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(2013年3月27日 掲載)

DF監査役部会第8クール    第7回研修会

講師

監査役部会第8クール第6回研修会が、次のとおり開催されました。

  • 開催日時:平成25年4月10日(水)午後3時〜5時
  • 場  所:学士会館203号室
  • テ ー マ :監査心理学による監査の実効性向上
      旧来の監査の限界を超えるための心理学的アプローチと対応  
  • 講  師:日本マネジメント総合研究所理事長 戸村智憲氏
    早大卒 米国MBA修了 公認不正検査士
  • 参加人員:約50名

【講演概要】

1.企業活動

企業活動はすべて人間が営むものである。人間の行動は「心理」によって大きく影響を受ける。監査については、従来からの監査論・監査計画・監査基準など形式に依存するのではなく「心理学」の側面からアプローチしなければ実効ある監査業務を果たすことはできない。

2.絆と手綱

今求めれられているのは此の両方である。たとえば監査役と経営者が共謀する事も絆の一つである。しかしこれは悪い絆である。しっかりした手綱が必要である。その手綱とはコーポレートガバナンスと内部統制を一体とした総合的内部自治である。

3.オリンパスの内部統制報告書

当初の報告書さらに訂正内部統制報告書を読んでも、何故訂正が必要だったのか、つまり、当初の記載が偽りであったのか、訂正報告の内容も一部訂正としながら全部訂正になっている。形式さえ整えば中身は問わない方式であるJSOXは死んだといっても過言ではない。

4.不祥事対策

① 総合的内部自治への転換

不正防止の対症療法では不正はなくならない。却って不正の手口が巧妙化する。

総合的内部自治」の確立が必要である。それには世代間ギャップを乗り越える「倫理」「正義」「正しさ」これを組織内に浸透させることが大切である。

② 人事権

不祥事企業の問題は統制環境が破壊されていることである。たとえば監査役の実質的な人事権は執行側が握っている。型にはまり異論を唱えない人材の大量生産をしている人事部も問題であり、ガバナンス・内部統制は会社の大きな教育問題とも言える。

5.不正の先行指標・結果指標という監査視点

① 会計監査での不正の摘発は結果の指標であり後追いの対症療法である。
② 監査の視点で重要なのは先行指標となる予兆の発見である。
  • 社内や現場で違和感を覚えないか?違和感は監査の観点から重要。
  • 監査心理学の観点からは職場環境が悪いために不正を働くケースがある。
  • 普段から現場に赴き現場の風土や変化を読み取る努力-「人に寄り添う監査」。
  • 現場では声にならない声隠れた真実を探し出す。
  • 被監査者と同じ目線・同じ立場」で考える。
  • 猜疑心ではなく,懐疑心で監査に臨む。

形式基準で被監査人を抑え込むのではなく、同じ目線で寄り添い指摘事項について「なるほど」と思ってもらえればこれが実効性のある監査となる。

従来なかった視点からの監査論で、聴講された会員からは「深く引き込まれるようなお話」「人間の側面にスポットを当てたユニークな監査論」「大変刺激的なお話」など、好評の声が多数寄せられました。

以上