2016年2月18日
定期例会(総会・講演・交流会)
講演・交流会の概要(2015年)
2016年2月18日 更新
例会名 | タイトル | 講 師 |
---|---|---|
11月講演・交流会 | 憧れの国・日本との絆をさらに深めるために ー 再発見・モンゴルの魅力 ー | U.ウルジ 氏 |
10月講演・交流会 (第14期会員総会) |
日本の安全保障と中国情勢 防衛大学校、中国情勢、日中関係 | 國分良成 氏 |
9月講演・交流会 | 「国境なき医師団の活動-フィールドへ駆りたてるわけは!」 | 黒﨑 伸子 氏 |
7月講演・交流会 | 「激動する国際情勢と日本」 | 田久保忠衛 氏 |
6月講演・交流会 | 「暴走する中国経済‐中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の行方」 | 柯 隆 氏 |
5月講演・交流会 | 『日本海・表層型メタンハイドレート資源の探査』ー2013年、2014年度調査が教える豊かな日本海ー | 松本 良 氏 |
4月講演・交流会 | 生活の中の修行 | 藤波 源信 師 |
3月講演・交流会 | 木に惚れる | 志村 史夫 氏 |
2月講演・交流会 | 私の生きた時代と今何故地球憲章か | 広中和歌子 氏 |
1月講演・交流会 | 2015年は3年遅れの昇竜年 頑張れ日本 頑張れ日本の中小企業 | 橋本 久義 氏 |
2015年11月27日
11月講演・交流会(第158回)
銀杏の落葉で道路一面が真黄色に埋め尽くされる11月16日(月)82名の参加者を得て、学士会館202室にて第158回講演・交流会が開催されました。
講演のテーマは「憧れの国・日本との絆をさらに深めるために ー 再発見・モンゴルの魅力 ー」。講師にU.ウルジ氏(モンゴル国商工会議所 日本会頭)をお迎えいたしました。
講演に先立ち、壇上のスクリーンには、青空の下のモンゴルの大平原が写し出され、上手ではモンゴルセンターの馬頭琴演奏者ボルドエルデネ氏(2015年モンゴル国大統領より北極星勲章を受賞)の演奏が始まりました。全員が、演奏に聞き入り大平原に思いを馳せた頃に講演が始まりました。長年日本に在住されているウルジ氏は、流暢な日本語で時には笑いを取りながら、モンゴル国の紹介に始まり日本との関連、ご自身の日本とのかかわり等ナマでしか聞けないような数々のお話しをされました。参加者一同すっかり惹きつけられ、モンゴルに関する理解と興味を深めることが出来たものと思われます。
講演に引き続き新入会員の加藤信子さん(1103)松本雅登さん(1105)三宅浩之さん(1107)の紹介があり、みなさんから簡単に自己紹介がありました。
懇親会は、紹介者嶋矢志郎氏の乾杯で幕を開けました。その後、馬頭琴演奏者ボルドエルデネ氏による馬頭琴の演奏やホーミー(アルタイ山脈周辺民族の間に伝わる喉歌と呼ばれる歌唱法のうち、西部オイラト諸族(モンゴル国西部と中国新疆ウイグル自治区北部に居住)に伝わるものの呼称)の歌唱が披露されました。馬頭琴による馬や駱駝の鳴き声の演奏にはその巧みな技に感動したようでした。また、ホーミーによる日本の歌である『ふるさと』には驚きを隠せませんでした。身近に接する機会の少ない馬頭琴の演奏に多くの会員は携帯電話やスマホで撮影をしていました。
懇親会へは、ウルジ氏とボルドエルデネ氏も参加され両氏の前には、質問のため長い列が出来ました。数人の会員より『今までと一味違った講演・交流会で楽しかった』『たくさんの会員がこの雰囲気を味合うことが出来ればよいのに』等のお言葉をいただきました。今回も歓談の輪がいくつもできて盛り上がり、それぞれ満足してお帰りになったものと思われます。この雰囲気をもっとよくお伝え出来ずもどかしく思います。是非出席された方に講演・交流会の様子をお聞きになるのもよろしいのではないでしょうか。
講師のU.ウルジ氏 | 新入会員の皆さん | |
紹介者の島谷嶋矢さんと乾杯 | 盛り上がった歓談の輪 |
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年10月21日
10月講演・交流会(第14期会員総会)
爽やかな秋晴れの下、10月13日(火)学士会館で154名の会員の皆さんに参加いただき、第14期会員総会が14時から開催され、引き続き定例の講演会と交流会が行われました(総会の詳細はこちらからご覧ください=会員限定)。
今回で157回目となる講演会は講師に防衛大学校校長 國分良成氏をお迎えして「日本の安全保障と中国情勢 防衛大学校、中国情勢、日中関係 」というテーマでお話をいただきました。
国分校長の講演は表題にある「日本の安全保障と中国情勢」をベースに要所要所で繰り広げられた洞察力のある内容で、ナマでしか聞けないような数々のお話しに参加者一同すっかり惹きつけられ、日本を取り巻く諸問題にさらに理解を深めることが出来たものと思われます。
講演で使われたレジュメとスライドは会員限定でご覧いただけます(下の画像をクリックしてください)。講演会に参加できなかった方は、これらの資料をもとに、出席された方に講演会の様子をお聞きになるのもよろしいのではないでしょうか。
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レジュメ 「日本の安全保障と 中国情勢」 |
スライド 「防衛大学校」 |
講演に引き続き新入会員の中山憲二さん(1099)高橋進さん(1098)関口洋一さん(1100)の紹介があり、みなさんから簡単に自己紹介がありました。
懇親会は201室へ移動し、國分良成氏もご参加され紹介者嶋矢志郎氏の乾杯で幕を開けました。國分良成氏の前には、質問のため長い列が出来ました。また多数の参加者であったためか久方ぶりの再会に歓談の輪がいくつもできて盛り上がり、それぞれ満足してお帰りになったものと思われます。
講師の國分良成氏 | 新入会員の皆さん | |
講師の國分氏と会話を交わす | 盛り上がった歓談の輪 |
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年9月25日
9月講演・交流会
猛暑の夏が去り初秋を迎えた9月14日(月)83名の参加者を得て、学士会館202室にて第156回講演・交流会が開催されました。
講演のテーマは「国境なき医師団の活動-フィールドへ駆りたてるわけは!」講師は黒﨑伸子氏特定非営利活動法人国境なき医師団日本前会長です。黒﨑氏の講演は自らも外科医としてスリランカ、ヨルダン、リベリア、ナイジェリア、ソマリア、シリアなどへ赴き極めて困難な環境の中でご尽力された様子が時に熱く、時に淡々とした講話の中でひしひしと伝わります。危険が迫り急遽撤収せざるを得ず、治療途中で残してきたことが痛恨の思いとして残り、今でも患者の顔と姿が目に浮かんでくるという話には目頭が熱くなりました。以下に黒﨑氏がWeb用に執筆いただいた原稿を転記いたします。
