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2011/11/16(No113)

「オペラへのいざない」

齋藤 長三

筆者8月のDF勉強会で「オペラ学・オペラ楽    西欧の近代を成立させた芸術と娯楽の王の考え方と楽しみ方」というテーマで音楽評論家 堀内 修 氏の講演が開催された。暑いさなか約110人もの会員がお集まりになり、DF会員にはオペラファンが如何に多いかを知ることとなった。もちろん、私もヨーロッパ文化の一端に触れたいと思い参加した。

オペラは「人の心を動かす歌の力がドラマを動かし、オペラそのものをうごかす。ここにオペラの原点がある」との解説があった。オペラは歌(歌手)、楽器(指揮者)、演劇(演出、舞台、衣裳)が一体となった総合芸術であるが、その中でも歌が人の心を動かし、アリア(独唱)とともに別世界への旅が出来ることが最大の魅力と言える。まずは歌や曲が美しく、馴染みがあり、筋書きが分かりやすい作品から楽しみ、オペラの世界に浸り、親しみを覚えたところで演目そのものを楽みたい。因みに日経2010年11月20日号で「初心者がまずオペラに親しむならこのオペラ」と題して、ビゼー「カルメン」、ヴェルディ「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」、プッチーニ「トゥーランドット」、プッチーニ「蝶々夫人」、モーツァルト「フィガロの結婚」、モーツァルト「魔笛」、ロッシーニ「セビリアの理髪師」、モーツァルト「ドンジョヴァンニ」、プッチーニ「ラボエーム」、プッチーニ「トスカ」を推薦している。

この講演会に触発され、実際に劇場に足を運んでその良さを実感するのが一番と思い立ち、10月15日、日本オペラの殿堂である新国立劇場で「サロメ」を観劇した。オスカー・ワイルドが聖書のエピソードをもとに性的倒錯と頽廃の世界を描いた戯曲を、リヒャルト・シュトラウスがこの異常な世界観を大胆な音楽で描ききったもので、特に第4場でのサロメが望みのもの〈ヨハナーン(ヨハネ)の首〉を手に入れ、魔女に取り付かれたごとく乱舞するシーンは圧巻であった。オペラのすごさに圧倒されて観劇が終わった‥‥。

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独唱:エリカ・ズンネガルド R.シュトラウス作曲「星」5つの小さな歌 Op.69より サロメを演じ好評を博した新国立劇場初登場のズンネガルド

と思っていたところ、劇場側の配慮により指揮者、歌手との懇談会が催された。これまで何回もオペラを観に行ったがこのような機会は初めてで、主役サロメのエリカ・ズンネガルト(ソプラノ)、ヨハナーンのジョン・ヴェーグナー(バリトン)のサインを貰い、ワインの酔いも手伝って桃源郷に遊ぶ思いであった。

さいとうおさみ ディレクトフォース会員、元伊藤忠商事

(編集註:画像はネットより転載)