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2022/11/16 (No.377)

SAKEとWINEの日々

角谷 充弘

角谷 充弘

かねてよりワインのみならず日本酒も体系的網羅的に勉強したいと考えていたところ、以前ワインを勉強したワインスクールで日本酒講座があると知り、一昨年3月から月に2度、1回あたり2.5時間の講義とテイスティング講座にほぼ6ヵ月間通った。コロナで行動制限が課される中、空いた時間を有効に使って勉強出来たこと、日本酒について広く深く体系的に知識を得る事が出来たと満足感があった。

日本酒を勉強した結果、日本酒もワイン同様に、惹きつけられる何かがあり、幅広く奥深く関心を持てば持つほど吸い込まれて行く限度のない世界であるとわかった。一昨年はひたすらスクールで教わり、教本で頭を整理する1年であった。昨年以降は実践の段階に入り「SAKE(日本酒)とWINE(ワイン)の日々」となった、薔薇はないのだが。外での飲み会や会食が激減、昼食と夕食は殆ど家で摂っている。家内の作るささやかな食事に合わせて毎回日本酒を飲むか、ワインにするか、両方試してみるかと選択を繰り返す毎日である。これは実に楽しいルーティンとなった。唯、問題が二つ出て来た。一つは、体は一つしかなく飲める限度量は変わらないという事、二つ目はこれもあれもと買いたくなるので、ワイン専用のクーラーに日本酒も押し寄せすぐ満席となり溢れる酒をどう保管するか悩ましい。より大きなクーラーに買い替えれば良いだけの話だが、アルコールを飲めなくて毛嫌いする家内の抵抗もあり容易ではない。

日本酒を知って味がわかるようになると、一度に数種類を飲み比べたくなるし、わかる人と酒について喋りながら飲みたくなる。これからは日本酒を飲みたいと誘える相手も見つけねばと考えていた矢先の昨年半ば、DFに新たに日本酒同好会を立ち上げるとの話が飛び込んで来て私はすぐ手を挙げ入会させていただいた。昨年秋以降二ヵ月おきのペースですでに数回例会を重ねており、ようやく気軽に声を掛けられそうな方にも巡り合えそうだ。ワインの外飲みの場合いつも4~5名を集める。すると食事に合わせ3~5本の異なるボトルを味わうことが出来る。日本酒を外飲みする場合、ワインと異なり通常1合単位でオーダーできるので誰かを誘って二人で飲んでも数種類の酒を楽しむ事が出来るのは利点である。ワインの魅力を知るとどうしてもワイナリーに出掛けたくなるのと同様に、どんな場所でどのように稲が栽培され酒米となり酒となるのか、全国の主要な田圃、酒蔵を見て廻り、目で確かめ舌で味わう旅を続けたいと考えている。

2000年代中頃迄は、欧米人は日本酒を指して Japanese Wine と表現する事が多かった様に記憶しているが、一般の日本人も日本酒をその様に英語で表現していた。しかし今日日本ではすでに世界で認められるワインを造っており、今や Japanese Wine と言えば日本酒をイメージする人より日本産のワインをイメージする人の方が多くなっていると認識する必要がある。では、日本酒をどう表現するのか。SAKEと表現されるようになった。

SAKEの国内市場は1973年をピークにその後一方的かつ急速な右肩下がりに転じ、今では内需は何と当時の1/4、45万Klまで落ち込み低迷している。当然酒蔵の数も同期間に3500から1400軒へと1/3にまで減少している。その間生き残った酒蔵では世代交代も進み、昔ながらの酒造りでは生き残れないと先代とは異なる酒造りの道を模索している蔵が多い。高齢化の進展、人口減少化が進む中、海外市場開発が一つの戦略となるのは自然である。内需の先行きに危機感を持った若手蔵元を中心に20年程前から海外市場開発の取り組みが進められ、その努力の甲斐があってSAKEの認知度が高まりつつある。40年位前から毎年ロンドンで開催されている世界最大のワイン品評会 IWC (International Wine Challenge) は、ワインに加え2007年から新たにSAKE部門を創設。世界的に権威ある専門家により日本酒が評価される仕組みが出来、蔵は競い合うようになった。この品評会での受賞酒を外務省は2011年以降在外公館で振舞うようになったことにより、日本酒の認知度が高まり世界中に浸透して行くことだろう。

ご神体三輪山を抱く酒の神様三輪明神と日本酒発祥の地奈良で伝統を育む三輪山麓の酒蔵
ご神体三輪山を抱く酒の神様三輪明神と日本酒発祥の地奈良で伝統を育む三輪山麓の酒蔵

最後に最近の話題を2、3追ってみたい。
ワインを嗜む人は通称ドンペリ、ドンペリニョンと言うシャンパンをご存知だと思う。そのドンペリの醸造責任者を28年間務め世界中に名を轟かせたフランス人ジョフロワ氏が何と次の仕事として富山県・白岩町に酒蔵を建設中で、2年後を目指してSAKEを醸造するというプロジェクトが進行中である。一方、名古屋の酒蔵のオーナーは南仏カマルグで米を栽培、現地でSAKEを醸すプロジェクトを進めている。パリと東京・三軒茶屋でSAKE造りに励む若手醸造人もいる。いずれもSAKEがワイン同様和食のみならずフレンチ、イタリアン、中華など非和食にも合うと認識されるようになった事実を背景に、世界に羽ばたける遠くない将来を見越した動きであろう。

以上
かくたに みつひろ(766)
(元・昭和電工)
(日本酒同好会、観光立国研究会)

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