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ワイン同好会

世話役 石井 勝巳

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2021年5月26日 更新

ワイン情報コーナー

目 次

(敬称略)

掲載日 タイトル 筆者
2021年5月26日 ボルドー・ワイン「 クリュ ブルジョア デュ メドック」 今井 智之
2020年12月19日 日本のワイン「雑誌『Pen』に紹介されたワイン」 今井 智之
2020年12月1日 ワイン価格の決まり方に関する一考察 森 和樹*
2020年11月12日 只の酒好きから「ワインエキスパート」に 濱本 龍彦
2020年10月17日 白ワインの多様性テーストーその2 今井 智之
2020年8月14日 白ワインの多様性と熟成ボルドーをテースト(taste)~蟄居中の体験 今井 智之
2019年11月9日 ワインをより楽しく飲むために(1) 今井 智之
2016年11月28日 ワインの選び方(初級編) 石井 勝巳
2016年8月23日 スパークリング・ワインについて(補足) 今井 智之
2016年7月28日 スパークリング・ワインについて 今井 智之
2016年7月7日 第60回 「ワイン同好会」開催のお知らせ 石井 勝巳
2015年6月21日 第54回 「ワイン同好会」開催のお知らせ 櫻井三紀夫
2015年6月19日 ワインの原料となる葡萄の種類について 今井 智之
2015年3月26日 シチリア便り 角谷 充弘

2021年5月26日 掲載

wineGlass ボルドー・ワイン
   クリュ ブルジョア デュ メドック

今井 智之

 

ボルドー・ワインというと、ワインに少しでも関心をもつ方々は、先ずメドック5大シャトーとその名を出して語ることが多い。シャトー・ラフィット・ロートシルト、マルゴー、ラトゥール、オー・ブリオン、ムートン・ロートシルトは確かに偉大なるワインである。しかし、同じボルドーでも、サンテミリオンやポムロールのトップクラスは、と聞くと答えられる人は減少する。サンテミリオンにも格付があり、そのトップクラスにはシャトー・オーゾンヌ、シヴァル・ブランやペイヴィーがある、そしてポムロールには格付はないが、シャトー・クリネ、ペトリュスやル・パンなどがあると言える人は少ない。いずれにしても、これらのワインは高価すぎて、そう簡単に手を出せるものではないから我々庶民には議論する意味はあまりないかもしれない。

メドック格付には5大シャトーの下に2、3、4、5級があることもご存じの方は多いであろう。また、実際にこれらのシャトーから選んで買う人は多い。しかし、その中で安かったから買うというのは、あまり賢明とは言えない。その理由として、シャトーの現在の評価、ヴィンテージなどにより価格は大幅に変わるからである。メドック格付は1855年に制定され、その50年後、ムートン・ロートシルトだけが格上げされて以来不変であるから、今でも、いつでも位が変わらないと言い切れぬ訳であり、事実、R.パーカーは、再評価して格付の見直しをしており、格付外としているシャトーが19社もあった。市場は賢明であるから、その時々の各銘柄の評価と需給により価格を決めていると言える。

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さて、前置きが長くなったが、メドック格付の他にクリュ・ブルジョワ・デュ・メドックという格付があることをご存じない方が多かろう。1932年にボルドーの商工会議所と農業組合は、メドック格付から外れたシャトーから優れたシャトー444社を選び独自の格付けを開始した。ラベルにCru Bourgeoisと表示したが法的なサポートは得られず、このグループは言わばメドック5級の下位に位すると評価されて来た。2000年に見直しが行われ、格付されたシャトーは247社に減じられた。その後諸々の問題を抱えて改定が行われ、2010年に抜本的解決が図られ、3段階格付は廃止された。更に2020年には3段階格付が復活し、上位より、クリュ・ブリジョア・エクセプショネル 14社、クリュ・ブリジョア・シュペリユール 56社、クリュ・ブルジョア 179社が認定されている。認定後、5年間、Cru Bourgeois Exceptionnels. Cru Bourgeois Supérieurs, Cru Bourgeois 各々をラベルに表示できる。次回の改定は、2018年ヴィンテージを基に2022年に改訂される予定である。

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かように現在の制度では、メドックの格付シャトーを横目に各シャトーは競争に負けぬよう頑張る動機付けとなっているので、優れたワインを造り出す可能性が大である。また格付外に転落したシャトーは復活を期して尚一層頑張るはずである。メドック格付には格外に落とされる心配がないから、只々評論家の評価を気にしながら、高値で売れる努力をするのみである。怠慢なシャトーがネゴシアンその他の企業に買収され、改革、改善されてバリ ューが上がるケースも結構多い。クリュ・ブルジョワはメドック格付の下に位すると見られがちであるため、市価は比較的安いことから、コスト・パフォーマンスの高いワインを探すに大変よいターゲットである。

以下、筆者が最近見付け満足感を得たワインを紹介しよう。

◇ ◇ ◇

  1. シャトー・レストリュエル・メドック・クリュ・ブルジョワ2015
    CH. LESTRUELLE MEDOC CRU BOURGEOIS
    クリュ・ブルジョワ セパージュ CS、M 比率不明
    市価3千円弱でも十分楽しめる。ルフトハンザ航空とデルタ航空のビジネスクラスに搭載されたことがある。
  2. シャトー・リリアン ラドゥイ サン テステフ2014
    Chateau Lilian Ladouys St Estephe
    クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル セパージュ M、CS、PV、CF 比率不明 H.J.シャトー評価** パーカーポイント90 筆者の評価**** 香り(Nose)、口当り(Palate)、喉越(Finish)に力強さを感じた。市価3千円
  3. シャトー・ボーモン2017
    Chteau Beaumont
    クリュ・ブルジョワ・シュペリウール オーメドック セパージュ CS50%、M48%、PV2% H.J シャトー評価** 市価2500円弱
    Nose、 Palate、 Finish 三拍子そろった期待以上のワイン
  4. シャトー・シトラン 2016
    Chateau Citran
    オーメドック セパージュ CS50%、M45%、CF5%
    2020年クリュ・ブルジョワには載ってないが、過去にシュペリウールとエクセプショネルに輝いたこともある。しかし、依然として素晴らしいワイン。2018年ヴィンテージが劣ったか申請しなかったのかもしれない。素晴らしいワイン。市価3千円強。
  5. シャトー・ラ・トゥール・サン・ボネ 2015
    Chateau La Tour St. Bonnet
    メドック2020年クリュ・ブルジョワ。しかし、このヴィンテージのラベルには表示がないから、資格申請をしなかったか、2018年ヴィンテージが資格を獲得したと考えられる。H.J.のシャトー評価**、コメントはReliabale Value セパージュ CS45%、M45%、CF5%、PV5% 少々変わった香りと口当たりで好き嫌いは別れよう。市価2500円
  6. シャトー・ポワトヴァン 2012
    Chateau Poitevin
    メドック・クリュ・ブルジョワ(ラベルに表示)但し、2020年(for2018)には見当たらない。セパージュはM、CS, PV。シャトーのHJ評価**Elegant, Consistent quality 2012年ヴィンテージが今最良とコメント。素晴らしいワインでコストパフォーマンスは抜群。市価2600円

今後、更に試飲してみたいワインを挙げると次のようになろうか。

  1. シャトー ル ボスク 2015
    Chateau Le Boscq
    サンテステフ, クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル セパージュ
    市価5450円 HJシャトー評価**コメント Consistently great value
  2. シャトー ル クロック 2009
    Chateau Le Crock
    サンテステフ、クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル
    HJシャトー評価**コメント Gd-value(Good or great)市価5500円
  3. シャトー ダルサック 2018
    Chateau D’Arsac
    マルゴー、クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル
    市価 4000円(2016ヴィンテージ)HJWBには見当たらない
  4. .シャトー・ラ・トゥール・ド・モン 2016
    Chateau La Tour De Mons
    マルゴー、クリュ・ブルジョワ・シュペリウール セパージュM49%、CS37%、PV8%、CF6%
    市価3520円(2016年ヴィンテージ)2948円(2009年ヴィンテージ)HJシャトー評価**コメント Steady improvement

以上

◇ ◇ ◇

文中略語

  • CS:カベルネ・ソーヴィニヨン
  • M:メルロー
  • CF:カベルネ・フラン
  • PV:プチヴェルド
  • HJ:ヒュー・ジョンソン
  • HJWB:ヒュージョンソン・ワイン・ブック
  • RP:ロバート・パーカー

後記

評価はH.ジョンソンのポケット・ワインブック(2020年版のみ)であるが、信頼性は極めて高いからである。上記のワイン全てにつきシャトー評価は**(満点****)であったが、恐らくクリュ・ブルジョワ全てをそう評価していると考えられる。

ボルドー・ワインの格付で、以上はジロンド川左岸(グラーヴを含む)のメドック地域の赤ワインに限定しているものであるが、他には右岸にサンテミリヨンの格付、有名な超高価ワイン シャトー・ディケムを含む白ワインの格付がある。格付をしていない産地でも超優良ワインを産するのでポムロールがある(詳しくは筆者の別著“ワインの世界を知る~ワインを楽しむための基礎知識”に纏めてある)。

シャトーが美しく、風格がある、そしてラベルが美しく、綺麗なワインは造り手の心がこもっており美味しい傾向にある、というのが筆者の体験から生まれた見解である。

上記中4シャトーの紹介画像

2021 5 10 (今井智之記)

2020年12月19日 掲載

wineGlass 日本のワイン
   ~雑誌「Pen」に紹介されたワイン

今井 智之

 

この雑誌7/1号に「ニッポンの美酒」という特集の中に紹介された日本のワインに関連してコメントしたい。

先ず、冒頭の記事に2019年「グレイス・ワインのブラン・ド・ブラン 2014」がブルームバーグのウエッブマガジンで世界のトップ10ワインに入ったというニュースが伝えられた。その選考者はエリン・マッコイというワイン&スピリットの評論家・作家でブルームバーグの記者を務めて長い。英「ディキャンター誌」のコロムニストでもある。年間4000本のワインを試飲しているそうであるから相当なものであるには違いないが、他の専門家、ジャンシス・ロビンソンやヒュー・ジョンソンのように世界で一番権威のある資格、マスター・オブ・ワインは持っていないようだ。また同女史の選考がどの程度権威があるか定かでないが、ブルームバーグという看板の下にアメリカでの反響は大きいのであろう。

