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2011/03/16(No97)

事業としての里山再生

杉野 恭

杉野恭氏 日本の原風景である里山に人手が拘わらなくなって荒廃していると言われて久しい。そこで、事業会社が本来の業務を行なうなかで、荒れた里山を蘇らせることは出来ないか。里山の自然を残しながら、人が住み、自然と共生しながら生活を営んだら、里山と人の関係が復活して、里山も元気になるのではないか。

健康的で行動力があり、ITを駆使して幅広い情報を得ることが出来る、所謂アクティブ・シニアが里山のなかで居住できる新たな生活空間を創り、新しいライフ・スタイルを提案する。里山における居住、農的活動、自然活動、レジャー・リクレーションを通して健康的な生活を営む。そこでは自然空調、太陽光、地中熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーを用い、域内の移動手段は電気自動車という、脱石油エネルギーの環境共生の街、所謂スマート・タウンを出現させる。

私が勤務する日本土地建物(株)が所有する平塚市の西部の大磯丘陵のなかにある後楽園ドーム30個分の広大な里山を舞台に、平塚市、東京農大、地元自治会傘下の協議会と一緒に4者協定を結び、産官学民が連携して前述の様なプロジェクトを、デベロッパーの事業として進めています。高齢社会におけるアクティブ・シニア層が生き生きと生活出来る街の創造、CO2の排出を限りなくゼロにしたエリア単位での環境に優しい街の実現、全国至る所で起きている荒廃した里山の再生、農業の衰退による地域活力の低下の防止、など今起きている社会の諸問題の解決に繋がるのではないでしょうか。

自然の保全というと、とにかく自然に手をつけない、という方向に行きがちですが、山でも里でも、自然を損なうことなく、人が生きる道が残されている筈です。自然の中に快適な生活の場を創造する。このようなイノベーションが今期待されており、これが日本経済を内需型にするのではないでしょうか。

(すぎのやすし ディレクトフォース会員・元第一勧業銀行・現日本土地建物、ヤナセ)

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