国境なき医師団は、活動資金のほとんどを民間からの寄付でまかなっており、独立・中立・公平の原則に基づく人道援助活動が評価され、1999年にはノーベル平和賞を受賞しました。
世界約70の国と地域で、日本人医師や看護師をはじめとする3万6000人のスタッフが、援助活動を行っています(2013年度)。皆さまのご理解とご協力をいただけると幸甚です。
◇ ◇ ◇
「国境なき医師団の活動-フィールドへ駆りたてるわけは!」
黒﨑 伸子
特定非営利活動法人国境なき医師団日本前会長
1.国境なき医師団とは…設立とその信念
1971年フランスで設立された。独立、公平、中立に基づいた医療援助活動および証言活動を重視して、紛争地域、感染症対策、難民キャンプ、自然災害の発生地などで、患者の診療、医薬品の供給、食糧の供給、予防接種などの医療活動を行っている。7000人以上の海外派遣者が、3万人近くの現地スタッフとともに約60カ国で活動を展開している。その人材のうち、医療従事者は約6割で、残りの4割はロジスティシャンやアドミニストレーターなどの非医療従事者など多様な人材が活動をささえている。
2.今、起こっている国際的人道危機の状況について
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- 南スーダン:世界で最も新しい独立国(2011年7月)にもかかわらず、紛争が続き、人々は医療にアクセスできないだけでなく、水・衛生や食糧状況も悪化し、多くの人が命を失っている。
- イエメン:以前から、複雑な内戦が続いているが、今年に入って、戦闘が激化し、犠牲者が増えている。にも関わらず、国際的人道援助を国内に届けるのは困難な状況が続いている。
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3.自身の体験 得たものとは‥‥
2001年、初めての派遣先スリランカ東部では、外科医として多くの患者を治療。4ヵ月の滞在で、医療以外に異文化の中で紛争の中にいる人々と接して得たものは宝。同国には、その後も3回派遣された。2回目は、2003年、イラク戦争開戦前後のヨルダンでー後方支援だけに終わったが、その体験は貴重である。さらに、リベリア、ナイジェリアでは、たくましいアフリカの同僚たちと働いた。2008年、ソマリア:世界の最貧国で見た人々の現状。緊急撤退するしかなく、残してきた患者や同僚たちへの思いは今も強い。
現地での医療活動に加え、理事や会長として、必要な資金調達とその有効活用など、国内外での運営や説明責任にも関わってきた。日本において、人道援助に対する理解はまだまだであり、NGOへの信用は薄い。(1ドルの寄付を得るための経費が諸外国に比べて異常にかかる現状がある)
2014年は、西アフリカのエボラ大流行によって、より多くの人にMSFを知ってもらい、新たなネットワークが広がった。
4.今、伝えたいこと
近年、人道危機が明白であっても、治安の悪化のために、活動が制限されたり、撤退を余儀なくされる事態が増えている。それでも、多くの私たちが現地に出向くのは、多くの支援者の思いを届けるためであり、現地の人に少しでも希望の光を見つけて欲しいからである。
医師として、地元で地域医療に関わるときも、海外でも医師としてのミッションは同じで、一対一で向き合っている。また、女性であるために、若い時代に男女差を強く感じてきただけに、海外でも弱者がより犠牲になることに強い憤りを覚える。これからは、グローバル化の時代に、日本人して、1人の人間として何が大切か、何ができるかを次世代に伝えたい。
講師の黒﨑氏 | 質問が続々と寄せられた | 同行されたスタッフの皆さん |
◇ ◇ ◇
交流会
引き続き、新入会員紹介の後、交流会が行われました。
今回は活性化策の一環で初の試みとして冒頭にミニ演奏会を開きました。乾杯の一杯で喉を潤した後、演奏開始。会員の福井健二氏はフルート、ご友人の柏田晃夫氏のオーボエ、福田実氏のチェロという三重奏で、曲はクヴァンツの「トリオ・ソナタ、ハ長調」です。心地よい妙なる響きが染み渡り、一同いつもと違う異次元の世界の創出にうっとり。4楽章15分の演奏はあっという間に終わりました。余韻に浸ったその後の交流会は大いに盛り上がり、音楽の力を改めて実感致しました(その様子をまとめたビデオを下に用意しました)。今後、講演・交流会は今までにない特徴を加えていく予定です。ご期待下さい。
当日出席の新入会員紹介 | 講師を招聘された保坂さん | 初めてのミニ演奏会 |
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年8月2日
7月講演・交流会
『激動する国際情勢と日本』
2015年7月13日(月)学士会館にて87名(含む外部の方)の参加者を得て155回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、「激動する国際情勢と日本」というテーマで田久保忠衛氏/元時事通信、現杏林大学名誉教授を講師に招き大局的な視野で状況を理解する重要性を解きつつ現在の国際情勢を分かりやすく解説して頂きました。
田久保忠衛氏は、ご高齢にもかかわらす、2時間に亘る講義に熱弁を振るわれました。
はじめに、沖縄返還当時「核抜き返還」となった背景を、日本の視点からではなく米中両大国の考えを通しての謎解きをして頂き、国際情勢を論ずる際の視点をどこに置くべきかの重要性を説かれました。
続いて、講演は国際情勢における下記3つの地殻変動の1と2について言及されました。
- 中国の領土的膨張
- オバマ政権における内向き志向(海外への兵力の撤退)
- ISISの出現(シリアからイランまでの空間を占拠している)
1.中国の領土的膨張
日本では尖閣列島の問題が日中問題であるかの様な議論がなされているが国際政治の観点からみると緊張感が無さすぎると言える。中国は政治・軍事・国際金融の分野で下記のように幅広く手を伸ばしている。
北側(ロシア)に関して
シベリア地区は天然資源の宝庫であるが、流刑地であったためロシア人は行きたがらず、労働力は、旧満州の中国東北部からの出稼ぎ労働に頼っており、表面的には友好的な中ロ関係とされているが底辺では経済的に中国に主導権を握られるのではとの危惧をロシアが持ち複雑な緊張関係にある。
西側(シルクロード等)に関して
一帯一路と言って大規模の投資をしている。カスピ海からの石油及び天然ガスのパイプラインを新疆ウイグル自治区に設定した。そこから、毛細血管のように国内に張り巡らせることに大きな関心を持っていることもあって、独立等は一切認めない状況にある。また中央アジアに高速道路と鉄道を建設中であり中央アジアの一部が危機感を持っている。
南側(インド)に関して
陸上では、数か所で領土問題を抱えており、海上では「真珠の首飾り」と称されるようにインドを取り巻く港湾を建設し、インド包囲網の構築を目指している。
東側(南シナ海・東シナ海)に関して