一説によるとロバート・パーカーを凌駕する程の権威を得ているという。ブルームバーグは購読が有料で詳しくは分からないが、ワインの世界で広く評価されている同国の「ワインスペクテーター誌」の2019年トップ10には下記の通りグレイス・ワインは入っていない。それどころかトップ100にも日本のワインは入っていない。かように人の評価は主観的であり、得てして商業的配慮が排除しにくいものである。単独より集団評価の方が公平であろう。

 

1 Chateau Leoville Barton 2016 97点
2 Mayacamas Cabernet Sauvignon Mount Veeder 2015 96点
3 San Giusto a Rentennano Chianti Classico 2016 95点
4 Groth Cabernet Sauvignon Oakville Reserve 2016 96点
5 Roederer Estate Brut Anderson Valley L’Ermitage 2012 95点
6 Chateau de Beaucastel Chateauneuf-du-Pape 2016 97点
7 Ramey Chardonnay Napa Valley Carneros Hyde Vineyard 2016 95点
8 Chateau Pichon Baron Pauillac 2016 96点
9 Penfolds Shiraz Barossa Valley RWT Bin 798 2017 96点
10 Vina Almaviva Puente Alto 2016 95点

 

ブルームバーグに入賞したワインは「グレイス・ブラン・ド・ブラン 2014」で原料葡萄がシャルドネのスパークリングでシャンパンのブラン・ド・ブラン ヴィンテージと同種である。H.ジョンソンは2020ブックで「グレイス・キュヴェ三澤 明野甲州」とこのワインを評価している。J.ロビンソンが数か月前、日経の記事でグレイスの甲州白ワインが好きであると言っていたから、この2種のワインを試して見る価値があるのは間違いない。「グレイス・ブラン・ド・ブラン・エクストラブリュット 2014」を探したところ、価格が7700円で売切れとなっていた。そこで「グレイスワイン グリド甲州 2019」1980円を購入し試飲したが、先ずは葡萄の香りを上品に漂わせていたので好感が持てた。外国人には不慣れでよい感じであろう。しかし、飽きが来そうな香りである。パレイト(口当たり)は特色がないが酸味がやや強く、どんな料理に合わせたらよいか、迷いそうだ。カレー(は実は赤より白ワインの方が合う)、天婦羅、刺身、寿司で試したが、どれとも悪くはなかったという程度。残念ながらフィニッシュ(喉越し)は引きずられる程の印象ではない。 偶々蟄居中、白ワインの(伝統的品種外)多様性をテイストしてきたので、つい比較してしまうのだが、知名度の低いイタリアの「イスキア・ビアンコ・カーサ・ダンプラ 2018」(1780円)に近いワインと感じたが普遍性としてはこのワインに軍配を挙げたい。同国の「ファルキーニ・ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニヤーノ・ソラティオ 2018」(1579円)は有名でコスパに優れている。赤ワイン「グレイス・キュヴェ三澤 明野甲州」は少々高い(6600円)が後日試飲して見たい。

 

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「Pen」には他の日本ワインを紹介しているが、「進化する日本のスパークリング、飲むべき12本」、「気候と土地にあう品種から、実力派が生まれる、16本」の造り手と価格と味わいが書かれている。その中で、前掲 H.ジョンソンのブックに推奨されている造り手が、グレイス・ワインの他ドメーヌ・ヒデ、シャトー・メルシャン、ハラモ、ルミエール、ソーリュウ、マルキス、ル‘オリエント、チトセ・ワイナリーであるが、合致するのはメルシャンだけである。やはり、この雑誌も、他にもよく見受ける、宣伝広告目的があるように思う。このような情報誌を頼ってワインを選ぶのは勧められないので、国際的に評価され権威がある中立的なワイン評価者(及びその傘下に入る専門のアシスタント)の判断を尊重する方が懸命である。 参考までに、最も中立で信頼性のあるH.ジョンソン、ポケット・ワインブック、2019、2020年版共、世界のワイン評価全頁274頁中日本のワインは4分の1頁しか占めておらず、またJ.ロビンソン監修の「オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワイン」全810頁中日本は2頁である。アメリカの評論家、R.パーカー(ワイン・アドヴォケイト)が最も影響力があり恣意的な評価が噂されるなどして世界のワイン業界を悩ましてきたが、今は、エリン・マッコイが影響力を引き継いでいると言われるもののワインスペクテーターの方が中立的で信頼性が高いようある。ワイン大国、フランスとイタリアではどうかと問われると、答えは、“彼らは只毎日飲むワインさえあれば何でもよい”というユーモアを聞いたことがある。他方、最も敏感なのはイギリスの上流階級であるということには、筆者の体験から異論はない。 そこでイギリスの世界的に権威ある前掲デキャンター誌を開くと、2019年受賞審査では、280名の世界トップの専門家が17,000本のワインをブラインド・テーストし、50ベスト、148プラチナ、480ゴールド、4164シルバー、7376ブロンズを選別した。その内、日本の入賞数は、各々0、1、4、22、23のワインであり。パーセントで現すと、0、0.7、0.8、0.5、0.3 となるから、まだまだ微々たるものである

 

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「Pen」推奨ワインの中には、(見落としがない限り)受賞はない。前記の「グレイス・キュヴェ三澤 明野甲州」と異なるが「グレイス・キュヴェ三澤 2017」(シャルドネ)がブロンズを受賞している。これまで日本のワインで評価されてきた品種は、甲州(白)、マスカット・ベーリーA(赤)であったが、これに国際的な葡萄シャルドネ(白)が加わったことになる。総じて言えることは、“日本のワインは、国際的な葡萄品種を取り入れつつかなり進化して来ているが、国際的に評価されているのは、ほんの一部に過ぎない。しかし、ワイン事業が投資先として魅力あるものであり続けることと、日本人消費者がレベルアップして厳しい評価をし、後押しするようになれば、国際競争力が高まり、将来は明るくなる”であろう。昨年、ディキャンター誌にエリン・マッコイが、日本訪問の後「日本のワインは甲州を超えられるか」と題して将来性、気候的にヨーロッパ系の葡萄を良く育てるのは難しい等、条件付きで有望である旨の記事を出していたが、期待的観測であっても興味深い。

2020・9・7 (今井智之記)

◇ ◇ ◇

2020年11月13日 掲載

wineGlass 只の酒好きから「ワインエキスパート」に

濱本 龍彦

 

30年近くの交渉事の多かった海外ビジネスの中で、隙間時間を利用してサン・テミリオン、コート・ドール、トスカーナ、チリのマイポバレーなど多くのワイナリーを訪れた。また、米国には3回、10年間、事業経営のため在住したので、ナパヴァレー(カリフォルニア)によく出かけた。特にロバート・モンダビやオーパス・ワンのワイナリーを訪れるのが何よりの楽しみであった。

ナパヴァレー(カリフォルニア) Opus One ワイナリーにて
ナパヴァレー
Opus One
ワイナリーにて

ワイナリーに立つと独特の空気が流れているように感じて心落ち着く。穏やかな風、整然とした中に人手の入った温かみ、ほのかな土の香り。しかし、ワインそのものについては葡萄を発酵させてつくるというくらいの知識しかなく、いろいろなワインをテイスティングしても、にこにこしながら“美味しい、Excellent”と。これも最高の誉め言葉とは思うが、それしか言えなかった。

濱本 龍彦さんその後、家庭でも外でもワインを嗜む機会が増えた。そういう場にでると、必ず“蘊蓄自称プロ”がいらっしゃる。遊びの世界ではあるが、よし、ワインについて専門的に、総合かつ分析的に掘り下げようかと思い始めた。

ワインの世界にはソムリエ資格がある。日本ソムリエ協会のサイトを覗いて分かったのは、これはソムリエの職務経験3年以上、かつ従事中がなければ受験できない。職務経験のない場合は、ソムリエ同等の試験(1次はワイン知識、2次はテイスティング)を受けて合格すれば、「ワインエキスパート」の資格登録ができることを知った。

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これに挑戦してみようかと考えはじめた。周囲の仲間は、無理だよ、やめておけ、と言う。協会から500ページを超える教本が送られてきた。これをもとに自分なりのサブノートを作り整理した。ワインの作り方から始まって、主要20か国くらいの各地方の葡萄品種とワイン、ワイン法、ワイン以外の酒の知識などを地図も傍らに置きながら学んだ。1次をクリアした。2次試験はテイスティングである。その年齢では五感の衰えもあるから、やめておけと。確かに、特に香りは難しい。シナモン、ゼラニウム、ローリエ、スーボア、ナツメグ、丁子、ランシオ、杜松の実などなどと言われても、見たことの、まして嗅いだことのないものが多くある。店で少しずつ買って、小さな瓶に入れて毎朝香りに慣れるようなこともやった。

東京目黒の雅叙園のテイスティング試験会場。ワイン関係の仕事を持った20-40代の若い方が多いようである。テーブルの上に並べられたのは、赤ワイン2グラス、白ワイン1グラス。もう1つはワイン以外の酒のグラス、の合計4つ。3つのグラスのワインについては、外観、香り、そして味わいの3点それぞれについて実に細かく問う問題、そしてそのワインの総合評価。最後は葡萄品種、生産地、ヴィンテージ(収穫年)、適正温度そして飲むためのグラスの大きさを問うものであった。

4つ目のグラスにはワイン以外の酒(ウオッカ、ジン、テキーラ、スコッチ、バーボン、ブランデイー、コニャック、アルマニャック、カルバドス、紹興酒などなどが候補)が入っており、酒の名を答えるものであった。

幸いにも合格し「ワインエキスパート」として昨年10月に資格登録された。

 

 

 

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この9月、信州・上田のシャトー・メルシャン 椀子 まりこ ヴィンヤードを訪ねた。山梨・勝沼のワイナリーをはじめ日本のワイナリーも充実してきたが、このワイナリーは今年7月、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」のランキングで30位にランクされた。世界に数十万あるワイナリーの中での評価であり、アジアではトップであった。

小高い丘の上に立つ瀟洒な建屋と葡萄畑。浅間の連峰に近い。葡萄の収穫を終えたばかりのワイナリーの風はやはり心地よかった。

ワインの味わい方も少しはよくなり、そして少しは深くなったかな‥‥ と思う。

2020年10月17日 掲載

wineGlass 白ワインの多様性テースト-その2

今井 智之

前回、報告した白ワインは以下の通りであった:-

 

