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(2013年2月25日 掲載)

DF監査役部会第8クール    第5回研修会

講師

監査役部会第8クール第5回研修会が、次のとおり開催されました。

  • 開催日時:2013年2月13日(水)午後3時〜5時
  • 場  所:学士会館
  • テ ー マ:最新の監査役の実務課題(その4)
      コーポレートガバナンスから国際会計基準まで  
  • 講  師:三優監査法人 統括代表社員 杉田 純氏
  • 参加人員:約50名

【概要】

幅広いテーマを、事例を交えながらポイントをしっかり押さえ、明快かつアグレッシブな歯切れのよい解説をしていただきました。

この1年の監査役を取り巻く環境の変化が良くわかり今後の監査業務の指針ともなる講演でした。

【講演要旨】

1.激変する世界経済と試練の日本経済

  • 欧州危機は続いており、新興国の台頭はあるがそれぞれ問題を抱えている
  • その中で米国中国日本は経済の回復基調にある
  • 日本はアベノミクスで円安株高の成果が出てきた3本の矢の中で「民間投資を促す
  • 成長戦略」の達成が最重要課題である

2.コーポレート・ガバナンスに係る新たな動き

  • 平成24年における企業不祥事
  • 不祥事の30%は子会社で発生している
  • 海外子会社でも発生特に事業部所属の海外子会社は要注意

(以下改正の動きを列記)

  1. 会社法改正の動き
    法制審議会会社法制部会は、昨年8月会社法制の見直しに関する要綱案をとりまとめた
    見直しポイントがいくつかある中で「社外取締役の選任の義務付け」は見送られたが付帯決議により取引所規則を通じた規律を求めている
  1. 東証の独立役員制度の強化
    独立役員の出身母体に関する情報開示など
  1. 企業会計審議会監査部会
    監査における不正リスクの対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改定の草案を公表
  1. 経済産業省コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会を発足
  2. 日本取締役協会「日本企業が目指すべきコーポレート・ガバナンスについての意見書」を公表
  3. 日本監査役協会の対応
  • 法令違反等事実又は不正の行為等が発覚した場合の監査役等の対応について
  • 監査役の海外監査について
  • 予防監査に重点を置いた監査役監査と監査スタッフの役割
  • 中小規模会社の監査役監査チェックリスト
  • 重大な企業不祥事の疑いを感知したした際の監査役等の対応に関する提言

など一連の対応を実施した

  1. 企業の国際化と新しい規制
  • 紛争鉱物
    SECに対し報告書を出している企業が対象現在は4種類の鉱物を使用しているかが調査対象であるが今後4種類以外の拡大される可能性がある
  • 統合報告者
    これまで財務報告経営者による報告CSR等色々な形で報告されていたものを統合する動き25年中に成立をめざす
  • 海外の独占禁止法
  • カルテル入札談合に対する制裁の強化日本企業も制裁を受けている
  • 米国海外腐敗行為防止法
  • 英国贈収賄防止法世界一厳しい法律十分な手続きを整えておく必要がある

3.コーポレート・ガバナンスの改革

監査業務は業務執行の足を引っ張るとも言われているが、ガバナンスがしっかりしている会社の株価はあがる。必要なことは信頼される監査役をめざすことであるそれは厳しくても公正な立場を貫くことである

4.IFRSの動き

  1. 我が国の取り組み
    任意適用をしている企業はあるが,自見元金融担当大臣の意見で強制適用は判断時期から少なくとも3年の準備期間が必要として先送りされている
    ただし会計基準のコンバージェイションは継続・加速させる
  2. 課題
  • 退職年金の処理
  • リース会計
  • 収益認識そのなかで履行義務の識別

以上