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( 2018年5月29日 掲載 )

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2018年5月 講演・交流会(177回)

テーマ:「恋とはどんなものかしら」 〜エグゼクティブのためのオペラ鑑賞術〜

講 師:朝岡 聡 氏(フリーアナウンサー&コンサートソムリエ)

 

伊藤 数子 氏2018年5月10日(木)15時から学士会館にて46名の参加者を得て、第178回講演・交流会を開催いたしました。演題は「恋とはどんなものかしら」 〜エグゼクティブのためのオペラ鑑賞術〜 でした。今回は「講演は、時事、ビジネス関連が多いので、文化的なテーマを希望する」という会員の声に応えたものです。

講師の朝岡聡氏は、TV朝日ニュースキャスター退職後、独立してフリーアナウンサーとなり、子供の頃から好きな音楽分野を開拓、コンサートソムリエを名乗り、差別化を図って大成功という話から始まりました。

講演内容は大要以下の通りです。

◇ ◇ ◇

オペラはフランス語・イタリア語・ドイツ語など何を歌っているのか分からないという人が多く、ここを分かり易く話すところにニッチな市場を感じました。

これをやると、客も喜び、歌手も喜ぶ需要を発見、ニーズは確実にあり、ワインのソムリエの役割と同じです。名曲を事前に解説すると分かった気になる人間の錯覚も活用しています。

今日の話は、皆さまエグゼクティブが対象です。欧米では夜の食事・パーティで仕事の話はせず、文化的な会話に終始します。これが出来ないと話になりません。

仕事以外のアナザーワールドを持つことが重要で、芸術は最適な一つです。中でもオペラほど様々な要素が必要とされる芸術はなく、演劇+文学+音楽+α の総合芸術と言われています。

ちなみに、オーケストラはオペラから生まれたものです。舞台前の楽団のブースをオーケストラと言いました。交響曲はオペラの序曲でした。メディチ家の結婚式の音楽から、フィレンツェでオペラが産まれたのです。

オペラは取りつき難いものではなく、「銀座の恋の物語」などカラオケのデュエットは立派なオペラです。テレビドラマも映画もオペラが手本になっている例は枚挙に暇がありません。

オペラには様々な恋物語が表現されています。皆さまご自身で恋をしなくても、オペラで恋を楽しむことが出来るのです。愛し合う二人が結ばれる恋は理想的ですが、全く面白くありません。「上手くいかない恋物語」だから面白いのです。

(DVDの動画で以下の1シーンを鑑賞しながら軽妙な解説が続きます)。

  • モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」〜手に手をとって〜
    女性を口説く典型的パターンとは?
  • ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」愛の二重唱はカラオケ・デュエットだ!
  • ヴェルディ「椿姫」〜そはかの人か 花から花へ〜
    本当の愛に目覚めた自分とそれを否定する自分。千々に乱れる女心
  • ビゼー「カルメン」〜セギディーリャ〜
    妖艶で自由奔放な女にはまり込んでゆく生真面目な男
  • プッチーニ「ラ・ボエーム」〜ロドルフォとミミの出会いの場面〜
    出会って、たった15分で恋に落ちる男女

オペラは浮気・嫉妬・殺人‥‥ 人生やってはいけないことのオンパレードです。

あなたは浮気したいですか? 嫉妬深いですか? 人を殺したいですか?

でも、あなたの人格を犠牲にしたくなかったらオペラを観なさい。

オペラの楽しみ方は、演目は同じでも、演出家・歌手などいろいろなオペラを比べてみて聞く、それを会話して楽しむことができます。

講師欧州のオペラ劇場の2階・3階は馬蹄形で、ボックス席になっており、これを「パルコ」と言いました。客はオペラを凝視しているのではなく、昔は、カードゲーム・会話・ワイン・食事を楽しんで、合間にオペラを観流という社交場でした。

  • 人はなぜオペラに惹かれるのでしょうか。
  • オペラを知れば「人」が分かる。
  • オペラを観ると他人の人生を経験できる?!
  • 仕事以外の趣味が、結局仕事を充実させる。
  • だから…芸術は心への投資である。

知識としての芸術より、アナザーワールドとしての芸術の重要性を認識し、皆さまにも生活の彩りとして楽しんでいただきたいと思います。

◇ ◇ ◇

活発なQ&Aもあり、17時前に終了しました。

朝岡聡氏は懇親会にもご出席、持参された著書「恋とはどんなものかしら歌劇(オペラ)的恋愛のカタチ」2017年東京新聞社刊も飛ぶように売れ、講師を囲む輪ができました。

以上
(近藤勝重 保坂洋・記 三納吉二・写真)

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