  1. サルディニア、ヴェルメンティーノ種
    ヴェルメンティーノ・ガッルーラ・スペリオーレ モンテオー 2018
  2. ポルトガル、アルヴァリーニョ種
    トーレ・デ・メナージェン・ヴィーニョ・ヴェルデ 2019
  3. ギリシャ、アシルティコ種+
    サントリーニ アシルティコ モネンヴァシア ドメーヌ シガラス2019
  4. スペイン、ガルナッチャ・ブランカ+マカベオ種
    ボティホ・ブランコ ロング・ワインズ 2017
  5. スペイン、ヴィオニエ種
    アゴラ・ヴィオニエ ボデガス・アルスピデ カスティーリャ・ラ・マンチャ2017
  6. フランス、シュナンブラン
    ソーミュール・ブラン ドメーヌ・デ・オ・ド・サンズィエ 2018
    (追加 プイィ フュメ イヴォン エ パスカル タボルデ 2018)
  7. フランス、ラングドック・シャルドネ
    ル・シャルドネ・ド・ラ・シャペル ドメーヌ・サン・ドミニク 2018
  8. イタリア、フィアーノ
    ラディーチ フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ・マスト ベラルディーノ 2017
  9. フランス ボルドー、ソーヴィニヨン・ブラン
    ラク ワ・バルトン・ボルドー・ブラン 2015
  10. フランス、ロゼ、ピノ・ノワール
    マルサネ ロゼ ブリュノ クレール2018

 

その後、新コロナウイルスは収束せず外出自粛が続くので、珍しい白ワインの探求を続けることとなった。珍しさ、多様性に遭遇して、退屈しのぎどころか大変楽しい。しかし、あまり伝統的ワインから離れすぎると公正な評価ができなくなる恐れを感じ、トラディショナルへ回帰することとした。

11.フランス、アルザス、リースリング

選んだのは、近年大変評価が高いアルザスのリースリング種で低価格でもパフォーマンスのよさそうなアーサー・メッツ リースリング 2018(1480円)を購入し試した。より高価なものに比し高貴さに幾分欠けるが、十分楽しめるワインである。アーサー・メッツは、スパークリング、クレマン・ダ‘ルザスの代表的造り手である。やはり、評価の高い産地のワインである。

12.イタリア、グレーコ ビアンコ種

古代ギリシャから持ち込まれた起源をもつ葡萄グレーコ・ビアンコ。カラブリア州のこの産地はH.ジョンソン***評価、リブランディは同地での推奨造り手。ワイン名はチロ ビアンコ リブランディ 2019(市価1551円)これまで類を見ない特殊な味わいでも何か惹き付けるものがあった。日本料理に大いに合いそうである。

13.イタリア、ビアンコレッラ+フォラステラ種

ナポリ湾に浮かぶ、あまり名の知れぬ島、イスキア島産ワイン。ナポリ人がカンパーニュ州のフィアーノ種や特筆すべきワインがないカプリ島に並べて好みそうなハイコスパワインを期待して購入した イスキア・ビアンコ カーサ・ダンブラ 2018(市価1958円)古代ギリシア人が伝えた土着品種ビアンコレッラが90%。H.J評価産地**生産者トップ推奨。素晴らしいワイン。本当に美味しいワインだ。しかもいかなる料理にも合いそうである。

14.イタリア、ヴェルナッチャ

トスカーナと言えば、キャンティ、ブルネッ ・ディ・モンタルチーノ、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノそしてボルゲリという赤ワインの銘酒ばかり気に掛けていたが、トスカーナも白がある、20年前訪ねた、塔の古都サンジミニヤーアノに優れた白ワインがることを思い出した。その最たる評判の造り手のワイン、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニヤーノ・ヴィーニャ・ア・ソラティオ・ファルキーニ 2018が1579円で買えるので飛びついた。品格の高いワイン。ラベルが神々しくこのワインの品格を現しているようだ。

15.オーストリア、グリューナー・ヴェルトリーナー

オーストリア・ワインはあまり馴染みがないかもしれない。しかし、実際に現地へ行き恰好なレストランで体験して見ると、非常に高貴なワインがあることが分かる。そこで懐かしい白ワイン、グリューナー・ヴェルトリーナー種を購入した。驚くほど安いワインでフーグル グリューナー・フェルトリーナー クラシック 2018と言い、たったの1518円で期待したほどの高貴さには多少欠けるが、香りよし、口当たり少々酸味を強く感じる、喉越しは長く、デイリーワインとしては十分楽しめる。

16.イタリア、フリウラーノ/マルヴァジーア

またイタリアへ戻って、白ワインの銘酒が多い、北東部国境に面するフリウリ・ヴェネツィア・ジューリ州からシルク・フリウラーノ 2017を購入した。市価2750円のところ特価1590円は安いが、下手にブルゴーニュとラベルに掲げる3、4千円のワインと比べて見て驚かされるかもしれない。H.ジョンソン曰く、“スロベニアに接する地域で産する白ワインはアルトアディジェとイタリア白ワインの双璧を成す”と。

 

17.日本、甲州

筆者は日本のワインを飲まず、語らずではないかとご批判を受けたので海外でも評判の甲州ワインを試すことにした。好評価されたワインは皆高価で、国際評価を遥かに超えている感じだ。グレイス・ブラン・ド・ブラン・エクストラブリュット 2014が7700円、そこでJ.ロビンソンが好きだと言ったグレイスワイン グリド甲州 2019 を1980円で購入した。先ずは葡萄の香りを上品に漂わせていたので好感が持てた。パレイト(口当たり)は特色がないが酸味がやや強く、どんな料理に合わせたらよいか、迷いそうだ。

 

18.ドイツ、リースリング

もう何十年も遠ざかっていたドイツワイン、中でもラインガウのリースリングが近所の“カルディ”で目についたので試して見る気になった。特にドイツでは最も上級なワインを造るラインガウ、H.ジョンソンは Birthplace of Riesling(リースリング生誕地)と言い4星を付けている産地である。しかしながら、近年フランス、アルザスに王座を許してきた感があった。クヴァリテーツヴァインとはドイツの公的分類では2番目の格付である(一番はプレディカーツヴァイン Prädikatswein で下がランドヴァイン landwein)そのワインはラインガウ リースリング クヴァリテーツヴァイン ト ッケン ヴァィンランド ラインガウ 2019。値段は1408円。ドイツの業界も輸出を増やすため無理をしているのだろうか。アルザスのリースリング(上記11)に十分太刀打ちできる。

◇ ◇ ◇

Covid19が収束せぬまま、とうとう10月に入ってしまった。外出自粛生活には慣れきった感がしないでもないが、心身には結構悪影響を及ぼしていそうである。欧米やアジア、アフリカ諸国では感染拡大が続いているが、人々は自粛生活に我慢できなくなってきたせいであろう。私共も、Go To Eat 以前から、近くの安心できそうな寿司屋、天婦羅屋、中華料理屋に数回出掛けたが、極めて快適であった。数日前、行き付けのイタリアン、ワイン&ダイニングの小さなレストランへCovid19後初めて行ってきた。ここの店主はイタリアへ通いワインを輸入卸売してきたが、今は行けない。変らず美味しい料理とハウスワインを用意していた。ワインは3種類試飲した。一つはセルヴァ カップツア サンヴィジリオ(ラベル表示はSelva Capuzza San Vigilio Turbiana トゥルビアナはトレッビアーノ葡萄の公式名) ロンバルディア産。強めの香りは心地よく全ての料理に合わせ一晩中飲めそうなワインであった。2番目は、カンティーナ コッレ ペトリート ビアンコ (Cantina Colle Petrito Bianco) でプーリア産、個性が強すぎて楽しめなかった。最後にワタリガニのトマトソース・パスタに合わせ出されたのは、ロゼで相性も良く素晴らしいワインであった。その名はマビリア・チロ・インポリート(Mabilia Ciro Impolito)イタリア、カラブリア州産、原料葡萄はガグリオッポ(Gaglioppo )。生産者はImpolito 1845 残念ながら日本のネット市場では見当たらない。

◇ ◇ ◇

トレッビアーノに期待を込めて、信頼できるネットショップから買った白ワイン5本セットの中にトレッビアーノ・ダブルッツォ、H.ジョンソン4星評価の産地ものがあったので抜栓してみると、最初の口当たりはショッキングであった。産地がよくても生産者がよくない典型的な例であろうか(翌日、鶏肉のクリーム煮込みに使い残りを飲むと料理によく合って美味しくなっていた。摩訶不思議)ところが3日目に飲むと酷いものになっていた。その名は、トレッビアーノ・ダブルッツォ“ヴィッラ・ゲッリエリ”2019。やはりセットで販売するワインは駄目なのだろう。残り4本が思いやられる。
そこで昨年見つけたトレッビアーノを主とするブレンド酒を再度購入し、その美味しさを再確認したので次に紹介する。

◇ ◇ ◇

19.イタリア、ウンブリア産、トレッビアーノ+

ウンブリアはトスカーナの南、ラティウムの北、マルケの西に囲まれた内陸の州。トレッビアーノ40%の他、グレケット20%、ヴァルデッ 20%、マルヴァジア10%、ドルペッジオ10%をブレンドしたワイン。オルヴィエート クラシコ セッコ トッリチェッラ ビジ2018(1452円)は、些か複雑な味わいがするが、いつ何度飲んで飽きない優れたデイリーワインだ。産地オルヴィエートはDOC、H.ジョンソン3星、ビジを推奨造り手の一社としている。前掲の5本セットの中にリオーネ・デル・ファルコ・ビアンコ(イタリア ヴェネト州産)というのがあったが、トレビアーノにシャルドネをブレンドしたワインのせいかまろやかであった。若い女性がよく言う“飲み易い”ワインということであろう(筆者は“薬を飲ませているのではない、無理して飲まなくてよい”と言いたくなる表現)

20.オーストリア、ゲミッシュター・サッツ(混植混醸)

今回はキリの良いところ20種で完結しよう。最後にこのワインを紹介する理由は、多種の原料葡萄を混植し、混醸造して造るという珍しさがあることと、仕上がりはオーストリアらしく高貴な、品格の高いワインになっていたからである。実は3年前に試し、昔、ウイーンで遭遇したときの感激を思い起こしたのだ。ブレンド葡萄の数は何と11種類もある。グリューナー・ヴェルトリーナー25%、ヴェルシュ・リースリング20%、ヴァイスブルグンダー15%、リースリング10%、シャルドネ10%、ソーヴィニヨン・ブラン7%、他、ジルヴァーナー、ジィーファンドラー、ートギブトラー、トラミナー、ヌゥブルガーの合計が13% そのワインとは、ヴィーニンガー・ウィーナー・ゲミシュターサッツ 2015(3080円)因みに2015年ヴィンテージは過去50年間の中でベストである。