西沙諸島は実効支配をしており、南沙諸島では7つの人工島を建設し、その中には東京ドーム120個分の広さの人工島の建設によって領土の主張をしている。既に飛行場が建設されてしまっている。軍事力のプレゼンスが問題である。尖閣列島問題はこの延長線上にあり、日中の排他的経済水域の境界付近に中国はプラットフォームを着々と建設している。当初4基だったのにこの1年で12基に増強してしまった。全部で16基になった。これらのプラットフォームにソナーやレーダーが設けられれば、南西諸島の自衛隊や日米の潜水艦の動きが容易に把握できるようになってしまうため、日本の防衛戦略は根本から再考せざるを得なくなる状況になってしまった。
中国は領土の膨張を企てているが内部的には下記4つの課題があるため人民の不満がたまってきている。
- 所得格差の拡大
平等であるはずの共産主義にも拘らず7%の人が70%の富を独占している。
- 腐敗
清廉と言われた元温家宝首相ですら、ニューヨークタイムスに『温家宝の錬金術』という特集記事が組まれ母親が中国のダイヤモンド市場の取引権の90%を握っていると報じられた程である。
- 自然の汚染
土地・空気・水の汚染があまりにもひどい。北京では常に空はどんより曇ったままでいる。
- 少数民族
決して少数ではないチベット、ウイグル、台湾、香港ですら弾圧が行われている。
一党独裁である共産党は、内憂を外患に転じようとする政策をとっているのではないか。今後一時的関係改善はあるにしても、徹底した反日政策をとるようになると予想される。外交においてはむやみに謝罪すべきではないにもかかわらず、過去に、中国に謝罪をし続けたつけが回ってきている。
2.オバマ政権における内向き志向(海外への兵力の撤退)
アメリカの外交の基本思想を乱暴に一言でいうと、セオドア・ルーズベルトの言った "Speaking Softly While Carrying a Big Stick"(棍棒外交)に尽きる。外交は口先だけでは通用せず、背後に武力が無ければならないとの姿勢は連綿と保たれていた。アメリカはこの百年間大国としての地位を守り続けた稀有な国であり、その根本思想は、ルーズベルトの格言どおりである。
ところがオバマ政権では第2期に入り『戦わない』という大きな外交姿勢の変化が現れている。2011年イラクから完全撤退し、2016年にはアフガニスタンから完全撤退を予定しており、もう外には出たくないという姿勢を取っている。このことで中東問題では大失敗を犯してしまった。チュニジアで発生した民衆の不満の爆発がエジプト、リビア、スーダン等全中東諸国に飛び火した際、それぞれの国でいろいろな形で鎮静化を行ったが、シリアだけは鎮静化せず、アサド大統領が反対派を弾圧し住民が殺戮され続けていた。欧州諸国が中東艦隊を持っているアメリカにシリアの鎮圧を要請したがアメリカは一切動かなかった。その間、ロシアがうまく立ち回り、中東地区の外交的な主導権を握ってしまった。と同時にこの空白期間にシリアの反体制勢力へアルカイーダ等の国際テロリストグループが参入してくるようになってしまった。その中で強力であったのがISISであり、シリアからイラクにかけての地域の実効支配を許してしまった。ひとえにアメリカが動かなかった結果である。
また、アメリカが動かないため、ウクライナではロシアが強力な軍事力を背景にクリミア半島を強制的に併合してしまった。
中国が、『新型の大国関係』を提唱したところ、オバマ大統領は、承っておきますと返事をしたが未だに拒否するとも受け入れるとも発言していない。また、アメリカは、北方領土は日本の領土と認めているのに、尖閣列島は中国を刺激したくないがため敢えて領土問題には発言をぼかしている。このような状況のままでいると日本は米中の二大大国の間で埋没してしまう危惧がある。
日本の立ち位置に関して
日本は2000年以上続いた皇室のある唯一の国であり且つ天皇は征服王ではない。また日本では権力と権威が分離していることが特徴である。権力が駄目になった時、日本人は何をしてきたか。我々の先達は機能不全になってしまった江戸幕府の代わりに明治天皇を立てて日本の近代化を推し進めてきた。また、機能不全となった鈴木貫太郎内閣に対し、昭和天皇が戦争終結の聖断を下し我々は生き延びてきた。誰も(共産党を除いて)戦争責任を天皇に問う事がなかった。これこそが日本の国体と考えられるが、この良さを明確にする為に憲法を改正することが必要と考えている。
現憲法には下記3つ分野に問題点がある。
- 前文
- 第九条
- 緊急事態対応の規程
前文に関して
憲法前文を分解すると、独立宣言、大西洋憲章、ゲティスバーグ・アドレス、アメリカ憲法などの寄せ集めであることが分かる。総じて憲法の前文はその国の特徴を述べ、国が向かう方向は、立憲君主制度に基づく独立自尊の道義国家であるべきだと考えることをはっきり述べるべきである。また国際性を重んじる道義国家であることも述べるべきである。現在反米を標榜する一部の保守勢力が存在するが、外交面ではアメリカと同盟関係を強化する以外の選択肢はない。軍事問題の専門家からすれば、日本独自路線の選択は考えられない。
第九条に関して
普通の国が普通にもっているように軍隊を持つと明示すべきである。
緊急事態対応の規程
現憲法にはないが、外敵に晒された場合、天災が発生した時、大規模サイバー攻撃を受けた時等国民が生命の危険に直面した時一定期間に限り、条件付きで総理大臣に権限を与えることが必要である。
結論
上記を勘案した憲法改正しか日本の生き残る道はないのではないか。
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質疑応答
Q.マスメディアの偏向報道特にNHKの報道姿勢に関して、反オスプレー、反辺野古移転、反原発等の一方向からの情報しか提供しないという偏向した報道姿勢はどのように感じるのかまた、偏向した報道は正せるのか。
A. 報道者は反権力でなければいけないという空気がある。成長するに従いこれはおかしい、行き過ぎではないかと気付くのが定年真近であるという事が自分の体験で言うことが出来る。これが一つ。
もう一つは、安倍政権誕生でいくつかのマスメディアは予想外の指導者の登場で焦っているため極端な報道をしているのではないか。ただ、読者数を見ると朝日が減少、読売、産経が漸増という結果が出ているので今後世論はバランスがとれてくるのではないか。
Q.安倍首相は説明不足と言われているが、何故はっきり言わないのか。中国に遠慮しすぎではないかと思うが。
A.二つの要因があると考える。
- 絶対的平和主義の公明党婦人部に配慮しているのではないだろうか。
- 4月末渡米時に議会で大歓迎された前日オバマ大統領との会議で日米ガイドライン改定の約束をした。この国際的約束に傷つくことに注意を払い過ぎたことによるのではないか。
Q.1.安倍首相の渡米で2012年に歓迎されなかったのに何故2015年は大歓迎されたのか。
2.世界の混乱を招いているのが産軍複合体ではないか。
A.
