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一般社団法人 ディレクトフォース

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2015/08/16(No203)

48歳からの博士号

伊東 幸子

筆者

このたび、3年半の通学ののち、「商学博士号」をいただくことができました。

私は、大学の政治経済学部を卒業後システムズ・エンジニアとして勤務ののち、ご縁があって大学生のキャリア支援の仕事に巡り合いました。この仕事に大きなやりがいを感じ、ほぼ15年この領域で仕事をしてまいりました。大学からキャリア支援の仕事を受注する会社(現在は休眠中)を立ち上げたり、様々な立場で仕事に関わってきましたが、現在は理工系国立大学法人のキャリアアドバイザーとして仕事をしています。

7月21日の一橋大学附属図書館

大学生に対するキャリア支援・教育という領域は、確立した学問と違って「何を教えるか」の定番が見えにくく、具体的に日々何をしていくか悩みが尽きません。「専門家が他にいないということで私が授業、ガイダンス、進路相談などを担当させていただいているけれど、このやり方で良いのかな?」と疑問を感じることも多々あり、理工系学生の主要な進路になる「技術者のキャリア」について、せめて自分なりに一度きちんと勉強しておこうと思ったのが、「48歳の博士課程進学」のきっかけでした。

入学後の3年半は、学業と週2〜3日の大学での仕事以外ほとんどのことをお断りして、随分と「人付き合いの悪い」生活を送ることになりました。ゼミで手抜きの発表をすると「今回はお手軽に処理してしまいましたね。はい、ここは全部削除!」と容赦なくぶっとばされてしまいます。稀に少し調子が良かったりすると「じゃあこれもやりましょうか」と、新しい課題を山ほど追加されてしまいます。「出来ないと地獄」「出来ても地獄」の世界で、これは学業のことのみ考えていられるかどうかが勝負だな、他のことは極力やめなければと途中で悟りました。書いた論文そのものは未熟で疑問はますます深くなるばかりですが、起きている時間のほとんどを1つのことを考え続けたのはサボリ性の私にとって人生初体験、本当に貴重な時間だったと思います。

副指導教員 青島矢一先生のゼミ風景 指導教員 守島基博先生宴会風景

「技術者の能力と昇進」というタイトルの博士論文を書くにあたっては、DF技術部会の11名の皆様にインタビューのご協力をいただきました。ある先生からは「本質的なことが描写されていて、大変面白かった。僕は好みです」というコメントをいただきました。自力ではなく、11名の精鋭たちの「素晴らしい他人のふんどし」をお借り出来たおかげで叶ったことで、感謝の気持ちが絶えません。

DF会員の皆様は、本当に素晴らしいご経験をお持ちの方々ばかりです。実務で大活躍の現役時代を卒業されたあと、その経験をまとめる、現役時代の問題意識を探求する、何より、1つのことに打ち込み日常とは一味違う充実した時間を過ごす手段として、大学に通い論文を書くこと(博士論文に限らず)は有望な選択肢の1つではないかと思い、お礼かたがた、私の拙い経験をここでご報告させていただきました。ありがとうございました。マーク

いとう・さちこ ディレクトフォース会員(369)
元日本IBM 現東京工業大学イノベーション人材養成機構

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