 

◇ ◇ ◇

以上、20種類のワインを紹介したが、葡萄品種は、8か国で20プラスとなる。白ワインの世界は産地と葡萄品種の観点より大変広いから、勿論テーストしきれないが、少しでも探索すると大変楽しい。また赤ワインに比し価格が安いのと日本食に合うので、巣籠には持って来いである。

価格が赤ワインに比しに安いと言っても、本稿の対象外である、シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン酒は高い。ブルゴーニュ、コートドボーヌのシャルドネなど数万円もするから高いが、コートドニュイのピノ・ノワール酒はその数倍、数十倍もするから、白ワインは比較的に安いと言えるわけである。勿論、品質も格段の差がある。3大白ワインと言われる、ムルソー、サシャーニュ・モンラッシェ、ピュリニー・モンラッシェは元より、アローズコルトンのコルトン・シャルマーニュは、香り、口当たり、余韻の3拍子が全て揃って素晴らしいワインである。同じ産地でも評価もされてない造り手のものは、値段が安いからと言って飛びついてはいけない。ソーヴィニヨン・ブランは ワール地方の原料のひとつで、シャルドネに比し比較的安い。近年はニュージーランド、マールボロ産が大変評判が良く、価格も安い。ボルドーでは、シャトー・ディケムが代表的な甘口貴腐ワイン、ソーテルヌやバルザックが、セミヨンを主体としソーヴィニヨン・ブランとミュスカデルから造られる超高価ワインである。

価格は品質の目安となるという説がある。市価は正にマーケットが決めるので当然と言えば、当然である。しかし、裾ものというより低価格品はさほど敏感ではない。何故なら生産とマーケットが多岐にわたっているからであろう。であるが故にコストパーフォーマンスの優れたワインを見出すという楽しみが出てくると言えよう。とは言え、価格帯だけや、種類だけで片端から試して行くというのは極めて非効率である。

ワインを選ぶ、もう一つの楽しみはラベルの美しさ、品格、珍しさ等である。実証は難しいが、経験的に見て綺麗で高いコストが掛かっていそうなラベルの生産者は概しては素晴らしいワインを造っている。生産国によっても、国民性を現すのか違いがあって興味深い。今回の探索で見られたラベルの違いを下に見比べて見た。

 

 

ラクロアバルトン(フランス)
ボルドーにしては超現代的
アーサーメッツ リースリング
(フランス)
ドイツやオーストリアワインと
似て質素でも風格がある

オリビエート クラシコ
(イタリア)
イタリアは派手でもセンスが良い
ヴェルナッチャ ディ
サンジミニヤーノ
(イタリア)
神々しく産地を誇張している
フィアーノ・ディ・
アヴェッリーノ
(イタリア)
現代的でも上品
イスキア ビアンコ(イタリア)
イタリアにしては田舎っぽい
ボティホ・ブランコ ロング
(スペイン)
力強さを感じる
サントリーニ アシルティコ
(ギリシャ)
ギリシャにしては意外と質素

 

最後に、筆者は、種類、産地、造り手につき世界的に権威のある専門家の評価を鑑みて探すことにしている。今回の探索でもそうして来たわけであるから、読者はその手間を省略して好みに合いそうなワインを選び購入するに役立つと考える。上記20種プラスのワインは抜栓した時系列で記録したままで、葡萄の種類別、産地別のように整理もせず、読み難いかと思うがお許し願いたい。

完  
2020年⒑月15日(今井智之記)

2020年8月14日 掲載

wineGlass白ワインの多様性と熟成ボルドーをテースト(taste)
  ~蟄居中の体験

今井 智之

外出自粛で外食もままならず、毎日のように家での不味い料理に合わせワインを選ぶとなると白ワインの消費の方が多くなることに気付いた。それではと、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランやリースリングばかり飲んでいては面白くなく、もっと多くの品種のワインを探求することにした。もとより一般にワインの種類は豊富で、産地と造り手の数を考えただけでも星の数ほど多いと思う位であるが、白ワインだけでも極めて多種多様である。 世界の白ワインを体系的に整理することは大変有意義であるが、ここでは蟄居中出合った興味深いワインを紹介したい。

ことのはじまりは、ワインに関する権威ある古典的な文献を再読して再発見したり、テレビ番組で知り、また友人からの情報をきっかけに調べ興味を抱いたからである。そこで購入に当たっては、いつものようにH.ジョンソンの評価を確かめて決めた。その評価とは、最新の「ポケットワインブック(2020年 以下HJ)」に、1.掲載されている産地、造り手か、2.その評価星数(★-★★★★)3.ヴィンテージと飲み頃、である。あとはネットの商品紹介等の解説と価格で判断した。

1.サルディニア、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ

海賊の巣とも言われたサルディニア島に気の利いたワインがあるはずがないと思われがちだが、実はスペイン原産ヴェルメンティーノ種で最も有名な産地がある。格付DOCG HJ★★★(ヴェルメンティーノ・ディ・サルディニアは★★で間違わぬように)推奨生産者数社が挙げられているが、いずれも高価(5、6千円)なのでセッラ&モスカ社のヴェルメンティーノ・ガッルーラ・スペリオーレ モンテオーロ2018を試した。このワインは素晴らしい、未体験な香りと味わいであるが上品で心を豊かにした。(市価1518円)

 

2.ポルトガル、ヴィーニョ・ヴェルデ

ポルトガルは主として食後酒のポートで有名でも近年テーブルワインも評判が良い。白ワインはアルヴァリーニョ種が最も評判が良い。微発泡ワインでその良し悪しで評価が分かれるかもしれない。産地のHJ評価★★★推奨の造り手のワインは全て高価過ぎる。3種試飲したが、トーレ・デ・メナージェン・ヴィーニョ・ヴェルデ 2019を、その造り手が「商品説明」で受賞歴が立派なので選んだ。結果はバランスの良い適度に酸が利き滑らかで一番良かった。(市価1320円)

 

3.ギリシャ、サントリーニ、アシルティコ

TV番組でサントリーニの白ワインが紹介され、昔訪ねた美しい同島を思い出し、興味を抱いたので、調べると、HJ評価が何と★★★★で、特にアシルティコワインを推奨していたので、試すことにした。生産者シガラスの評価も★★★★であった。サントリーニ アシルティコ モネンヴァシア ドメーヌ シガラス2019 はモネンヴァシア種と半々のセパージュである。シャルドネやソービニヨン・ブランに慣れていると、いささか中途半端な感じがしないでもないが、どちらかというと、ピノグリージョ(イタリア、フリウリ産)やリースリング(フランス、アルザス)に近く、真昼、湘南海岸のテラスで海を見ながら飲むとさぞ素晴らしいであろう、と感じた。(市価3399円)

4.スペイン、ラゴン州カリニェナ、ボティホ・ブランコ

ガルナッチャ・ブランカ85% マカベオ15%のボティホ・ブランコ ロング・ワインズ 2017 スペインワインらしく力強さを感じた。一味違う白ワインという感じ。(市価1925円)

5.スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャ、バルデペーニャス

ヴィーノ・デ・ラ・ティエラ・デ・カスティーリャ産地、 アゴラ・ヴィオニエ ボデガス・アルスピデ カスティーリャ・ラ・マンチャ2017 ヴィオニエ種は原産地がローヌ地方のコンドリューで、今では南フランス、アメリカ、オーストラリアで使われているが、スペインは初耳。上品な華やかさと色気を併せ持ったヴィオニエ独特の魅力があり濃密なワイン。(市価1998円)

◇ ◇ ◇

時には途中伝統的産地に戻って比較することにした。

ここからは名の知れた産地の白で満足できたワインでる。

◇ ◇ ◇

6.フランス、ロワール、ソーミュール(Saumur)

原料葡萄がシュナン・ブラン 100%のソーミュール・ブラン ドメーヌ・デ・オ・ド・サンズィエ 2018〉 HJ産地評価★★★ ロワールの白ワインではソーヴィニヨン・ブランのサンセールやプイイ・フュメには叶わない(評価は★★★★)。そして今ではサンセールが知れ渡っているが、かつてはプイイ・フュメの方が一枚上であったらしい。プイィ フュメ イヴォン エ パスカル タボルデ 2018を2508円で買って試したが、サンセールより丸みがあって上品な感じであった。酸味が少ないからであろう。

 

7.フランス、ラングドック

ル・シャルドネ・ド・ラ・シャペル ドメーヌ・サン・ドミニク 2018〉 ボルドーやブルゴーニュの名醸造家が南仏ラングドックに進出し、優れたワインを低コストで造り販売しているケースがよくある。このワインも、ボルドー、クリュ・ブルジョア・シュペリュールの一社シャトー・シサックが買収し改良した、エロ―県を拠点とするドメーヌが造ったものである。同じシャルドネでもブルゴーニュと微妙に違うが、負けずと品格のある素晴らしいワインである。格付はヴァン・ド・ペイでも競争力は十分ある。(市価 1672円)

8.イタリア、カンパーニャ州、アヴェッリーノ

知る人ぞ知るイタリア、カンパーニャ州の上品なフィアーノ種の白ワイン、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ。イタリア、アマルフィー海岸マリーナ デル カントーネ小港にある、タベルナ デル カピーターノで初めて遭遇した白ワイン、ラディーチ フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ・マストロベラルディーノで(料理を含め)あまりにも美味しくてショックを受けたもの。今回は2017年ヴィンテージで試したところ同じショックは受けなかったが、料理のせいかもしれない。素晴らしいワインに違いない。(市価3520円)

 

9.フランス、ボルドー

ソーヴィニヨン・ブラン酒、ソーヴィニヨン・ブランというとロワールとニュージーランドから探すことになろうが、ボルドーでも使われている辛口白ワイン原料である。(有名な甘口デザートワイン、ソーテルヌの原料はセミヨン)ラクロワ・バルトン・ボルドー・ブラン 2015はマルゴー地区の格付3級シャトーキルヴァンそして、サンジュリアン地区の格付2級シャトーレオヴィル・バルトン、200年以上にわたり、ボルドーの第一線で活躍するこの2つの老舗ワイナリーが、意気投合して造ったワイン。サンセールやNZワインに比しまろやか過ぎて物足りないと言われそうだが、魚貝料理によく合っていた。(市価1958円)

