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2016年3月27日 掲載 )

第161回 講演・交流会(2016年3月例会 )

テーマ:『知られざるプロマジシャンの世界』

講 師:エコ・マジシャン ミヤモ氏

講師3月14日(月)大雨の中、学士会館にて71名の参加者を得て161回目の講演・交流会が環境部会との共同開催で、DF始まって以来の講演とマジックの組み合わせという試みで開催されました。

講演は、日本奇術協会正会員のエコ・マジシャンであるミヤモ氏に『知られざるプロマジシャンの世界』と題してマジックのパフォーマンスと併せお話しいただきました。参加者の皆さんは普段は聞くことの出来ない奇術業界の打ち明け話に耳を傾け、ご披露いただいた舞台上でのステージ・マジックや、交流会会場でのテーブル・マジックに感心したり驚いたり不思議がったりの連続でした。

お話しはまず、ミヤモ氏のテレビ出演時の映像による自己紹介が始まりました。放映されたテーブル・マジックのパフォーマンスにオーっという歓声と共に一同引き込まれてしまいました。続いて目前の舞台上でおもむろに取り出した新聞紙を切刻みました。そしてあっという間に元の新聞紙が甦るというマジックが披露されました。ドウッと言う拍手の後ご自身のマジックとの出会いから今日に至る過程のお話が始まりました。

◇ ◇ ◇

マジックとの出会い

(画像クリック⇒拡大 以下同じ)
ステージでのパフォーマンス

13歳の時NHKの世界のマジックショーを見て魅せられてしまいました。マジック関連の書籍を購入し、独学で勉強を開始し、百貨店の奇術売場でトランプ、ハンカチ、ボール等を購入し、同級生に見せるようになり、演ずる事の喜びを感じる様になったため、ますますマジックにのめり込んでいきました。授業中には、ボールを回して手先の訓練をする、宿題そっちのけで、録画したテレビ番組で何度も何度もプロの技を観察するなどです。ついには周りにプロのマジシャンになることを宣言しました。ところが自分以外の周りのすべての人が反対でした。

高校1年生の夏休み豊島園の屋外ステージにて、ドルフィンマジックというプロマジシャンがライブ・ショーを行っておりました。一緒に行った友人が、『彼もマジックをします』と声を掛けたところ『一寸やってみてごらん』と声を掛けていただいたのが、師匠に出会ったきっかけです。その後手ほどきを受けるようになり、プロのマジシャンの生活を垣間見ることができるようになりました。大学を卒業することを条件に両親の許可を得て弟子入りすることになりました。

ここで、自宅でできる『予言マジック』の実演と種明かしが紹介されました。参加者の方々はもう自宅ですぐこのマジックを披露できるようになった筈です。

19歳で入門してからの3年間の修行から独立まで

サラリーマン家庭に育ったため、人前で何かを演ずることに長い間慣れることが出来ず常に緊張していました。ステージは華やかですが、奇術団はスケジュールの調整から各地へ移動まですべて自分たちでしなければなりません。旅芸人一座のような生活でした。

マジシャンは舞台が始まったらすべて個人で対応しなければなりません。特に予期せぬハプニングに対して機転を利かせて対応しなければならないことが多々ありました。危機を笑いに変え無事に乗り切ったこともありました。

22〜3歳の時、今後の方向について、つまりプロのマジシャンの道に進んでよいのかについて悩みました。結果として、主力商品がマジック用品である株式会社テンヨーに就職しグッズ販売員として勤務することにしました。会社員時代の10年間程は東京ディズニーランドのマジック・ショップでディズニー・マジック・グッズの販売を担当しました。ディズニーランドならではのお客様への接し方等ここでの経験は、自分の原点の1つとなっています。

講演会の様子
自宅でできる『予言マジック』の実演と種明かしを紹介
講演会の様子
マジック用品が主力商品の株式会社テンヨー時代、東京ディズニーランドでディズニー・マジック・グッズ販売担当の裏話
講演会の様子
環境・エコロジー問題の猛勉強をして現在のエコ・マジシャンに至ったとの経緯をお話いただいた
自宅でできる『予言マジック』 テンヨー時代のグッズ販売話し エコ・マジシャン誕生の経緯