- 何故今回安倍首相が歓迎されたか。様々な演出が功を奏したと言われているが、国家間の関係は、必要があれば仲良くできる、必要が無ければ敵対をして戦争をするという単純なものである。現在のアメリカは、戦わないことによってG7の中で他と同列に成り下がってしまった。このためアメリカは安倍首相を暖かく迎え入れざるをえなかった。一方安倍首相は、日中の中間線で中国によってプラットフォームを数多く建設され、国内外ではナショナリストと言われて、日米関係を強化したいと考えた。一方、オバマも外交上の成果が挙がらず同盟諸国との関係が揺らいでいる。だから何とかしたいという両者の思惑が上手く合致した結果である。
- 産軍複合体の実体に関して詳しくは知らないが、このような問題に敏感に反応するアメリカのジャーナリズムが特に深い関心を払わず、取り上げていないのでそれほど大きな役割を演じているとは思えない。
講演に引き続き事務局員の人事異動が発表されました。
退任
高野直人さん アカデミー事業部長(8月31日退任)
新任
高橋宜治さん アカデミー事業部長(7月1日着任)(文系分野担当)
小林慎一郎さん アカデミー事業部(7月1日着任)(理系分野担当)
新任の高橋さんと小林さん | 武田晴夫さん | 跡部浩一さん |
交流会
交流会は、田久保忠衛氏をご紹介いただいた篠原氏の乾杯の発声で始まり、田久保忠衛氏を囲んで楽しい会話が続きました。
また、今回は、メンバーズ・エッセーの記事に生きる希望を見つけ退会を撤回された武田晴夫さんとそのエッセーの筆者の1人である跡部浩一さんのスピーチがあり、改めてDFの持つ絆の力を確認させて頂きました。
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(森川紀一記)
2015年6月24日
6月講演・交流会
『暴走する中国経済‐中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の行方』
2015年6月15日(月)学士会館にて86名(含む外部の方)の参加者を得て154回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、「暴走する中国経済‐中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の行方」というテーマで1963年南京市に生まれ育ち、1988年来日された柯隆(か りゅう)氏 / 富士通総研経済研究所主席研究員を講師に招き所々ユーモアを交えた流暢な日本語で行われました。
はじめに、自己紹介として英語の専門家を志した若者が、意図もしない日本に何故来るようになったのかを大きな政治の流れに飲み込まれた経緯とともにその説明がありました。
本題に入り丸一日あっても話し切れないという現在の中国に関して下記の大きなトピックスを中心としてお話をいただきました。
暴走する中国経済
現在上海の株式市場では一年間で2.5倍の高騰を続けているが、実質成長率は減速気味であるため株価暴落は時期の予測はできないが必至と考えられる。中国の株式市場では個人投資家が大部分であるためハードランディングした場合莫大な影響があると考えられ、このため李克強首相(経済担当)がどのような政策をとるかを注目する必要がある。株価暴落時には、幸い中国株を所有している日本企業は少ないので直接的に大きな影響は考えられないが、中国の実体経済が減速することによる日本経済への影響は少なからずあると考えられるのでそれに備える必要がある。
2010年までは平均毎年10%の経済成長率があったのだがここにきて7%へ減速している。中国共産党はこの状態を新状態と呼び高度成長は止まり7%で我慢しようとの認識を持っているようであるが、7%に留まる保証はない。
今迄10%を前提に投資や消費を行っていたので、債務の返済や不良債権の問題が出現する。また、10%が7%への下落した落差に対するショックの緩和策が必要である。
成長が減速した理由は、設備投資と不動産投資の落ち込みである。不動産投資に関しては中国政府が日本のバブル崩壊の教訓を生かし規制を掛けたことによる。ただ、私見であるが不動産投資は、極端に賃貸が少ないという不健全な市場であったので、好ましいことと考えている。
中国人の家計の貯蓄率は30%(日本人20%)であり莫大な金を持っており、日本人が安定性流動性重視しているに反し、収益性を追求する傾向があるのでバブル経済になりやすい土壌を持っている。今日の中国経済はマネー経済に包まれているので何時まで続くかは疑問である。
中国の格差
中国の格差は日本の格差とは比べ物にならない。その根底に戸籍管理制度があり、都市部の住民と農民と明確に区別しており、インドのカースト制度の様に身分を固定化している。また都市部の住民の中でも下は労働者階級から上は党の高級幹部まで細かな身分制度が出来上がっている。この身分制度に拍車を掛けているものが正規の税金を納めない収入であるGray Income(灰色収入)と呼ばれるものがある。ななんとGDPの12%に相当する収入がGray Incomeであるとの推計がある。
中国の腐敗
周永康の判決は予想より軽かったようである。いくつかの汚職不正の具体例が表面化するようになってきている。このことは中国共産党幹部の腐敗が限度を超えたことを意味している。
共産主義の理念に共鳴するわけではなく自身の利益を最大化することが出来る出世の入場券を得ることが中国共産党の党員となることのようである。
中国の社会とは
中国共産党は『中国の特色のある社会主義市場経済体制』と言っているが、いろいろ文書を検討したところ、意味のある部分は『中国の特色のある』=いかなることがあっても中国共産党が主導権を握るという意味であることに行きついた。
社会主義は、公有制と平等が原則であり現在の中国は、習近平国家主席を王様とする封建社会と考えると分かり易く3つの視点から現状を見ると下記の様になる。
- 政治の側面 王の強制力を強化 カリスマ性の強化
- 経済の側面 自由化の逆戻り
- 社会の側面 ナショナリズムの弱体化(反日運動を抑え込む)
中長期的展望を言うとすれば、政治体制を改革しなければ中国の成長力は弱まってゆく。
市場経済の為には信用(Credibility)を確立するする必要があるが、国民は政府を信用しない、国民同士信用しない、家族を信用しない(文化大革命の負の遺産)の状況にある。再構築のため習近平国家主席は法治国家としたいと正しいことを言っているがどこまでできるが課題である。