10.フランス、ブルゴーニュ、マルサネ

日本ではあまりロゼを飲まないようであるが、紹介しておこう。マルサネのロゼはかなり評判が良いのでマルサネ ロゼ ブリュノ クレール2018をテーストした。H.ジョンソン評価で産地は★★★でも造り手はコートドールのトップで、★★★★。原料はピノノワールでブドウの皮から、赤い色素が果汁に溶け出し軽く色づいたら果汁をタンクから抜き取ることにより程よいロゼ色を出す。2890円で購入したが、素晴らしいワイン。H.W.ヨクスウォールが「ワインの王様」の中で、「この地のはずれにあるレストラン・デ・グルメの美しい中庭で食前酒としてこのロゼを1、2杯あおるのは、この店の興味津々たる料理の前奏曲として実に楽しめるものであった」と書いている。

◇ ◇ ◇

蟄居中、勿論赤ワインも堪能したのでボルドー赤ワインについて一言。

◇ ◇ ◇

グランヴァンは、家庭料理では真価を発揮できないであろうから、もっぱら低価格(でも美味しそうな)ワインを選んで飲んできた。但し、2012年7月にアンプリムールで購入したメドック2009年の一部は既に飲み頃に達していたので抜栓したところ素晴らしく熟成していてボルドーの真価を知った思いである。香り、口当たり、喉越し全てが非常に優れていた。ボルドー・ワインは、全てではないが、20年から30年経過後に真価を発揮するそうだから、あと、生きていて、10-20年保存しておけば、更に美味しくなるものかと痛感させられた。

既に飲み頃でテーストした例を挙げると以下の銘柄であった。

(2009ヴィンテージは年号省略、アンプリムールで購入)

  • シャトー カロン セギュール サンテステフ メドック3級RP2級HJ★★★★
    シャトー・ラネッサン オー・メドック、クリュ・ブルジョワ・シュペリュールPP90-92 HJ★★ (記録に値しないワインでもヴァキュバンして2日目、3日目に急変し驚くほど美味しくなった)
  • シャトー・ブラーヌ・カントナック[2001] マルゴー、メドック2級RP3級、HJ★★★(結構なワインであったが、熟成の良さは感じなかった。不覚にもPP89Eであったから疾うの昔に飲むべきであった)
  • シャトー・サン・ピエール メドック4級 サン・ジュリアン HJ★★★
  • シャトー・シマール[1996] サンテミリオン オーゾンヌの支配人が所有
  • シャトー・トロワ・クロワ[2010] フロンサック(ポムロ-ルの北)
  • シャトー・ダリコー[2010] グラーヴ 2500円程度でも素晴らしいワイン
  • シャトー・ヴィルモーリーヌ サンテミリヨン・グラン・クリュ・クラッセ 既に十分熟成していたが。後5年で完璧になろう
  • シャトー プリューレ リシーヌ[2013] マルゴー メドック4級 HJ★★★ ヴィンテージ外れにしては結構なワイン
  • シャトー デュ テルトル[2012] マルゴー メドック5級HJ★★★

 

次は熟成度が特に良かったもの。

  • シャトー・クレール・ミロン ポイヤック、 メドック5級RP2級HJ★★★
  • シャトー・ダルマイヤック ポイヤック、 メドック5級RP4級HJ★★★(1年前渋谷レストラン・アビエントで友人が提供したときも大変美味しかったが、今回更に熟成度が高まっていたように思えた)
  • サルジェ ド グリュオー ラローズ サンジュリアン、格付2級シャトー・グリュオー・ラローズのセカンド。 香りでショックを受け、口内での広がり、長い喉越しと完璧な出来上がり。3,500円程度で買ったと思うが、現在ネット市場で2009ヴィンテージは7205円。

 

蟄居期間、赤ワインでも他にフランス他地域、特にブルゴーニュ、またイタリア諸州の産物を大いに楽しんだが、次の機会に紹介したい。

完  
2020.8.8(今井智之記)

2019年11月9日 掲載

wineGlass ワインをより楽しく飲むために(1)

記:今井 智之

アロマとブーケ

ワインの香りについてアロマとブーケという言葉をよく聞きます。その違いは何か知っておくと楽しみが増えます。香り(アロマ)に実は3種類あります。

  • 第1アロマは葡萄そのものがもつ香りで原料葡萄の特質を現します。
  • 第2アロマは発酵・醸造に由来する香りでワインの出来具合を現します。
  • 第3アロマ(ブーケ)は熟成中に生まれる成分の香りで熟成の進化を現します。

第1アロマと第2アロマを区別することは難しく、気にせずワインをグラスに注いだだけの状態で感じることのできる香りです。よく、ワインを注がれると、いきなりグラスを動かす(スワリング=下記)ひとを見受けますが、そうせず嗅いでみましょう。果実や花、植物、ミネラルの香りを感じることを楽しむのです。この段階で葡萄の種類を当てるのは大変難しいです。このプロセスから始めると、貴方にソムリエが一目置くことになりましょう。

第3アロマ即ちブーケは熟成の仕方や熟成度によって多種多様な香りが現れます。これを嗅ぎ取るためにグラスを回して、ワインを空気に触れさせると立ちのぼってくるのです。

ワインの香りを楽しむ時のポイントは、年代モノのワインはあまりグラスを回しすぎないこと、香りが飛ぶリスクがあるので、香りの変化を確認できる程度に回してみることと言われます。香りが飛んでしまうと、飲むときせっかくあった香りを味わえなくなってしまうからです。

スワリング(Swaring)

上記の「グラスを回す」ことをスワリング(Swaring)と言います。その目的は、

  1. 第3アロマ、つまりブーケを確かめること。
  2. 熟成したワインに空気を与えワインをまろやかにすること。

但し、上記の通りスワリングし過ぎるとブーケが飛んでしまいますし、ソムリエの前であまりスワリングしないことです。何故なら、普通ソムリエは抜栓後配慮済みであるし、特にデカンタージュした場合は全く意味がないからです。

◇ ◇ ◇

注:万一、腐敗等不快な香りがした場合は、ワインの保管が悪く劣化している場合がありますから、遠慮なくソムリエにクレームすべきでしょう。このような場合には抜栓したコルクから不快な香りがすることがありますから、コルクは確かめ目の前でソムリエにコルクを返し嗅いで貰うとよいです。それでも認めないようなソムリエは本物のソムリエとは言えません。自分で選んだワインが“口に合わない”、“好きでない”と言って突っ返すのは愚の骨頂です。選んだワインは貴方の責任となるからです。

以上 
(2019年10月12日 記)

2016年11月28日 掲載

wineGlass ワインの選び方(初級編)解説

記:石井 勝巳 / 資料:三納 吉二

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白ワインの選び方
赤ワインの選び方
ワイングラスと飲み頃温度
画像は「Pinterest」より

当会メンバーの三納さんから「ワインの選び方(初級編)という図版をインターネットからダウンロードしたとの連絡がありましたので、この画像に解説を加えてご紹介します。

◇ ◇ ◇

初心者向け資料として、体系的にヴィジュアルな表に取りまとめられている。このような資料は従来あまり目にすることはなく、ワイン愛好家には虎の巻として常時参照できる非常に有益なものである。

ソムリエとして世界的に高名な田崎真也氏は、ワイン初心者がワインを選ぶ取り掛かりはぶどうの品種が基本となると指摘している。

その意味で、本資料はぶどう品種をキーワードとして構成され興味深いものがある。

ぶどうの品種に関しては、同好会ニュースに今井智之氏が掲載された「ワインの原料となるぶどうの種類について」に詳述されているのでご参照願いたい。

「ワインの選び方(初級編)」の画像については殊更詳しい解説を加える必要はないものの、若干付言しておきたい。

  • 白ワイン用ぶどうで最もよく知られているのは「シャルドネ」であろう。
    仏ブルゴーニュを始め米国カリフォルニア、チリなど世界各地で広く栽培されており、生産地ベースで飲み比べるのも興味深い。
  • 赤ワイン用ぶどうは、仏ボルドーを代表する「カベルネ・ソーヴィニヨン」と、仏ブルゴーニュの「ピノ・ノワール」が双璧をなすであろう。
    これに次ぐ代表品種には仏ボルドーの「メルロー」があり、新世界のチリやニュージーランドでもよく栽培されている。
  • ワインの保存には、定温管理された地下カーブが理想かも知れないが、一般的には電気式ワインセラーが最も適しており、設定温度は13-16℃が一般的である。
    シャンパーニュや白ワインはこれより低めに冷やしてから飲むのがよい。
    また赤ワインはワインセラーから取り出して抜栓後、軽めのワインはその程度が適温だが、重めのワインはそれより多少高めが適温となる。
  • シャンパーニュ用グラスはフルート型が一般的だが、必ずしもこれに拘ることなく白・赤ワイン用グラスやマティニなどを飲む逆円錐状グラスなども広く使用されている。

以上

2016年8月23日 掲載

wineGlass スパークリング・ワインについて(補足)

今井智之

前回、弊メモがワインに見識豊かな皆様に紹介されたことを踏まえ、読み返してみますと、シャンパンの造り手や銘柄については誠に不十分であると思いましたので補足することと致しました。

シャンパンの造り手は大変数多く、またいちいちテースティングしますと膨大な費用が掛かってしまいますから、著名な評論家といえども完璧な判定を試みていないように思われます。筆者が少々調べました結果から申し上げますと、

1.現在時点で誰でもが共通して推奨するベスト・シャンパンはない

〔資料1〕をご参照下さい。何と推奨ベスト10+に共通するブランドがありません。表以外で Gayot という評価ガイドでは EnkiVillage と2社だけ共通していました(Hiedsieck と Perrier-Joust)Chief Executive という雑誌の特集では、ドン・ペリニヨン、クリュッグ、ルイ・ロデレール、Perrier-Jouet が入っています。デキャンターやH.ジョンソンにはよく知れた造り手が見当たりません。要するに評価が主観的としか言いようがありません。同じ造り手でもヴィンテージやブランドにより年々評価が変わって当然でしょう。

