2021/01/16(No.333)
大水 一弥
昨年(2020年)の9月、デイレクトフォースの代表が段谷さんに代わり、段谷さんが今期掲げたキャッチフレーズが ’会員満足度の向上’ です。
このテーマは、正に私たち事務局の「活動の原点」を示すものであり、今後、気持ちを引き締めて取り組んでいかねばならないと感じています。
そこで、私が現役時代(IBM)に実感したお客様満足度、社員満足度の重要性や思いを以下に述べたいと思います。
1980年代後半頃電子計算機はダウンサイジングという言葉で表されるように、大型コンピュータからクライアントサーバー、PCへ急速に移行していきました。
そのような中でIBMは大型コンピュータの大成功に囚われ、変化への対応が遅れ、創業以来初めて赤字に転落、多くのメディアや雑誌でマンモス滅びるかと報じられる深刻な事態に至りました。
IBMは市場の変化に遅れただけでなく、強大なブランド力を盾に強引なビジネスを展開し続け、お客様不在の状態になっていました(お客様の問題解決より、大型コンピュータ販売を優先していたのです)。
お客様はIBMの総合力によるお客様の問題解決を期待していましたので、裏切られた気持ちが強くなっていたのでしょう。こうして、ダウンサイジングを機会に多くのお客様が急速にIBMから離れていき、正にマンモスが滅びかけていたのです。
北城恪太郎氏 2012年3月 第21回 会員総会で講演いただいた |
日本IBMも大赤字に転落、着任したばかりの北城恪太郎社長(後に外資で初めて経済同友会会長就任)が、事態の改善を図るために始めたことは、大幅な構造改革を迅速に進めると共に、役員・事業部長で構成する社長直属の ‘お客様満足度委員会’ を立ち上げたことでした。そこで ‘お客様満足度’ の重要性を全社員に強く訴え、意識改革を促すことを始め、現場を通じて集まったお客様の生の声に耳を傾けると共に、全てのお客様に ‘お客様満足度アンケート’ による調査を実施し、お客様の抱える全ての不満、課題を把握する事に努めました。
これらの膨大な情報は毎月開催される ‘お客様満足度委員会’ にかけられ、問題点の明確化、原因、解決策を徹底的に議論し、次々と実行されていきました。
その範囲は製品の機能・品質、会社の組織・規則・権限、現場の対応など全ての領域におよび、大改革が進められました。
北城社長は在任中 ‘お客様満足度向上委員会‘ には全て出席し、一貫して社員にお客様満足度の重要性を訴え続け、その為の行動を促し続けました。
このようなお客様満足度の向上の取り組みを、地道にかつ積極的に継続していくうちに社員の意識・行動も大きく変わり、お客様の信頼を少しずつ取り戻していく事ができました。その結果、業績はV字回復していき、2年目には黒字に転じ、IBMは再び成長路線を歩む事になりました。マンモスは姿を変え蘇ったのです。
私自身は事業部長に成りたての頃であり、TOPのこの真摯な取り組みに衝撃と深い感銘を受け、その後の私自身の行動の軸に据える事となりました。
そしてその後の事業活動において、お客様満足度と社員満足度向上を徹底し行動していく中で、自分でも信じられないようないくつもの奇跡を体験する事が出来、その重要性を実感できました。
現在新型コロナウイルスの影響で先行きが全く不透明となり、社会も大きく変わろうとしています。
そのような環境下で段谷代表の掲げる ‘会員満足度向上‘ は、正に私たち事務局メンバーが真摯に取り込むテーマであり、企業支援本部としても、メンバーが一丸となって支援しているお客様の満足度向上を進めると共に、それに携わる会員の皆様の満足度向上に真摯に取り組み、それらを通じDFの継続的な発展を支えていきたいとと考えています。
会員の皆様のご指導・ご鞭撻のもとで頑張りますので、今後とも引き続きご支援の程、よろしくお願いいたします。
おおみずかずや(897) 理事 企業支援本部
元日本アイ・ビー・エム