2022/10/1 (No.374)
髙橋 宜治
さて、昨年の東京オリンピック開催が遥か昔のことのように思われます。時間の進み具合を早く感じるのは加齢のせいだと誰かが言っていましたが、果たして?
今夏、米国オレゴン州で世界陸上が開催されました。
大変うれしいニュースの一つにサニブラウン選手が日本人として、世界選手権、オリンピックを通じて実に90年ぶりの100m走のファイナリストとなったことです。
決勝では10秒06で7位に終わりましたが、世界の7位ですから大変なことですし、コロナ禍の暗いニュースの多い中で明るい話題でした。
そこでちょっと振り返りをしてみました。
90年前と言えばロスアンゼルスオリンピック(1932年)の時に100m決勝に進んだのは当時「暁の超特急」と呼ばれた吉岡隆徳でした。結果は10.79秒で6位でした。
優勝はエディ・トーラン。
彼は「Midnight Express」と呼ばれ、10.38秒の世界新記録で優勝しました。
現在の世界記録は2009年にウサインボルトが出した9:58秒です。
90年で0.8秒の更新です。90年でこれだけと思うかもしれません。そこで、エディ・トーランとボルトが一緒に走ったとするとどのくらい差がつくか?計算すると、ボルトがゴールした時にトーランは92,26メートルの地点にいます。つまり、この90年間で約7.7メートル速くなったことになります。
1932年のロス五輪と言えば、三段跳びの南部忠平氏を語らないわけにはいきません。15m72cmで金メダルを取りました。しかし、この陰に隠れて南部氏が走り幅跳び7m45cmで銅メダルも取っていました。実はこの時の走り幅跳びの世界記録保持者が南部氏で7m98cmでした。
因みに、現在の三段跳びの世界記録はジョナサン・エドワーズ(英)が1995年に出した18m29cmです。同様に90年前と比較すると2m57cmの更新。
現在の走り幅跳びの世界記録はマイク・パウエル(米)が1991年に東京で出した8m95cmです。1968年のメキシコオリンピックでボブ・ビーモンが出した8m90cmは破る者がいないだろうと言われていましたが、23年ぶりに5cm更新しました。90年前の南部氏が保持していた世界記録と比べると97cm更新されています。
こんなこと言っていると切りがありません。コロナ禍ではありましたが一瞬忘れさせてくれた大会でした。