今の中国人は信ずるものが失われてしまった状況にある。
革命前の65年前であれば、古典文化に戻り安らぎを求めたが、社会主義中国になってかがすべての古典文化や、宗教が否定され毛沢東のみを崇拝したが、没後毛沢東も否定されたため、信ずるものが無くなってしまったので中国人は何も恐れるものを持たず拝金主義者となったようである。
恐れるものが無く信用が崩れてしまうと性悪説の世界になってしまう。
日本人は性善説に立った社会を構築しているので中国に進出する日本企業へ『性善説の制度』を『性悪説の制度』に作りかえる様助言をしている。それをしないとお互い後味の悪い結果が目に見えている。
日中関係
微妙な状況である。2014年11月 APECで安倍首相と習近平国家主席との握手の写真と2015年2月バンドン会議でのそれを比べてみると表情が極端に違う。バンドン会議での習近平国家主席の笑顔は、日本の財界へ向けたものである。経済が減速している状況で中国に進出している日本企業を大切にするというメッセージである。
関係悪化の原因は政治に翻弄されていることであり、安定させるためには政治ではだめで民間が一対一の付き合いを続けるべきである。国益を背負うと別人格となってしますのが人間である。
質疑応答
Q.中央と地方政府との関係について
A. 本来は一党独裁の為一体化されている筈であり、中央政府が人事権を持っているが統制できていない。理由は多民族国家であること、地域性が強いこと、言語(方言)が激しいことなどが挙げられる。歴史的に群雄割拠の気風もあり、きちんと統制はされていない。将来連邦制になると予測しているところもある。
Q.中国主導のAIIBに関して
A.中国は何故AIIBを作るかの背景
- 外貨準備を持ち過ぎたこと(人民元の切り上げで損が出てしまうので国内の批判に対処する為)
- 景気後退でプラントエンジニアリング業界などの内需不足を補う目的で国外需要を開拓する為
- 北朝鮮の崩壊を視野に極東アジア開発銀行(中国、韓国、ロシア、モンゴル)設立失敗への再挑戦
- 人民元の国際化への挑戦(決済通貨、貯蓄通過)、但し基軸通貨になることは視野にない
日本と米国はAIIBへの不参加理由としてのガバナンスの不透明性を挙げている。理解はできるが運用で是正させることが出来るので参加した方がよい。あまり参加しないと声高に宣言しない方が好い。
今年9月のオバマ‐習近平会談で米国が参加を表明したら日本が孤立してしまう可能性がある。
Q.中国の拡張主義とどこまでするのか
A.中国の歴史では唯一鄭和が海洋進出したが失敗した。従って中国は海外進出を苦手と考えているようである。南沙諸島のでの活動はインフラ整備という視点では良いことかもしれないが、情報の発信の仕方が不味いのではと考えている。拡大主義を抑制させる為にはグローバルコミュニテーの中に取り込む努力が必要である。
講演に引き続き同好会の紹介がありました。
能狂言同好会 高木健美さん
22番目の同好会として発足し、今までの実績は4回実施。
入会する利点
- 長い歴史のある日本の伝統芸能で宗教行事に結び付くもので日本人の宗教観が分かる
- 観光立国研究会と密接な関係を持っており外国人向けビジネス展開に役立つ
6月23日に能楽鑑賞を企画しているので興味の有る方は参加して欲しい。
国内旅行同好会 横井時久さん
観光立国研究会と密接な関係があり地方創生のため国内を見て回ることがあるため同好会として発足した。すべての行事に参加して頂かずともとにかく登録して欲しい。
現在日本百名所という書籍をDF独自の視点で発刊しようと活動中である。
能狂言同好会 | 国内旅行同好会 | 新入会員の紹介 |
新入会員の紹介
講演に引き続き下記の新入会員の紹介がありました。
芳賀 研二さん(1083)
今回のより、新入会員の方には胸に花をつけていただき会員が直接話しかける機会を増やしました。
交流会は、柯隆氏をご紹介いただいた嶋矢 志郎氏の乾杯の発声で始まり、柯隆氏を囲んで楽しい会話が続きました。
また2次会へも柯隆氏は参加されました。
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年5月19日
5月講演・交流会
『日本海・表層型メタンハイドレート資源の探査』
2013年、2014年度調査が教える豊かな日本海
2015年5月11日(月)学士会館にて66名(含む外部の方)の参加者を得て153回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、隠岐の島沖の海上で探査活動の真最中にもかかわらず私どもの講演・交流会のために当日の朝飛行機で上京しお越し頂いた 松本 良 氏 (明治大学ガスハイドレート研究所代表、東京大学名誉教授)に「『日本海・表層型メタンハイドレート資源の探査』 ー2013年、2014年度調査が教える豊かな日本海 ー」というテーマでお話しいただきました。
誰にでもわかるように易しく、下記の順でご説明いただきました。当日使用したスライドの画像(抜粋)と併せお読みください。
- メタンハイドレートとは
- メタンハイドレート開発の背景
- 日本周辺のメタンハイドレート 砂層型と表層型
- 日本海で表層型メタンハイドレートの発見
- なぜ日本海か?地質学的背景
- 2013年、2014年度調査の成果 ガスチムニーの探査と深部掘削
- 今後の見直し
1.メタンハイドレートとは
メタンハイドレートは「燃える氷」と呼ばれています。物理化学的には氷ではありませんが見た目が氷のためにこのように呼ばれています。またシャーベット状と表現されることがありますが、カチンカチンの固い氷状です。この氷のようなメタンハイドレートに火を近づけると燃え始めるのです。そして、燃えた後には水しか残らないという、とても不思議な物質です。
メタンハイドレートは、水分子が作る『かご構造』の中にメタンを閉じ込めた物質で、メタンハイドレート1に対して、164倍の体積のメタンが含まれています。存在する環境は「低温高圧」です。
当初、メタンガスのパイプラインにハイドレートが出来てしまい閉塞事故を起こす原因として厄介なものとの認識でしたが、1990年代天然のハイドレートが大量に存在することは分かり注目されるようになりました。
2.メタンハイドレート開発の背景
