ホームへボタン DFロゴ
アーカイブ目次

2011/02/01(No94)

「バリ島」と私

貝塚 正彦

貝塚正彦氏 前職を卒業する直前に会社の後輩からバリ島で一緒に仕事をしませんかとの誘いを受け た。話を聞いてみると、彼の恩師が留学生を受け持った縁で、バリ島に土地を持っている という。その土地を借りて長期滞在型のヴィラを建てるという計画だった。

それまで一度もインドネシアへ行ったことはなかったが、何はともあれ一度現地へ行かないことには始まらないと、2006年7月に下見にでかけた。

場所は島の東部の Amed という海岸、周りは既に開業しているヴィラがいくつかあり、欧米人がのんびりと過ごしていて、プライべートビーチで最高のロケーションであった。

ただ残念なことにまだインフラが整っていない。空港からは車で5〜6時間、ショッピングを楽しむようなところはなく、バリの踊りやガムラン音楽を見聞きするところもない。タクシーもないので、移動はもっぱらバイクかホテルの車である。ひたすら自然を楽しみながら過ごすことが苦にならない人には絶好の場所であるが、私は3日で飽きてしまった。

既に長期滞在型のヴィラを建てていた人たちの意見も聞いてみたが、大方が Amed は時期尚早とのこと。ヴィラのオーナーになることは儚い夢となってしまった。

ビラ建設地
Amed のヴィラ建設予定地
木彫り工房
Ubud(バリ文化の中心地) の
木彫工房

しかし何回か訪問しているうちに、現地の人たちや現地に住む日本人との交流ができ、これで諦めてしまうのは心残りであったので、バリの木彫品、布などの工芸品をネットで販売することにした。

バリの人たちは小さい頃から男の子は木彫りや絵画を、女の子は機織りや踊りを学ぶ。通りを歩いていても簡単なお土産物から組み立て式の高級家具まで多種多様な木彫品が並んでいる。

布も専門店があちらこちらにあり、ソンケットといわれる儀式に使われる絹製品に刺繍を施した豪華なものから、一般的なバティック(ロウケツ染め)・イカット(絣織り)などを売っている。小さな村へ行くと昔の布が残っており、土地によってモチーフや材質、織り方の違いもあるようだ。

最近になって、昔行われていた草木染めを復活させようと研究をしている学校の先生と出会い、以来行くたびに親交を重ねている。

他にも興味深いことがたくさんあり、もう少し若ければいろいろ自分でやってみたいところだが、これからもできた縁を大事にして、バリの素晴らしい工芸品を見つけ、皆さんに紹介していきたいと思っている。

(かいつか まさひこ ディレクトフォース会員、元金門製作所、現トゥリュック)

→ 目次へ