2.国賓のもてなしには、歴史や伝統が評価される超有名シャンパンが供されます

些か古いですが、〔資料2〕をご参照下さい。さすがに名の知れたシャンパンばかり出てきます。外交上、質より名に重点を置かざるを得ないのでしょう。ビジネス社会で、これらのシャンパンでもてなせば、スキャンダルになることを恐れ、いささか敬遠されかねません。西川恵の著書は、シャンパンのみならずワインについても詳しく紹介されており大変興味深いです。序ながら、かような場面の多くでは、シャンパンは乾杯に出されますが、デザート前にチーズに合わせても出す場合があるようです。前菜でのフォアグラにはシャトー・ディケム(ソーテルヌ)を合わせるように、贅を尽くすということは、まことに繊細な配慮が必要なのですね。

補足すべき基本知識として、“ブラン・ド・ブランとは” があります。高品質シャンパンに、この名称がつくものが多くあります。その意味は、シャンパンは一般的に原料として、主としてシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエを使いますが、ブラン・ド・ブランには白葡萄のみ、即ちシャルドネだけを使ったものを言うことになります。

生産者についてもう少し補足しましょう。シャンパンでは生産者として15,800のワイン造り手と300の所謂シャンパン・ハウスが存在し、年間3億8百万ボトルのシャンパンが出荷されているそうです。因みにその輸出先のトップは英国で、続いてアメリカ、ドイツ、そして日本ということですから、人口比で言っても明らかに英国人が最もシャンパンを好むということです。筆者の体験からも、これを証明できそうなエピソードでエッセイが書けそうです。もっともフランス人の消費量が最も多く、生産量の半分以上で英国の5倍弱です。人口比(年間)では英国が0.5ボトル、フランスが2.5ボトルということになります。しかし、シャンパンは富裕層の飲み物ですから、平均値はミスリーディングです。近年ナイジェリアの富裕層の消費量が激増中という話題もあります。

シャンパーニュ・ベスト10メゾン 偉大なるメゾン
(ネットより参照)

造り手には優良畑から原料を買い付けて生産するネゴシアン・マニピュランや自らの畑で収穫した葡萄のみ原料として造る生産者レコルダン・マニュピランその他もあって多岐多彩です。シャンパンの格付けは、ボルドー・ワインなどがシャトーを格付けするのと違って、畑の所在村で決められているようです。34,000ヘクタールの畑が、グラン・クリュ(上級)とプルミエ・クリュ(下級)に格付けされ、葡萄の価格が決めれれるそうです。ドン・ペリニヨンを造るモエ・エ・シャンドン社はグラン・クリュ畑の中から最優秀な葡萄を買い付けてシャンパンを造る訳です。前述の通り造り手の評価にはバラツキがりますが、代表的な例の名称とその産地を下マップに纏めました。

(クリック拡大)

最後にシャンパンのパーカーポイント90以上のヴィンテージ・イヤーをご参考までに列記しましょう。結婚記念のお祝いにでもお試しされてはいかがでしょう。

1964、1971、1975、1976、1982、1985、1989、1990、1995、1996、2002、2004以降ND(No Data)

以上
2016.8

2016年7月28日 掲載

wineGlass スパークリング・ワインについて

今井智之

(クリック拡大)
シャンパーニュ地方
ロケーション

スパークリング・ワイン(通称泡もの、以下SW)と言えば、先ずはフランスでシャンパン、イタリアではスプマンテと呼ぶことは理解されていましょう。もっとも日本ではSWを何でもシャンパンと言い放っている筋もありますが、明らかな間違いで、この過ちを犯すと外国ではとんでもないことに遭遇しかねません。レストランで事後勘定を見せられて目の玉が飛び出すというように。しかし、何と言いましてもシャンパンが基本で、その製法によるSWが一番美味しいのです。只、どんなに美味しいSWを造ってもシャンパン地域公認のもの以外ではシャンパンという呼称は違法となります。

シャンパンの製法

シャンパンの基はごく普通のワインです。シャンパーニュでは、白葡萄のシャルドネと黒葡萄のピノ・ノワールとピノ・ムニエを原料とします。“なのに何故白いシャンパンとなるか”とう疑問が出ます。ワインの色は葡萄の皮から出ますから、果皮を早期に全て除去すれば白くなるのです。多少時間を置いてから除去するか、僅か残して醸造すればロゼの原料となるのです。赤ワンを混ぜることにより、ロゼを造ることもあります。

原料となる複数種ワイン組合せるのですが、これをアッサンブラージュ(英語の assemble に相当)と言います。出来るだけ優れたワインを集めるという目的から、単数年度の収穫葡萄を使う場合と複数年度の葡萄を使う場合がありますが、前者がヴィンテージ付きとなり、後者がノン・ヴィンテージとなります。出来上がったワインをテーストして選別するのですからいずれも優れたものになりますが、概してヴィンテージ・シャンパンが高価品となるようです。しかし、ノン・ヴィンテージだから劣ると決めつけることは避けるべきでしょう。
 次は泡をどうして造るのかとう疑問に答える必要があります。原料たるワインを瓶詰し2次醗酵すると二酸化炭素が発生し瓶内に留まりワインに溶け込むからです。しかし、2次醗酵のためには酵母の他糖分を加える必要がありますから、蔗糖(スクロース)の入ったシロップを加えます(この工程をティラージュと言います)この糖分の量により出来上がりのシャンパンの甘さ、辛さが決まるのです。辛口のものを「ブリュット(brut)」と言います。また正反対の甘口を「ドゥー(doux)」と言い、中間に「ドゥミ・セック(domi-sec)」「セック(sec)」「エクストラ・セック(extra sec)」と次第に辛くなってゆきます。因みにみにキュヴェ(cuvee)という表示がありますが、これは上記のようなアッサンブラージュしたものという意味です。

瓶内発酵しますと酵母が澱に変わりますから、これを取り除かなければいけません。コルクを斜め下に向けて貯蔵し、毎日僅か(8分の1)回転させるのは、澱をコルクに付着させるためです。では付着した澱をどう取り除くのか心配でしょう。大昔は職人が手の技で速やかにコルクを交換したのです。瓶の材質もよくなかったので爆発の危険を伴う作業でした。今では、頭部を凍結させコルクを機械的に取り替えます。この作業をルミュアージュ、機械をジャイロパレットと言います。あとは法律で15か月以上寝かせてから出荷しますが、その期間が長いほど良いと言えます。

シャンパンの銘柄

一番有名なのは、ドン・ペリニヨン(Dom Perignon)、通称ドンペリでしょうか。昔の映画「プリティ・ウーマン」で大金持ちがコールガールにイチゴを入れて飲ませるとか、「007」シリーズでは「ドクター・ノー」にも登場しましたが、「ゴールドフィンガー」の中で007が“華氏38度(摂氏3度)で保管しなくてはいけない”という興味深いセリフがありました。ドン・ペリニヨンンは、シャンパンを初めて造った僧侶の名ですが、造り手「モエ・エ・シャンドン」の最高級銘柄です。

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ドンペリニヨン
  モエ・エ・シャンドン社  
玄関脇 カーヴ テースティングの準備

筆者はここを訪問し、ナポレオン来訪のため建てた客室でテースティングしたことがあります。国賓を招いてのエリーゼ宮の饗宴や日本の宮中でもよく出されるようです。さほど有名でなくとも評価が高い造り手にルイ・ロデレール(Louis Roederer)があります。そこの「クリスタル」とう銘柄は、18世紀、ルイ・ロデレールのシャンパーニュを寵愛していたロシア皇帝アレクサンドル2 世が、自身の名声を象徴するようにクリスタル製の瓶に詰めたシャンパーニュを所望したことに始まります。ピノ・ノワール60%とシャルドネ40%のアッサンブラージュで時価3万円、このロゼは時価7万円と高価ですが、ブリュット・プルミエは7千円で買えますから試してみる価値があるでしょう。他にも多くの優れた造り手がいますが、これらを全てテースティングしていたら蓄財を使い果たすことになりましょう。

フランスのSW

シャンパンの他にSWとして下記のものがあります。

クレマン(Cremant)

シャンパンと全く同じ製法によりSWで、Cremant de ・・・と産地名を付しています。例えば、クレマンダルザック(Cremant d’Alsace)やクレマン・ド・ブルゴーニュやクレマン・ド・ロワール等です。シャンパンは値段が高いですから、同じ品質でもクレマンを安く買うことが懸命の場合があります。レストランでは、“今日は・・・のクレマンを試してみたい”と言えば大変スマートで、なまじっか無理して安いシャンパンを注文するよりソムリエの受けはよいでしょう。

ムスー (Mousseux)

ムスーとは泡を意味し、AOCもありますが、正に低品質の泡ものです(ですから筆者はシャンパンやクレマンなどを含めすべてを泡ものと呼びたくないのです)その造り方は千差万別で炭酸ガスを注入するというものまであります。

ペティヤン(Petillant)

ペティヤンは「パチパチ跳ねる」という意味ですが、泡の量は少なく、普通のワインが口の中で“アレッ!”と-感じる程度のものです。弱発泡性のワインなのです。

イタリアのSW

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イタリア
3大スプマンテ・ロケーション
プロセッコの名産地
ヴェネト州ヴァルドッビアーデネ
ワインとおつまみを売る
無人スタンド
その向側に見える葡萄畑

イタリアではSWを総称してスプマンテと言います。レストランで食前にスプマンテを注文すると、特にグラスの場合は、黙って持ってきますが、どこの産すらも分かりません。高価なレストラン、例えばフィレンツエの「エノテカ・ピンキオーリ」などでは、アスティ、フランチャコルタ、それともプロセッコかと問い質してきます。はじめから、いずれかを指定するほうが受けがよいでしょう。正しくこの3つがイタリアを代表するSWなのです。

アスティ(Asti )

ピエモンテ州にある産地名。DOCGでも評価は比較的低い。H. ジョンソン3星(満点4)葡萄品種はモスカート・ビアンコ。

フランチャコルタ(Franciacorta )

ロンバルディア州、ミラノに近い地域名。同じくDOCG地区でもH.ジョンソン評価は4星の満点。使用葡萄はシャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロ。安心できる銘柄のひとつベラヴィスタは各々80、19、1%。他に同じく高評価の造り手にバローネ、ピッツィーニなど10社ありますが、決して安いわけではありません。モンテ・ローザなどはコスパがよさそうです。

プロセッコ( Prosecco )