膨大な資源量(従来型の天然ガスの埋蔵量の4倍と推計)、エネルギー供給構造の変化(天然ガスへの期待)や環境・資源クライシス・安全保障の観点から、国産・非従来型の天然ガス=メタンハイドレートの資源化が注目される様になりました。
下記のようなことが期待されています。
- 世界的趨勢として
石油埋蔵量の枯渇化へ向けて世界的に石油から天然ガスへシフトがすすむ
天然ガスは二酸化炭素排出量少なく温暖化問題の対策として有効 - 年間5億トンの資源エネルギー(24兆円)を輸入している日本独自の背景として
国産のメタンハイドレートは調達先(資源国)の諸情勢に左右されない
国産のメタンハイドレート資源開発を通じた雇用・経済発展に寄与できる
資源国からの調達に際しバーゲニングパワーを持てる
調達価格は為替に左右されない
3.日本周辺のメタンハイドレート 砂層型と表層型
メタンハイドレートの調査は、石油や天然ガスと同様に、音波を使った物理探査(反射法地震探査)によって実施されます。この調査データからBSR(海底擬似反射面:Bottom Simulating Reflector)と呼ばれる特徴的な反射面を確認することによって、地層中のメタンハイドレートの存在を推定しています。
調査結果
南海トラフ(太平洋) タイプ1 砂層型(深層)メタンハイドレート
水深数百〜千メートルの海底から300メートルの地層の隙間を充填する形メタンハイドレートが、薄く広く分布することが分かりました。ボーリングの結果、泥砂が交互になっている地層の砂の部分にメタンハイドレートがありました。尚第一回の生産試験は終了しています。
日本海〜北海道周辺 タイプ2 表層型メタンハイドレート
水深数百〜千メートルの海底面に突起物ができその下数十メートルの所に塊状の集積体として産することが分かりました。これは海底の深いところにあるメタンガスの通り道(チムニー)が海底面付近で集積されるものと考えられています。日本海側ではメタンガスの供給量が多いこともわかっています。
4.日本海で表層型メタンハイドレートの発見
メタンハイドレート調査目的ではないある調査で、上越沖に直径5〜600メートル深さ数十メートルのポックマーク(Pock Mark)と呼ばれる窪地が大量に発見されました。通常はもっと小規模なものですがガスによって作られるものなのです。ひょっとしたら大きなガスの宝庫ではないかとの期待を持って2004年から探査が開始され、現在では国家プロジェクトになっております。
幾つかの探査方法(無人探査機ー潜水艇ーハイパードルフィンによる海底撮影、地震探査法による海底下の構造解析、AUV(自動巡航型探査機)による高精度構造解析等)により、ガスチムニーが、ハイドレードマウンドを作ることが分かりました。
5.なぜ日本海か?地質学的背景
2500万年前ユーラシア大陸の縁に割れ目が入り、割れ目に沿ってマグマが噴出し、割れ目は次第に拡大しました。日本海の海底は今でも太平洋の海底より高温です。その後500〜100万年前にアムールプレートが東に動き始め、日本海を日本列島に押しつけ日本海の東縁の海底がたわみ始め、褶曲と逆断層が発達しました。その後ガスの移動によりメタンハイドレートが生成される様になりました。このことは地質学的には必然の事です。
6.2013年、2014年度調査の成果 ガスチムニーの探査と深部掘削
メタンハイドレート調査に関する歴史は下記の通りです
- 2001年から 資源開発促進事業(経産省)開始ー南海トラフに注目
- 2004年日本海で集積されたメタンハイドレートが発見された
- 2013年 海洋基本計画(閣議決定) 表層型メタンハイドレート資源量把握計画の位置づけがなされました。資源量評価・基本戦略は、地質学・地化学的手法と地球物理学的手法を駆使し下記を実施しております。
- 広域地形地質調査
- AUV詳細地形地質調査 (Autonomous Underwater Vehicle)
- CSEM電磁探査 (Controlled Source ElectroMagnetic)
- LWD掘削同時検層及びコアリング (Landspray While Drilling)
その成果として次の事がわかりました。
- 表層型メタンハイドレートはガスチムニー内に存在している
- ガスチムニーは長径100メートルから数キロメートルまで様々である
- LWD検層により比較的浅いところに比抵抗や速度の異常がみられる
- 掘削により0〜70メートル付近に塊状、深いところに粒状や脈状のハイドレートがある
2015年に向けて次の課題を考えています。
- ガスチムニー数の把握(海域の拡大、SBP(音響探査法の一種であるSub−Bottom Profiler)
- 未調査特異点の評価)
- 海域のガスチムニーの多様性を反映した掘削戦略
- 1つのガスチムニー内における3次元的分布の評価
(ガスチムニー数把握のため、富山湾沖の海底を1.8キロメートル間隔に区切り全域を網羅しているということには驚きました)
7.今後の見直し
商業生産に向けて、学術調査、資源探査(資源量評価)、パイロット生産試験の順を踏む必要があります。
メタンハイドレートは、固体かつ流動しないという特徴を持っているので、
1 地層中で強制的に分解しガス化させ採取する方法
2 固体のまま回収する方法
等の採掘方法を検討している状況です。
似たような研究がおこなわれていますが未完成の状態です。今後より詳細な調査の結果をもって生産試験へ臨む必要があります。
質疑応答
- 質問:実用化に近いようだが、予算がついていない様に思われますが。
- 答え:経産省は、南海トラフを念頭において、日本海表層型メタンハイドレートへの認知度が低い様に思われ予算付けが弱いです。南海トラフとは、存在の仕方、存在場所等で全く別のものであることを認知して頂くようにする必要があります。
- 質問:日本海側では、シェールガス、石油等調査が行われており調査のコンフリクトは起きないのか。
- 答え:在来型の石油は、海面下1〜2,000メートルのため開発対象の深度が異なるので問題はない。
- 質問:メタンガスは、CO2より、温暖化には悪影響を起こすのではないか。
- 答え:メタンを燃やして出るCO2は石油の60%であり、悪影響を及ぼすことはすくない。ただ、パイプラインでの搬送中に漏れた場合は悪影響を及ぼす可能性はある。ただ海中からの採掘中に漏れたメタンガスは、水に溶けてしまうので問題はない。
講演に引き続き恒例の新入会員の紹介がありました。(敬称略)
