DF経済・産業懇話会』を振り返る

浅野 応孝

浅野 応孝

DFが20周年の節目を迎え、シニア交流ソサエティーとして着実に進みつつあること、嬉しいことです。

『DF経済・産業懇話会』も2010年に始めてからこれまで、ほぼ休むことなく毎月の会合を重ねてきた。よくここまで続いてきたと思うところもあり、振り返ってみた。

もともとは技術部会の会合で席上提案による勉強会の設置だ。当時私は外資系会社のアドバイザーをしており、また出前授業で学生たちと話す機会もあった。海外からの訪問者などは、我々の専門とはお構いなしに日本のことを色々と聞いてくるが、それにまったく対応できない話題があっては失礼と思っていた。また学生たちには最新のトピックスを入れた話をするように心掛けていた。ということで提案は社外の人や後輩たちと話すときに広く産業や経済の知識を広げておこう、という目論見であった。

初めは15名位の人数で3回にわたり日本の産業を取り巻く課題は何かを取り上げ、何を議論すべきかを話し合った。表題として「日本産業は何を目指せば生き残れるか」と定めた。どのようなテーマを討議するかをリストアップし、会の進め方などを決めそれをもとに外部の講師を招き議論を始めた。

当初には「こんな議論していても無駄」と言い、止めたらどうかと私に助言し去っていく方もいたし、議論したいテーマについての講師の選定にも苦労があった。

しかし、会が進むにつれ話題も広がり、討議後の居酒屋での懇親会も捨てがたく、次第に会員も増えて活発な議論も楽しみとなった。外部から専門のお話を頂ける講師の方も多様で、例えば2017年に経済産業省の若手官僚のグループが日本の問題点についてまとめた提言「不安な個人、立ちすくむ国家」が、日本の進む道としてシルバー民主主義からの脱却を表に出した論文として話題を呼んだ時、われらDFの先達として、この議論に一言いいたいと経済産業省の担当リーダーにDFまでお出ましを頂き、討議をしたこともあった。

時には様々な現場の見学会で、見聞を広げることも組み入れてきた。首都圏洪水防止の調整水槽、いわゆる地下神殿の見学など印象深い見学会もあった。

最近では講師にDFメンバーの方にお願いすることが増えている。

ところがそこに、COVID-19が立ちふさがり、会合が一時中断した。勿論外部の見学会や居酒屋での反省会もなくなった。2019年にはすでに100回の節目を超えていたので、この機会に止めようと考えた。しかし、中止を惜しむ声もあり、サポートとして運営・企画で応援頂けるメンバーに加わっていただき、Zoomでの討議会として懇親会もオンラインという形で再開した。

それまではDFの会議室のスペースの問題もあり、毎回20名前後の参加者であったが、オンラインになりむしろ参加者が増えたようなこの頃である。

今は、技術部会以外の会員(銀行、商社、マスコミ、ジャーナリスト等製造部門でないメンバー)も多くなり、60名を超えてきた(但し声のない幽霊会員は自動退会にして参加者のレベルを保っている)。テーマも日本の産業や経済だけでなく、最近ではコロナ問題対応や中国問題、さらにはロシア研究会の菅原信夫さんの協力を頂き、ロシア研究会共催でウクライナ情勢検討会の開催など、時節に合ったトピックスで賑やかな討議が続いている。特にロシア研究会とのコラボはすでに4回を重ね、マスコミでは得られない情報で話が進められ興味深い会となっている。元伊藤忠でロシア滞在が長く、特に天然ガスプロジェクトでサハリンに7年も駐在された、杉浦敏弘さんによるロシアのエネルギー問題の深層に迫る話やプーチンを取り巻くホットな話題など、楽しい会合になっている。

毎年1月には元日経新聞の望月直躬さんによる「今年の経済見通しとニュースの勘所」という話があり、多数の資料やデータを駆使しての解説で一年のトピックスを占うのが恒例になり楽しみとなっている。情報が多岐に及ぶので、前回は追加補講の会までやり賑やかな議論が進められた。

首都圏外郭放水路(地下神殿)2019年12月見学時
首都圏外郭放水路(地下神殿)
2019年12月見学時

早くコロナが収束し、リアルでの懇親会や見学会ができるようになることを期待している。一方でオンライン開催により参加者が増加し、最近は40名を超えるような参加者の状態を考慮すると、DF会議室での会場やリアルの懇親会が今までのような形でできるのか、心配でもある。

正直なところ、半年先まで見据えてテーマ選びや講師依頼、日程などを決めていく準備作業や毎回の議事録作成はストレスである。

また、実務から離れて長くなると、それまで培ってきた外部のネットワークも切れてしまい、外から講師が呼びにくくなっていることもある。いつまで続けられるか判らないが、もう一年もう一年と思いながらここまで来た。これから先も、またもう一年かなと思っているこの頃です。

以上
あさの まさたか(84)
(元・三菱化成)

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