ヴェネト州。葡萄品種はコネリアーノ、ヴァルドッビアーデネなど。DOC及びDOCG。H.ジョンソン評価は2星でもポピュラーなSWです。筆者も現地に行きましたが美しいところで、昼に夜に、先ずはプロセッコとよく飲みました。

イタリアその他のSW

フリッザンテ (Frizzante)

微発砲及び半発泡酒。ラベルには葡萄品種に地名を加えたものが多い。例えば、「モスカート・ダスティ」プロセッコの一部もこの部類に入ります。

ランブルスコ (Lambrusco)

天然発泡性ワインで白だけでなく、赤やロゼもあります。また甘口、辛口と種類が豊富です。ランブルスコは一連の葡萄種類、サラミーノ、マラーニ、マエストリ、グラスバロッサ、モンテリッコ等の総称でもあります。そこからできたワインもランブルスコと言います。主たる産地はエミリヤ・ロマーニャ州。

その他の国のSW

先ず長い伝統のあるスペインでは、エスプモーソ(espumoso)と言いSWのことを意味します。イタリアでのスプマンテに相当します。また、ガヴァ(gava)という呼称があり、特定地域でシャンパンと同じ製法で造るSWを意味します。その多くはカタルーニャ州ペネデス地域で、マカベオ種、パレリャーダ(スペイン語版)種、チャレッロ種を使って生産されます。優れた品質のものでも比較的低価格で、パーティー等で使うには最適でしょう。

最近話題に上っているSWとしてはイングランドがあります。ワインもそうですが、特にSWが好評を受けています。本年4月パリでフランスの専門家を招いて、シャンパンと対比してのブラインド・テ-スティングを行った結果、英国のSWを多くがシャンパンと間違って断定されたり、より美味しいと判定されたそうです。ウエスト・サセックス産の「ナイティンバー(Nyetimber)」というSWが最も好評であったそうです。筆者も在日英国大使館で同地産をよく飲まされますが、シャンパンに勝るとも劣らぬものがあります。値段はそう安くなくともよく売れているようです。

以上
2016.7.26

2016年7月7日 掲載

wineGlass 第60回 「ワイン同好会」開催のお知らせ

DFWC 例会は発足以来回数を重ね、この度、節目の第60回目を迎えることになりました。
この記念すべき会に参加いただきたく、下記の通りご案内申し上げます。

奮ってご参加頂きたくお願い申し上げます。

開催場所は前回好評を博した椿山荘「ポプラルーム」で、緑濃く清涼感溢れる雰囲気の中で、ワインとマリアージュを楽しんで頂きたいと思います。

「ポプラルーム」

季節柄、暑気払いの趣向としては、これまた清涼感溢れる「泡もの」大集合を企画致しました。
口直しに赤ワインを一部含めたレパートリーとなります。

どうかご期待のうえこぞってお出かけくださいますよう、お待ちしております。

◇ ◇ ◇

  • 日 時:2016年8月25日(木)17:30~
  • 場 所:ホテル椿山荘東京 ホテル棟2F「ポプラルーム」
    TEL:03-3943-1171(代表)
  • テーマ:「シャンパーニュとスパークリングワインの競演」
  • 会 費:13,000円
  • 申し込み期限:8月4日(木)
  • 銀行振り込み期限:8月11日(木)
    (振込み先)三菱東京UFJ銀行神保町支店
    普通2342948 ディーエフ ワイン クラブ
  • キャンセルポリシー
    半額徴収:8月18日(木)以降
    全額徴収:8月22日(月)以降

お申し込みは、いつもの通りこちらの「伝助」にてお願いいたします。

または、幹事石井宛て(ksishii212@jcom.home.ne.jp)直接ご連絡下さい。

以上
幹事:石井 勝巳

2015年6月21日 掲載

wineGlass 第54回 「ワイン同好会」開催のお知らせ

梅雨入りに伴い高温・高湿度の日々が続いておりますが、会員各位にはご健勝にてお過ごしのことと存じます。

次回、8月例会のご案内を申し上げます。8月例会は、ワインに関係する世界遺産を取り上げ、ワインの歴史をひもときながら、その地にちなんだワインを楽しむ、という趣向に致しました。

料理は、椿山荘のシェフによるワインとのマリアージュで、定評のあるフランス料理を満喫頂けると思います。定員30名程度を考えておりますので、皆様奮ってご参加ください。

  • 日 時:8月4日(火)5時30分 開場 6時 開宴
  • 場 所:椿山荘「フリージアの間」
    東京都文京区関口2-10-8
    TEL:03−3943−1111(代表)
  • テーマ:「世界遺産で綴るワインの歴史」
  • 会 費:13,000円
  • 申し込み期限:7月24日(先着30名)
  • 銀行振り込み期限:7月27日
    (振込み先)三菱東京UFJ銀行神保町支店
    普通2342948 ディーエフ ワイン クラブ
  • キャンセルポリシー
    半額徴収:7月28日(火)
    全額徴収:7月31日(金)
    いつも通り、伝助から参加申し込み&銀行振込状況を記入してください。
    http://densuke.biz/list?cd=PrLVzb92KHv6x7Fv

(幹事:櫻井三紀夫 080-2072-6654)

2015年6月19日 掲載

wineGlass ワインの原料となる葡萄の種類について

今井智之

ワインを楽しむためには何も葡萄の種類など語る必要はなく、只々美味しいかどうか、好きか嫌いか、料理に合うか否かの判定をし、リピートするために記憶としてラベルの表示を記憶しておけばよいはずです。

しかし、ワインへの興味を高めて行くと、どうしても原料である葡萄に関心を持つようになりましょう。私は、特定のワインについて葡萄の種類を聞かれると、「この方はワイン世界の2段階に入っている」と受け止めます。3段階は生産地とヴィンテージ、4段階は格付けと造り手による分類となり、最終5段階目は、料理とワイン、そしてそのサーヴィスの仕方になってくるように思います。最後のところは分かり難いかもしれませんが、美味しい料理を見つけること、優れたソムリエと相談してその料理に最も合ったワインを選ぶことであり、どのような形のワイン・グラスを選ぶか、またデキャンタージュをすべきか否か、温度は何度に保つべきかを決めることに関心を持つようになることでしょう。

ワインの世界は非常に広く深く文献も多数あります。私の手元にもある、ジャンシス・ロビンソンのザ・オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワイン、言わばワイン百科辞典でA4大で、アペンディックを除いて767頁もあり、小さな活字と写真で埋まっています。

さて、この度は原料葡萄の種類によるワインの分類と生産地を解り易く解説しましょう。先ず葡萄には各生産地固有のものと国際的に普及しているものがあります。即ち固有のものは、その土地にしか栽培されず、夫々異なった味わいと特徴もっています。従ってその種類の数は数え切れないほどあることになりますが、その一部は後段でご説明するとして、先ずは世界的に栽培されている葡萄からはじめましょう。

1.フランスから出発した品種

白ワイン用品種

代表的なものとしてシャルドネとソーヴィニヨン・ブランがあります。前者はブルゴーニュ地方で世界的に最高レベルのワインを造りだしています。赤ワインにも言えることですが、ラベルに単にブルゴーニュと記されているものは低価格もので、産地名、更には畑名まで絞って表示されていると高価ワインとなります。ブルゴーニュ産白ワインの80%はシャルドネです。北から南に進むとして、先ずはシャブリ①、続いてアロース・コルトン②(シャルマーニュとコルトン・シャルマーニュが代表的)、ボーヌ③(グレーブ、マルコネ等)、ムルソー④(ペリエール、シャルム等)、ピュリニー・モンラッシェ⑤(モンラッシェ、シュヴァリエ・モンラッシェ等)、シャサーニュ・モンラッシェ⑥(クリオ・バタール・モンラッシェ、モルジョ等)、マコネ(プイイ・フュイッセ等)があります。その中、ムルソー、シャサ-ニュ・モンラッシェそれにピュリニー・モンラッシェを3大白ワインなどと言います。シャルドネは、他地域(ラングドック・ルション等)のみならず世界に広がってきました。オ-ストラリア、カリフォルニア、チリー、南アフリカ、ニュージーランド等が代表的です。

各品種から作られている銘柄のひとつ(拡大可。本文の番号を参照。以下同じ)

ソーヴィニヨン・ブラン⑦はボルドー地区南部、アントル・ドウ・メールやグラーヴで栽培されますが、ロワール地方で素晴らしいワイン(例サンセール)を造り出します。またソーテルヌやバルサックで造られる貴腐ワインにはセミョン種が加えられます。そのナンバー・ワンは有名なシャトー・ディケム⑧で高価すぎて手が届くようなものではありません。シャルドネ酒とソーヴィニヨン・ブラン酒は、よくブラインド・テーストされますが、少々飲み慣れれば簡単に識別ができるほどの差を感じます。

他にも白ワイン用の葡萄があります。前掲セミヨンとムシュカデールはボルドーの補助品種で、紛らわしくもミュスカデ⑨はロワール地方のムシュカデの原料となります。アルザスではドイツ系のリースリングやミュスカを使い、南仏地中海沿岸では、セミヨン、グルナッシュ・ブラン⑩、クレレット等を原料とします。ところでフランス白ワインを離れる前に指摘しておくべきものとして、先ずシャンパンの原料があります。シャルドネの他ピノ・ノワールのみならずピノ・ムニエ⑪という黒葡萄も使うのです。

赤ワイン用品種

代表的なものは、ブルゴーニュのピノ・ノワール⑫とボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨン⑬とメルロー⑭です。ブルゴーニュは、有名なロマネコンティ⑮やラターシュを含め殆どのワインはピノ・ノワール100%使用します。他の葡萄をブレンドしないところがボルドーと違うところです。代表的な畑を北から南へと紹介しましょう。コート・ド・ニュイ(ジュヴレイ・シャンベルタン⑯、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネ、ニュイ・サンジョルジョ等)、コート・ド・ボーヌ(アロース・コルトン⑰、その他コルトン云々、サビニー・レ・ボーヌ、ボーヌ、ポマール、ヴォルネー、等)、ボジョレー等です。

ボルドー・ワインは大雑把に言って、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの組合せに少量の第3品種、言わば一種の "隠し味" を加えたものです。また、その比率がジロンド川の右岸、左岸により大きく違うと言えます。右岸から西に向かってメルローの比率が減少して行きます。比較的にメルローは薄くまろやかなところ、カベルネ・ソーヴィニヨンは濃く複雑な味わいを醸し出しますから、初心者にはブルゴーニュや右岸を好む傾向があるようです。