- 渋谷 和雄(1075)
交流会は、松本良氏をご紹介いただいた山田光彦さんの乾杯の発声で始まり、松本先生を囲んで楽しい会話が続きました。
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年4月28日
4月講演・交流会
「生活の中の修行」
2015年4月22日(水)学士会館にて95名(含む会員の奥様)の参加者を得て152回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、2003年に戦後12人目(記録が残る織田信長の比叡山焼き打ち以降49人目)の千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)を満行した大行満大阿闍梨(だいぎょうまんだいあじゃり)藤波源信師をお迎えし、「生活の中の修行」というテーマでお話しいただきました。
お話は、千日回峰行満行に至るまでのドキュメント映写に続き、7年間かけて行う千日回峰行の全般の説明から始まりました。
千日回峰行とは千日といっても連続して3年間という意味ではなく、7年間をかけて通算1000日の間行なわれます。最初の3年間は、1年のうち100日だけ行が許され、1日山中を約30Km、260ヶ所以上で礼拝を行いながら歩きます。所謂ハイキングコースではなく、獣道と言われる道を歩きます。続く2年間は1年に200日、同じ修行を行ない、この5年間で通算700日となります。
ここに至って、『堂入り行』という9日間の「断食、断水、不眠、不臥の行」に入ります。この行を修めないと次の行に進むことは許されません。通常、人間が断食・断水状態で生きられる生理的限界は3日間とされていることを考えれば、信じがたいほどの苦行といえるでしょう。師によるとこの修行で亡くなった人はいないので生命力の強さを感じたとのことでした。
この行の後、6年目は1年間に100日の行となります。1日に歩く距離は60Kmに増します。7年目は、前半の100日間が1日84Km、最後の75日間は当初の1日30Kmの行に戻ります。合計975日です。25日は満足せず修行の為に残しておくとのことです。
この千日回峰行は誰でもが挑戦できるものではなく、普段の言動によって評価され修行が出来る様になります。
この千日回峰行の説明の後、同師の現在に至る経緯の説明がありました。
同師は、10代で酒井大阿闍梨の飯室谷に移住しましたが、古い習慣に反抗し離れてしまいました。ところが30代にこのままではいけないと気付き、改めて酒井大阿闍梨に1年間再入門を依頼し続けて許されました。再入門の条件は、東京で一般会社に就職する事でした。休みの時は好きなことが出来、街も人も変化が尽きない東京暮らしは悪くはなかったのですが、ただこのままで良いのかと疑問を持った時、酒井大阿闍梨から帰るようにとの命令があり4月から12年籠山行というという修行生活にはいりました。その過程で上述の千日回峰行を行い遂に2005年、12年籠山行(ろうざんぎょう)を円成し、現在は、酒井大阿闍梨の後を継ぎ飯室谷長寿院の住職を務めておられます。普段は作務衣で境内の掃除をしていると、気楽に参拝者が声を掛けてくるそうです。その後白衣に着替え改めて挨拶するとその参拝の方々は驚くそうです。
比叡山の生活で困ることは、食べることだそうです。宗教法人へは課税されないのですが個人の生活費に関しては課税されるからです。このため畑を耕しているのですが、収穫物は鹿や猪が先に食べられてしまいます。困ると何故か人の助けがあり、常々仏様の加護を感じるそうです。自然とともに生かしていただいているとのことです。
その後下記のような質疑応答がありました。
- 問い:普段の生活の中で悟る方法にについて
- 答え:突き詰めて考えること。ただ独りよがりにならないため同じような考えを持った方と話し合うことも必要。自然とともに生かされているという考え方が必要。
- 問い:9日間の「堂入り」の時の意識について
- 答え:通常の修行で山歩きをしている時でさえ、比叡山の中でのみの生活であったので情報量が少なくお経の事しか頭になかった。特に「堂入り」の時は、脳に栄養がいかなくなっていたので、枯れていくように思考が鈍ってきて、また痛み痒みの感覚が徐々になくなっていた。
- 問い:修行の結果変わったことについて
- 答え:修行前は、人間を外見で品定めをしていたが、修業後は、外見はどうでもよく素直に人の話を聞くことが出来る様になった。
- 問い:将来はについて
- 答え:1年前酒井大阿闍梨の住んでいた長寿院に引越をした。広いお寺なので保守環境整備が大変であるがお詣りをしてよかったと思われるお寺にしたい。現代人は自分の居場所が分からない人が多いので静かに自分自身を見つめる場としてのお寺にしたい。
- 問い:「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」について
- 答え:後に残る人のために耐え忍ぶという事が大切と考える。現在風葬などの風潮があるが、残されたものが詣る場所を確保して欲しいと思う。
千日回峰行満行という大偉業を成し遂げた方とは思えない親しみやすいお話を頂きました。お時間の関係で、ご講演終了後盛大な拍手で会場を後にされました。
紹介者の坪井さんが乾杯の音頭 |
講演に引き続き下記の新入会員の紹介がありました。(敬称略)
- 吉府敏雄(1062)富澤 廣(1067)
- 山本俊彦(1069)藤本伸哉(1071)
- 杉村和智(1073)平峰伸一郎(1074)
交流会は、大行満大阿闍梨藤波源信師をご紹介いただいた坪井荘一郎氏の乾杯の発声で始まり、楽しい会話が続きました。
(森川紀一記)
2015年3月31日
3月講演・交流会
「木に惚れる」
2015年3月24日(火)学士会館にて50名の参加者を得て151回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、静岡理工科大学物質生命科学科教授の志村史夫氏をお迎えし、『木に惚れる』というテーマでお話しいただきました。
開口一番『惚れる』という言葉の定義(たまらなく好きになって、他の存在を忘れてしまう。そのことに心を奪われ、他の事を忘れてしまうほど夢中になる)があり、続いて半導体の研究者が木に惚れるに至るまでのご自身の研究歴(惚れた歴史)のご説明、即ち1974年から1993年までの研究対象であった半導体の歴史、1993年以降の文明・人間・思想、ギリシャ・インド哲学分野、科学・技術史(古代日本)、基礎物理学・現代物理学、新炭素素材、水、古代鉄、日本刀、古代瓦、オカリナ、生物機能等の広範囲に広げた研究対象と著作物のご説明を頂いた。
