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2016年7月10日 掲載)

DFガバナンス部会 第11クール 小研究会 研究成果発表会

  • テーマ1:「M&Aの成功要因実績と評価―中小企業M&Aへの提言―」
    小研究会① グループリーダー 猪野久仁朗 他メンバー6人
  • テーマ2:「企業不祥事は、なぜなくならないかーその根本原因と対策―」
    小研究会② グループリーダー 三宅浩之 他メンバー4人
  • 開催日時:平成28年6月8日(水)午後2時〜4時半
  • 場  所:日本財団会議室

昨年(2015)11月以来、2つの小研究会グループは、各14回以上にわたる白熱した議論・研究を重ね、その研究成果を多くの出席者のもとで発表をしました。実務家の視点からの発表は、事例も多く、説得力のある意見・提言であったと好評を頂きました。発表会終了後の懇親会では、小研究会の発表メンバーも入って、多くの出席者との活発な意見交換や歓談が行われました。

【要旨】

テーマ1.「M&Aの成功要因実績と評価―中小企業M&Aへの提言―」

M&Aは、企業の成長戦略の一つとして、活発に行われているが、成功しているM&Aが少ないのが実情である。本研究会では、M&A成功要因は何かを、M&A案件のプロセス、業種や取り組み方が異なるが、成功している3つの実例分析を通して、その要因を導き出した。

成功要因は、ずばり、「経営そのもの」との結論である。勿論、M&A案件のプロセスをキチント行うことが前提である。特に、トップの強いリーダーシップは大きく、実例の中でも、ブリヂストンのファイアストーン買収直後の混乱を克服し、成長軌道の載せた、海崎氏、また、数多くの買収を重ねながら、大きく企業を成長させた、日本電産の永守氏の経営力は、M&A成功の大きな原動力である。

一方、日本の中小企業の社長の高齢化が進み、事業継承は大きな課題となっている。2010年代には、日本の中小企業全体では、利益率は改善しているのに関わらず中、後継者難が続いている。最近、中小企業においても、後継者問題解決の一つとしてM&Aをその解決策として、取り上げられるようになってきた。

本研究会としては、中小企業のM&Aがうまく行くには、次に3つが重要として、提言している。

① 強烈なリーダーシップ

② 明確なビジョンと事業計画・技術マップ

③ 明確なM&A基準

テーマ1「詳細レポート」は以下をご覧ください。

テーマ2.「企業不祥事は、なぜなくならないかーその根本原因と対策―」

企業不祥事は、形としての改正会社法、コーポレートガバナンス・コードが出来ているが、依然として企業不祥事は、歴史ある大企業を含めて繰り返し起こっている。本研究会は、「形」ではなく、「魂」が重要と考えて、人間の本質に迫りながら議論を重ねてきた。この議論の中で、次の5項目を重要課題として議論した。

① 経営者について

② 社外取締役・社外監査役

③ 監査法人

④ 内部通報制度

⑤ 株主総会

特に、企業不祥事の発生原因の中で、経営者の資質・倫理観の欠如が上位を占めることから、①については、人間の「欲」を抱かせない、厳罰主義での対処を提案している。経営者を監視・監督すべき社外取締役・監査役は、独立性の実質的な確保や、その専門的な質の向上を主張している。

最近の不祥事には、監査法人が加担しているケースがあり、監査法人自体のガバナンス・内部統制の強化、監査法人ローテーション制度の導入など、会計不祥事の最後の砦の独立性を求めている。また、④の内部通報制度では、不正発見のきっかけの第一位が内部通報であることから、内部通報活性化の為に、内部通報は良いことであるとの企業文化醸成の仕組みの提案をしている。最後の⑤株主総会は強い権限を有するにも拘らず、形骸化しており、機関投資家の出席と経営陣との対話により、緊張感と不正未然防止に役立つとしている。

なお、企業不祥事を起こさせないための提言を4つあげている。

  • 経営者は、倫理観・道徳観につき、その意味と重要性を再認識し、従業員を始めステークホルダーの信頼回復に努める
  • 不祥事をおこした経営者に対しては厳罰主義。即座に職を解き、復帰は許さず。
    損害賠償責任、刑事罰も。
  • 不祥事がある場合は、内部通報制度を有効に活用。制度の重要性を、経営者、従業員は正しく理解する事。
  • 経営者は勿論、各人は「普通に」「正しいことをする」
    テーマ2「詳細レポート」は以下をご覧ください。

以上