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2012/12/16(No139)

「ボケ防止大作戦  六十の手習い(フランス語編)」

 

寺崎 志野

筆者昭和45年に東レが「コンピュータ・グレーデイングシステム開発プロジェクト」というソフトウエアビジネスの新事業を始めた時に、数学科女子が良かろうとの判断でプログラマーとして採用された。以来、東レでアパレルCADシステム*事業に従事し、子会社の社長を務めたのち2012年6月に退任。常勤相談役という役を仰せ付かった。「1年間出社はせよ、定例業務は特になし」という役職。「定例業務なし」というライフスタイルは身体を動かさず、勿論、頭脳も使用しないということに相成る。それは身体と頭脳の筋肉劣化=「老化」に向かう道筋であると数学的3段論法的論理で判断した。

88歳の元気ハツラツな母より先に老化するわけにはいかぬ。老化防止には「何か新しい事、頭脳を酷使すること」が良さそうだと巷で聞いていた。よーし、不得意科目の外国語だ。英語は四十の手習いで必死に勉強したので新鮮味が薄い。次の選択肢は好きなファッションに関連するイタリア語かフランス語。そういえば第2外国語は「仏語」だった。然らばと夏休み明けから行動を開始した。勉強方法は先人から習い、必要器材を完備し、目標を持ち日々練習を怠らずだ。これは社会人人生で学び、身に着けた「新教科学習法」の基本である。ゴルフ、テニス、英語、簿記、生け花、習字どれもこの手で学習してきた。

8月下旬に東京駅丸の内北口の丸善本店に出掛け、一番薄い初級本を選定。これを2週間で修了した。その教本著者お勧めの文法基本教本と500語単語帳を追加購入、続いてCDラジカセも新規購入。器材は揃った。検定試験が11月にあると知り最下級の5級にエントリー、目標を定めた。「楽勝仏検5級合格講座」なる受験問題集を購入。心の中で「必勝」のハチマキを締め、受験生よろしく早朝学習体制に突入した。

筆者
丸善で求めた教材一式

学生時代に少しは勉強した筈なのに、きれいサッパリ何の記憶も無かったのには我ながら唖然とした。最初の1ヶ月の文法筆記学習では、文法の複雑怪奇さに慄いた。2ヶ月目に「聞取りテスト」をしてみたら、全く聞き取れないのに愕然とした。これでは5級でもダメかとあきらめかけた。

ここで、若者に訓示をしているフレーズを思い出した。「継続は力」「天才は99%の努力」。

数冊購入した教本付属のCDを繰り返し、繰り返し再生して耳に入れ続けた。検定試験の前日には模擬試験集で満点を取れるようにまでなった。

「よーし、これなら100点」と勇んで本番に向かったが、さすがに全問正解は無理だった。

試験の翌日には5級問題集を片付けて、丸善へ向い「4級問題集」と「ゼロから話せるフランス語」を購入した。来年6月の4級に挑戦する。

フランス語の学習を開始して3ヶ月。周囲から「若返った」との評価はないけれど、「元気そう」とは言われるから「老化防止」には十分効果ありだと自己評価をしている。

複雑怪奇な文法も何度も繰り返して学んでいると、「例外はあるが殆どが規則通りの動詞変化ときちんとしたルールどおり」であることが分かり、論理的文法を有する高度な言語であると敬服している。理科系女子には相性が良い。学生時代に気付かなかったのが残念でならない。日本人女性の平均寿命までは熱が冷めず、ボケ防止効果を証明したいものだ。

 

てらさきしの ディレクトフォース会員 元東レ、東レACS

*CADシステム:コンピューターを用いた製図システム、コンピューター支援設計