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2011/02/16(No95)

「新春2600キロのドライブ」

橋本 せつ子

橋本せつ子氏 東京に住み始めて20数年になりますが、年末年始はいつも人気の少なくなった東京でのんびりと過ごしていました。今年は、年末早めに仕事を終えたこともあり、ふと思い立って車で両親のいる福岡まで往復してみました。これまで東名自動車道は御殿場までしか走ったことがなく、両親にはかえって心配を掛けてしまいました。今年の年末年始は強い寒波に見舞われ各地で大雪の被害が出ましたが、幸いに私が走った日はどこもお天気に恵まれ、あちこち寄り道をしながら1週間かけて往復2600キロのドライブを楽しみました。

富士山
由比PAから見た富士山
 12月26日深夜に東京を出発し、足柄サービスエリア(SA)で仮眠を取り早朝朝日を受けて刻々と色を変える富士山を見ながら西を目指しました。まだ休み前の平日でしたのでトラックが多く、日本の産業の動脈を体感しました。その日は東名自動車道から伊勢湾岸自動車道を一気に走り抜け、さらに伊勢自動車道を通って、伊勢神宮まで行きました。伊勢自動車道は例の社会実験で通行料は無料ですので、東京から伊勢まで480キロ走って高速料金はわずか1550円でした。2010年に伊勢神宮の来訪者が860万人と過去最高を記録したのも肯けます。年末の伊勢神宮は静かでした。翌日は名阪道路を通って奈良に寄りました。2010年の奈良は遷都1300年で東大寺、興福寺周辺は大変な賑わいでしたが、今回は車でなければなかなか行けない奈良の南、明日香村周辺を回ってみました。残念ながら万葉文化館は年末で休館でしたが、どこも人は少なく、駐車場もがら空きでゆったりとした時間を過ごすことができました。年末の観光はお勧めです。
 今回、高速道路を走ってみて経済成長を支えてきた日本の交通インフラの充実ぶりを改めて実感しました。名古屋の伊勢湾岸道路、新名神などの新しく作られた高速道路は車線の幅も広く、走りやすい工夫がされています。さらに目を見張ったのは、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の充実ぶりでした。2005年の日本道路公団分割民営化を機に、高速道路のSA、PAのビジネスが急速に進行しています。和菓子、洋菓子、ベーカリーなどのおしゃれな店が増え、それぞれの地区の特産品、限定商品を用意してどの店も大繁盛です。今SA、PAは休憩、給油のための立ち寄りの場から、そこに行くのが目的となる新たな「ミチナカ」ビジネスを生み出しています。NEXCO3社の2010年3月期の財務諸表をみるといずれの会社もSAPA事業の伸びが大きく、その営業利益は道路事業の営業利益を上回っていることが判ります。長年かけて築き上げてきた高速道路という「ハード」の上で、日本独特の気配りの行き届いた「ソフト」が日々進化しています。これは海外の高速道路ではまず目にしない光景です。この新たなサービスビジネスを海外に輸出してはどうでしょうか。高速道路を通して日本の持つ底力を体感した年末年始でした。

(はしもとせつこ ディレクトフォース会員 株式会社バイオビジネスブリッジ)

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