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2011/12/01(No114)

「我慢? エンジョイ? 夫婦2人の海外旅行」

保坂 洋

筆者63歳でリタイアしてからの5年間、ほぼ毎年2回のペースで夫婦2人の海外旅行をしている。決まったスケジュールで決まったコースをガイドに案内されて回るツアーは2人とも苦手で、全て個人で企画する所謂個人旅行ばかりである。時々、監事を務める学会のコンファレンス出席もあり、ついでに周辺を旅することもある。

好きなところをマイペースで回ると、だいたい2週間以上の旅行になる。夫婦海外旅行はシニア生活定番の行事と思うが、友人達は「連合いが希望するのでツアーに参加した。8日間で数ヵ国を回ったけど、都市の名前はよく覚えていないな。疲れたよ」程度が多く、我家の実績と予定を話すと、殆どの友はあきれ顔で「エーッ、夫婦2人きりでそんな長い間何してるの? 俺にはとてもそんなこと考えられないな」「主人と行くより、女友達同士で行った方がよほど楽しいわ」という反応が多い。

旅先では、夫婦の個人旅行者に会い、楽しく情報交換することもあるが、どうも少数派らしい。何故我家はこのスタイルで続けていられるのだろうか?「仲が良いね」とからかわれるが、それだけの理由ではないだろう。リタイア後に家業とした技術経営コンサルタントとして分析してみたい。

企画は協議はするが家内発が多い。私発はスイスハイキングと米ナッシュビルのグランド・オール・オープリー鑑賞位かもしれない。でも、完全合意制で、片方が知らぬ間に勝手に進めたり、自分の趣味を押し付けたりすることはない。最初から参画することがモチベーションを高めるというのは経営の鉄則で、まずこれは満足している。

次に具体的な訪れる観光地、レストラン、料理、店、ホテル、交通機関、荷のパッキングは主として家内が担当する。ネットを中心に本や友人から情報収集、限られた予算、日程、容量、重量の中で、行く先、持ち物を決めていく。それを私が審査、承認し決定する。このようなプロセスを経ると、「調査し切れずに起こる旅先での不測の事態は当たり前」と何かあってもお互いを許す広い心が醸成される。思い切って権限を委譲し責任は取る、良い仕事を遂行するための経営の教えと何ら変わるところがない。

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ニュージーランドSCANZ学会仮装パーティー スペイングラナダのバスの中で地元のおじさんと交歓

そして、何よりも、2人とも受身の楽しさよりも、自ら積極的に行動した結果生まれる「触れ合い」を楽しく感じる心が一致している点が最大のポイントではないかと思う。旅の経営理念・価値観が共有されているということだ。

来年は交通が不便で治安にも少々不安のある南イタリアへの旅行を計画中である。

この分析が、ご夫妻での旅行を計画している方々の少しでもお役に立てば幸甚である。

ほさかひろし ディレクトフォース会員
元東京磁気印刷(現トッパンTDKレーベル)取締役 現技術経営ラボ代表・色材協会監事