この3種とも世界に広く普及しています。今、どこの国へ行ってもあるように思います。ピノ・ノワールはカリフォルニア州やオレゴン州やニュージーランドで競争力あるワインが造られています。カベルネ・ソーヴィニヨンは、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーをはじめ多くの国々で使われています。オーストラリア、ニュージーランド、チリー、アルゼンチン、南ア、所謂ニューワールドで広く使用されています。非常に保守的なイタリアでさえ、トスカーナ州でサンジョベーゼ⑱にブレンドし、格付外となっても優れたワインを造るのに使っています(スーパー・タスカン)。メルローも同様にかなり国際化されています。さて "隠し味" としてブレンドされる葡萄ですが、それにはカベルネ・フラン、プチ・ヴェルドがあります。

この節で触れておかなければいけないのは、他にも国際化した普遍的な葡萄品種があることです。先ずはローヌ地方のシラー⑲、グルナッシュ等ですが、シラーはオーストラリア(ではシラーズと呼ぶ)をはじめアルゼンチン、チリー、ウルグアイ、アメリカで広く普及しています。そしてマルベック⑳、これは元々ボルドーの品種と考えられていましたが、ミディ・ピレネー地方で栄え(カオール)、またローヌ地方でも使用されることがあります(エルミタージュは、本来シラー主体でマルサンヌを使用のところつい先日マルベックをも見つけました)が、アルゼンチンで最も花を咲かせています。

2.各地固有の品種

このカテゴリーで筆頭と言えるのはイタリアでしょう。これこそ正にイタリアの特色なのです。では白赤、国別に紹介しましょう。

白ワイン用品種
≪イタリア≫

北から南へと進みます。

ピエモンテ州では、アスティーのような発泡性の甘口ワインを造るモスカート・ビアンコと辛口白ワイン、ガヴィやガヴィ・ディ・ガヴィを造るコルテーゼが代表的です。

ロンバルディア州では、高評価のフランチャコルタ発泡酒の原料としてピノ・ビヤンコ㉑やピノ・ネーロがあります(シャルドネと混合)。

ヴェネート州では発泡性ワインを造るプロセッコやソアーヴェを造るガルガーネガ㉒やレッビアーノ・ディ・ソアーヴェが有名。

フリウリ・ヴェネッチア・ジューリア州は白ワインの聖地と言われるほど名高い。甘口のラマンドロにはジャッロ㉓が、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリにはフリウラーノ(シャルドネと混合)そして甘口の同ピコリットはピコリットで造られます。

トスカーナ州では、ベルナッチャ・ディ・サンジミニアーノ㉔にベルナッチャ、トスカーナ・ビアンコにトレッビアーノ、マルヴァジアなどです。

ウンブリア州では、アッシジ・ビアンコにトレッビアーノ㉕、グレケット、オルビエート・クラシコにトレビアーノ・トスカーノ、グレケット、マルヴァジアが使われています。

マルケ州では、ヴェルディッキオにヴェルディッキオ㉖、ラツィオ州では、エスト!エスト !! エスト !!! ㉗にトレビアーノ・トスカーノ、トレビアーノ・ジャッロ、マルヴァジアと多様にありますね。

アブルッツォ州では、コントログエッラ・ビアンコにトレッビアーノ・トスカーノ、パッセリーナ㉘、

カンパーニャ州では、グレコ・ディトゥーフォ㉙にグレコ、フィアーノ・デイアヴェッリーノにフィアーノがあります。

プーリア州では、カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ビアンコ㉚にボンビーノ・ビアンコ、シチリア州では、アンソニカにアンソニカ㉛、カタラットにカタラット等。

サルデーニャ州には、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラにヴェルメンティーノがあります。

イタリアにはあまりにも多く多種多様に存在しますから、上記は50%程度にしか相当しないでしょう。

≪ドイツ≫

ドイツは気象条件が厳しく赤ワインの生産は芳しくなく、伝統的に白ワインを造っていました。産地はライン川に面したラインガウ㉜、その支流であるミューゼル川、ザール川、ルーヴァー川に囲まれたモーゼル㉝が有名です。安価なワインにはミューラー・トウラガウが用いられますが、貴腐ワインをはじめとする高級白ワインには殆どがリースリング㉞を使います。そしてリースリングは世界各国で使われています。ドイツ・ワインは暫く低迷していましたが、最近は頑張っていますね。先日、或るワイン会で、デキャンター誌で金賞を得たという甲州白ワインとラインガオウ地方のリースリングをブラインドで飲み比べさせられました。"どちらが美味しいか"という簡単で主観的な命題で値段は前者が後者の2倍もするということが告げられていたのですが、8割方のひとが後者に軍配を挙げたのです。

≪スペイン≫

スペインもイタリアと同様で多様に固有の葡萄が使用されています。先ずはガリシア州のアルバリーニョ㉟はスペインで最も高貴な白ワイン造りに使用されます。同州では他にゴデーリョ、トレイシャドウラとロウレイラがあります。続いて、カスティーリャ・イ・レオン州のベルデホ。カタルーニアとアラゴン州ではマカベオ・ピウラ、カタルーニア州ではチャレッロ㊱、パレリャーダがあり、南下してバレンシアに入るとモスカテルがあり、アンダルシア州ではパロミロや甘口ワイン用のペドロ・ヒメネス㊲があります。

赤ワイン用品種
≪イタリア≫

ピエモンテ州ではイタリアの最高ワイン、バローロ㊳やバルバレスコにネッビオーロが使われ、他にバルベーラ単独か混醸造として使用され、またドルチェットも重要な品種でありランゲで多く使用されています。

トスカーナ州では圧倒的にサンジョベーゼが使用され、キヤンティ、キヤンティ・クラシコ等のベースであり、その改良品種であるグロッソは銘酒ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ㊴やヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノを造りだしている。

カンパーニャ州には古代ローマ時代にギリシャから伝来したアリアニコがあり、高級ワイン、タウラージの原料として使われています。大衆酒アリアニコ・デル・タブルノの原料でもあります。また、バジリカータ州のアリアニコ・デル・ヴルトゥレの原料としても使用されています。

イタリアの赤ワインを選ぶとき、先ずはバローロかブルネッロ・ディ・モンタルチーノと言いたくともお値段が高すぎるとすれば、バルパレスコ(これも結構高い)、キヤンティ・クラシコ㊵、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、タウラージを選ぶとよいでしょう。造り手により値段が大幅に変わることも念頭に置いた方が良いでしょう。

≪スペイン≫

スペイン最高の赤ワイン品種はテンプラニーリョです。リオハ、ナバーラ地方原産ですから、リオハで多く使われ、優れたワインを造りだしています。注意しなくてはいけないのは、地域によって呼称が変わることです。マドリッドやラ・マンチャでは、センシベル、カスティーリャ・イ・レオンではティント・フィノまたはティント・デル・パイス、カタルーニャではウル・デ・リェブレと呼ばれます。

アラゴン地方原産のガルナチャ品種は、ローヌ㊶やラングドック・ルーションで使われるグルナッシュと同じでオーストラリアでも使われるように国際化しています。ナバーラ州、トレド県で多く栽培されています。

カリニェナ㊷、これもアラゴン地方原産でもフランスではカリニヤンと呼ばれる品種でスペインでもブレンド材として使用されています。

モナストレル、バレンシア州原産で、同州の他カタルーニャ州でも栽培されています。フランスではムールヴェドル、オーストラリアとアメリカではマタロと呼ばれているものです。他にメンシア、グラシアノ、カリエット、ボバル等があります。

≪ポルトガル≫

ポルトガルにも赤ワインが豊富に生産されていますが、ここではデザートワインであるポルト㊸(ポートワイン)の原料について記しましょう。認可されている葡萄品種は全部で29種、主要品種と補助品種に分けられていて主要品種を60%以上使用しなくてはならないとされています。代表的主要品種には、ティンタ・フランシスカ、ティントカン、トウリガフランセサ&ナショナル、ティンタ・ロリット&アマレロ&バロッカ、バスタルド等、補助品種には、マルヴァシア、ルフェテ、ティンタ・バルカ等

結び

各地固有の品種はかくも多く、とても憶えきれるものではないし、また憶えても意味が無いように思います。好きになったワインの代表的な葡萄品種だけ憶えるようにしてはいかがでしょうか。しかし、少なくとも、白ワインではシャルドネとソーヴィニヨン・ブランを、赤ではピノ・ノアール、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの違いを利き分けられるようにしたいものです。

平成27年2月28日

2015年3月26日 掲載

wineGlass シチリア便り

エトナ山
海抜3300mのエトナ山すっぽりと雪に覆われ快晴に恵まれたこともあって実に優美な姿を披露してくれた
エトナ山
ワイナリーの建物は数百年前の農家の建物を改造したもの。左の建物です
エトナ山
エトナ山の麓、海抜900mにある素晴らしい畑が一面に拡がっている
エトナ山
敷地内にはいろいろな建物が散在しています
エトナ山
建物の内部。当時のワイン造りの流れを示す内装をしつれえている実におしゃれな建物だ
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数年前から毎年2回、海外のワイナリーを訪問することにしている。今年最初の 訪問先は、どうした訳か3年連続のシチリア東部のワイナリーに赴くことに。

シチリアは、九州より小さく四国より大きい3000年近く前に古代ギリシャにより開拓された歴史ある島である。ギリシャから島の東部、今のシラクーサに葡萄が持ち込まれ、葡萄がその後北上して今日のフランス、イタリア、ドイツ、スペインにおいてワインが造られている欧州ワインの歴史の源となる地において、空気を吸いながら歴史を想像するのは実に楽しい。

今回は今も噴火を続ける海抜3300mのエトナ山麓にあるPlaneta 社のワイナリーを訪ねた。エトナはすっぽりと雪に覆われ快晴に恵まれたこともあって実に優美な姿を披露してくれた。その麓海抜900mにある畑(写真)が素晴らしい。朝11時半から食事を挟んで3時過ぎまでお邪魔した。1組4名の客の為にスタッフが熱心、かつ丁寧に対応してくれた同社の姿勢と行き届いた教育を感じた。

ワイナリーの建物(写真)は数百年前の農家の建物を改造し、当時のワイン造りの流れを示す内装をしつらえている実におしゃれな建物だ。

(角谷)