第150回DF経済・産業懇話会開催
『日本産業は何を目指せば生き残れるか』
— 日本の社会・政治をどう見る 東京新聞の視点から —
- 開催日
- 2023年5月30日(火)13:30~15:30
- 場 所
- DF会議室 + Zoom
- 講 演
- 「日本の社会・政治をどう見る 東京新聞の視点から」
- 講 師
- 菅沼 堅吾 会員(1403)
- 参加者
- 27名
【趣旨】

今回は東京新聞で現役の代表にある、菅沼さんからマスコミからみた日本の社会、政治についてのお話を頂いた。発行部数の減少が止まらない新聞の役目、日本の危機についての見方などから始まり、現在の岸田内閣の行方など時事問題についての解説は興味深いものであった。東京新聞に対するイメージから離れて、個別の議論ではなく新聞の役割につき考えさせられるお話であった。
【講演内容】
説明は事前配布のレジュメに沿って解説された。内容については下記のレジュメを参照。

【骨子】
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新聞の衰退で日本も沈む、日本社会の危機
大きな課題についての議論が不足している。安倍政権では安倍氏が対立点を投げかけたので、賛否の議論ができた。岸田政権では'するっと'動いて議論ができていない。盛り上がりに欠ける。 - 投票率が低いこと、権威にゆだねて自主的な民意を示さない。
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2倍速視聴の時代、若者は途中の経過を通り越して、結果だけを求める。
途中の議論での共感がない。
結論が自分に面白くなければ興味ない。プロセスに関心なく、結論ありきで勝ち組に流れる。選挙は他人事と思っている。
新聞の役割が大切、新聞読者の投票率は70–80%で高い。新聞が共感を与えている。
世論調査は固定電話で意見を求めている。固定電話では今や若者には通じない。
一方で投票に行かない人の世論を見ても仕方がない、という意見もある。
シルバー民主主義が動かない。 -
新聞は権力の監視役、そこに緊張感が生まれる。読売などは社説で政府を監視、議員はそれを見ている。
東京新聞は民意の声を表に出す。 - ネット社会では自分に都合の良い情報だけを見ている。新聞は今何が課題なのかのコモンセンスから記事ができる。
- 嘗ての政治家は、新聞各紙を注意深く見ていた。今は新聞を読まない政治家も出てきた。国会議員のレベルの低下が懸念される。
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全国学力テストでは新聞を読む子と読まない子で差があるという。
論理思考を入れた入試では、問題を読みこなす力が試されている。新聞は言語能力を高める。 -
日本政治は転換期 何が課題か 国益、省益、個人のためか、
外交は票にならないと、議員の関心は薄い - 日中議連などはだれが引き継ぐのか 江沢民×野中広務 などの関係はできるか
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岸田政権は中位安定 ポスト岸田はだれか 安倍派の動向が定まらない(西村、萩生田?)、河野太郎(人望にかける)、茂木(短気で人がついていかない)
高市、稲田、橋本 すでに圏外
選び方は村長選挙と同じ、党内人望が大切 -
自公 今までは順調に動いてきた。東京で割れた。
公明は関西地区で維新との共同が上手く行かずに、ここで多くの議席を失う。10増10減で都市部の票を取ることが命題。
公明は小池都民ファーストにすり寄りか - 維新は近畿で地盤を固め、東京へ。中京地区は川村市長などが維新を跳ね返しており、食い込めない。京都も大阪に反発して維新は強くない、和歌山、滋賀などの周辺から東京へ
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自民党はこのままでは勝てないという危機感
日韓の寄りを戻す、サミットの成功など手立て
10増10減は負け戦、(地方の自民有力区が無くなり、マイナスから始まる)
負け方の問題となる - 安倍さんは二年に一度の選挙 党員からは感謝(当選回数が増えて、大臣に近づける)
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野党は立憲がバラバラ 維新はフリーハンド
支持政党のない有権者は野党第一党に投票の傾向 維新が上昇か
しかし維新には候補者が不足 人材難でボロが出る可能性
自民にとって、立憲は怖くない しかし、維新は脅威 改革がスローガン
野党第一党の反対する案件はやりにくい
- Q:
- 新聞の部数低下 記者の質や入社希望の低下はないのか
- A:
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記者が新聞を支えている。力量の差は教育 入社希望は多い 社内インサイダー防止等もあり、モチベーションを保つために給料は高くしている。
内定者でもNHKには勝てない NHKはメディアでも安定して、最強だ - Q:
- 新聞がなぜ売れないか 売ってやろうと上から目線がないか マーケティングをしているのか
- A:
-
これまではマーケティングはしてこなかった。しかしデジタル時代になり、読者が何を求めているのかモニター制度を始めた。また紙面に興味を持つために、毎日数独などを取り入れている。ニューヨークタイムスのパズル、クロスワードの成功例
世論形成は意識している、しかし、東京新聞としてのボトムラインは堅持している。
親会社の中日新聞とは論調が異なることもある。中日新聞は中部地区の世論を意識した論調になる。 - Q:
- 新聞は政府の悪い事ばかり挙げているような気がする、もっと良いことは良いこととして取り上げないのか。読んでいて疲れる
- A:
- 明るくなることも取り上げたい、モニターで意見を汲んでいく