独立営業

30歳前後に新しい世界に進出したいと考え退職して独立をしましたが、すぐに仕事は取ることはできませんので、先輩のマジシャンについて回る生活をしました。独立した時期が丁度リーマンショックに見舞われマジック・バーが倒産する、3人でやっていたイリュージョン・ショーは2人でというように職場がどんどん減ってきていました。その中で、売れている先輩は、何らかの際立った個性を持っているということに気付き、未開拓の分野である環境エコロジーに取り組むことにしました。そして3.11以降世間が、エネルギーに対する考えが変わってきて徐々に出演依頼が来るようになりました。このような中で環境・エコロジー問題に関する知識不足を痛感して猛勉強をするようになりました。そして、現在のエコ・マジシャンに至りました。

質疑応答

  • 質問 ネタは公開しないのですか。
  • 答え 別途料金でお教えします。
  • 質問 マジック・グッズはなぜ高いのですか。
  • 答え マジック・グッズは、著作権等がかかるため材料費より高価になっています。
  • 質問 長崎の川棚町の喫茶店『あんでるせん』でのパフォーマンスは、マジックなのか超能力なのかどちらですか。
  • 答え 行ったことがないので伝聞でしかないので断定でませんがが、マジックも心理学もかなり勉強されているようで素晴らしいお店であるとは言えます。
  • 質問 プロマジシャンの総数は。
  • 答え プロマジシャンは300名と言われています。
    現在、公益財団法人日本奇術協会*には、マジシャンの半数が加入しています。
  • 質問 市場規模は
  • 答え ギャラに大きく幅があるので正確に答えられません。
  • 質問 テレビでしか視聴出来ないようなCGを利用したマジック等をどのように考えるか。
  • 答え 賛否両論があり、手技等で勝負すべきとの立場もあれば、テレビでは視聴率を稼ぐ必要があり、視聴者が喜ぶものを提供すべきとの立場もありどちらとも言えません。
  • 質問 世界で活躍している日本人はいますか。
  • 答え この数年、世界大会では入賞者はでていません。
  • 質問 マジシャン養成学校はありますか。
  • 答え 養成学校設立には賛否両論があります。マジシャンになる過程が、神秘的である方がよいとの考えで設立に否定的な意見があります。現時点では資金的な問題で日本には養成学校はできていません。ただ、国威向上を目的として中国・韓国では国家プロジェクトでマジシャンを養成しています。

講演終了後、事務局より下記の新入会員の紹介が行われました。

  • 大部修司さん(1116)
  • 澤田賢治さん(1119)

交流会は、ミヤモ氏をご紹介いただいた佐々木正延さんの乾杯の発声で始まりました。

少しアルコールで喉を潤した頃、ミヤモ氏のテーブル・マジックが始まりました。背後には行かないという約束でミヤモ氏を取り巻き鮮やかなパフォーマンスを堪能しました。

講演会の様子
ミヤモ氏を紹介された佐々木正延さんの乾杯
講演会の様子
2人を横に鮮やかなカードマジック
講演会の様子
今や定番となった究極のスプーン曲げに全員が賞賛
佐々木正延さんの乾杯 2人を横にカードマジック 究極のスプーン曲げ
懇親会でのミヤモ氏を取り巻き鮮やかなパフォーマンス
(YOUTUBE 限定公開 1分55秒)

ただただ感心する人、ネタはどこに隠されているか注意深く観察する人等楽しみ方は多様でしたが、多くの方々がどうしてこのようなことが出来るのかと謎解き話に花を咲かせつついつもの通り交流会が盛り上がりました。

注:*公益社団法人日本奇術協会は日本で最大且つ唯一のプロマジシャンのための組織です。マジックショーや研修会などのマジック関連のイベントを開催することにより、若手の育成やマジックの普及・振興に努めています。また、その活動によって奇術家(=マジシャン)全般の地位向上・啓蒙を図り、もって我が国の奇術文化の発展に寄与することを目的としています。(同協会HPより)

(森川紀一記)

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