- 古代日本の超技術
- 古代世界の超技術
- 生物の超技術
この研究過程で、1300年も経過しても凛として聳え立つ法隆寺が、木造建造物であることから、樹木の長寿の秘密に魅せられ木に興味を持ち、その構造、生命維持の機能、自然生態系における位置付けなど木に関する研究成果の紹介があり、杉の殺菌能力の実験結果の披露もありました。
偶々、ある製材所を訪れた時に、ゴミとして出される『おが屑』『かんな屑』を見てもったいないと直感し、また樹木の主成分がセルロース(食物成分)であることに気付き細かく細分化しスーパーウッドパウダーとして、パン、ビスケット、ソーセージ等を作り地域林業の活性化に資していることのご紹介がありました。講演後の懇親会では、スーパーウッドパウダーで作ったカリン糖、お茶(おがっテイー)の試食試飲が行われました。
志村史夫氏の講演に引き続き、会員の佐藤和恵氏(昭和大学医学部客員教授薬学博士)が杉の抗酸化作用に関する実験データの紹介がありました。
引き続き部会報告では、酒井尚平会員による『食と農業研究会』の紹介が行われました。
その後、保坂新事務局長の挨拶があり、改めて下記の運営方針の説明がありました。
- 最近出席者が減少している講演・交流会の活性化
- 毎月「事務局だより(仮称)」を発行して "見える化" を促進し、会員が親しみ易い事務局を目指す
- 会員のニーズに対し、より的確に対応するため、会員データベースを見直す
交流会では志村史夫氏の紹介者である、高橋宜治会員の乾杯の発声に始まり、スーパーウッドパウダーで作ったカリン糖、お茶(おがっテイー)を味わいつつ和気藹々に行われました。
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
(森川紀一記)
2015年2月25日
2月講演・交流会
「私の生きた時代と今何故地球憲章か」
2015年2月24日(火)学士会館にて63名の参加者を得て150回目の講演・交流会が開催されました。
講演は、参議院議員(4期)、環境庁長官(第28代)を歴任した広中和歌子氏(地球憲章アジア太平洋・日本委員会代表)を講師にお迎えし下記内容をお話しいただきました。
地球憲章作成過程に参加に至るまでのご自身のご経験として集団疎開から戦後の混乱期に送った日本での学生時代、留学先のアメリカでの社会の変貌、子育て後の女性の社会参加の模索の結果としての日本文化紹介の翻訳やインタビュー活動、帰国後の評論活動がきっかけとなって政界入りし外務委員会と環境特別委員会に所属したことが環境庁長官となり環境問題と向き合うようになったとのお話がありました。
その後、添付資料に沿って下記の説明がありました。(添付資料1をご参照ください)
- 二十世紀の世界
- ブルントラント委員会とリオサミット
- 地球憲章‥‥起草から成立まで
- 地球憲章‥‥その内容
- 地球憲章をどう広めるか
- 地球憲章アジア太平洋・日本委員会設立とその活動
- れからの地球の課題と地球憲章の果たす役割
講演に引き続き、アカデミー事業部長の高野直人氏より同事業部の報告がありました。大学でのキャリア教育新規枠を確保することが難しくなっており、新たな大学の紹介について皆さまのご協力をお願い致します(添付資料2=会員限定を参照ください)。
交流会は、広中和歌子氏をご紹介いただいた嶋矢志郎氏の乾杯の発声で始まり、宴半ばまで広中先生を囲んで楽しい会話が続きました。
(森川紀一記)
広中和歌子氏の使用した内容(添付資料1)⇒ | ![]() |
高野直人氏の使用した内容(添付資料2)⇒ (会員限定) |
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2015年2月2日
1月講演・交流会
「2015年は3年遅れの昇竜年 頑張れ日本 頑張れ日本の中小企業」
2015年1月26日(月)学士会館にて78名の参加者を得て第149回講演・交流会が開催されました。講演会は国内の中小企業3,603社を訪れ指導しつつエールを送り続けている橋本久義氏(政策研究大学院大学、名誉教授)を講師にお迎えし「2015年は3年遅れの昇竜年 頑張れ日本 頑張れ日本の中小企業」というタイトルで日本の中小企業の明るい将来展望を熱く語っていただきました。
講演は円安、途上国経済、TPP、中国と日本を取り巻く状況を俯瞰することから始まりました。中国に代わる他の国は見当たらないが「チャイナ・プラス・ワンそれは日本だろ!」と断じます。アベノミクスは製造業が肝であり即ち中小企業が肝と続け、欧米、アジアの中小企業トップの特性を比較して、不況下でも粘り強く創意工夫を進める日本の中小企業に、やがて欧米、アジアで出来なくなった世界中の複雑、高級、精密、面倒なものつくりの需要が殺到する、特に先端を走るハイブリッドカーの技術を活かし、自動車部品王国となるであろうと結ばれました。橋本先生は技術の説明をされる時、PCからも擬音が出ましたが、自らの口で「ガガガッ、ドンドン、バリバリッ!」などと大きな擬音を発声、身振り手振りで大熱演、ものつくりに対する情熱溢れる講演でした。具体的に活躍しているユニークな中小企業を7社紹介された時には講演時間一杯になっていました。通常4時間の講演を2時間弱でお願いしましたので無理ありません。質疑応答の時間も取れませんでしたが、交流会に参加していただけましたので、幾重もの会話の輪が出来ました。
なお今回の講演に近い内容のレジメが橋本先生のホームページに掲載されています。ご興味のある方はこちらの青字下線部をクリックしてご覧下さい。
講演の後、会員データベース担当の森川紀一氏から新たに始めた仕事の概要と、先日実施したアンケートについて説明がありました。次いで三木延義世話役から麻雀同好会の楽しいお誘いがありました。
交流会は、他の会場で橋本先生の講演を聞いて感激し、DFでの講演をお願いして実現させた真瀬代表理事の乾杯で始まりました。日本のものつくりの明るい未来を語られた余韻が残る中、橋本先生を囲んで楽しい会話が続きました。
⇒ 当日のアルバムはこちらからご覧いただけます
⇒森川紀一氏の使用した内容はこちらからご覧いただけます(会員限定)
⇒三木延義世話役の使用した内容はこちらからご覧いただけます